この辺で徘徊検知装置「業界」の一断面を一目で把握できるように、装置を販売しているメーカや輸入元とそこで使われている、センサと無線技術をマップにしてみました。「続きを読む」の後に原寸大のマップが貼り付けてありますので、御覧ください(環境によってはダウンロードした方が見やすいかもしれません)。
※「介護の隙間から」投稿順index はこちら
各メーカ、販売会社さんなどは灰色の矩形、センサは水色の楕円、無線技術はアースカラーの6角形です。各メーカ、販売会社さんから、使用しているセンサや無線技術に向かって矢印を引いています。この図はWeb上で入手可能な文書などからこちらで判断して描いた図なので、落ち、漏れ、誤解などまだあるかもしれません。ご指摘いただければ調査の上、改定いたします。基本的に介護保険適用になる徘徊検知の装置についてまとめているので、施設向けの装置や、他の用途にも使える一般向けのものは除外しています。そのため、他のセンサや無線技術を使った製品を出されている場合でも除外してしまっている場合があります。なお、携帯回線、インターネット接続などは保険適用にならないため、オプション品になっている場合も多く、独立のオプションの場合は除き、本体に内蔵されている場合は入れるようにしましたが間違えているものがあるかもしれません。また、既に販売を終了していたり、Web上で十分な情報を得られなかった場合も除外しているケースがあります。
小さな図にするために、一言で「特小」無線などと片付けられないものも多いのですが、カテゴリとして一個の「特小」技術としてまとめてしまっています。また、微弱無線によるタグ、アクティブ型RFIDとパッシブ型のRFIDは、無線技術としては大きく異なりますが、用途が似ているので一つにまとめてしまっています。また、装置の中にはカメラ(イメージセンサ)を持つものが多いのですが、それを使って移動物体検出や顔認識など検出機能がある場合のみイメージセンサ分類にしています。なおビーコンやRFIDは対象者や非対象者の検出(一種のセンシング)に使っていますが、カテゴリとしては無線技術です。
グラフを見ていただくと分かるのは、いくつかの技術の周りに矢印が集中していることです。このグラフで近くにあるものは「似ている」場合が多いと考えていただいてよいので、技術を中心としてグループができていることが分かります。やはり最大のグループは以下のものです。図では右下方向のざっくり半分くらいのメーカ、販売会社が入ります。
マットセンサと特小無線の組み合わせ
マットセンサには、ベッドに敷いて使うタイプ、床に敷いて使うフロアタイプなどいくつか種類がありますが、ここでは電気的に検出するものは皆マットセンサとしてまとめています。ただし、空気の入ったマットの圧力変動を圧力センサでセンシングするタイプは「圧力」センサの方に入っているのでご注意を。また、特小無線は、複数の周波数帯、複数の方式を「だいたい」特小に入れていますが、24GHz帯を使うものは「ドップラー」センサとして水色の楕円になっていますし、LoRaなどは独立したカテゴリにわけてあります。マット+特小は、ベッドサイドでの離床検出タイプといえるものの「王道」であることが分かります。
次に目立つ塊は、上部の方にあります。
焦電センサ、ドアの開閉センサ
実際、この2つは似た用途に使われています。出入り口の監視用途です。焦電センサはベッドサイドでも使われますが、主用途は出入り口の見張り役です。なお、Web上の情報では明確に焦電型とかPIRとか書いてあるケースは少なく、「赤外線(ただし物の動きには反応せず人間の動きに反応)」のような書き方をしているものは躊躇なく焦電センサに入れてしまいましたので、誤解しているケースがあるかもしれません。同じ赤外線の応用でも、赤外線の通過を検出するタイプや、クラス1赤外線レーザによる測距など焦電以外のものは一括りに「赤外線」センサに入れてしまいました。
ドアの開閉センサは大体が磁気スイッチ(リードスイッチ)によるものではないかと思われます。リードスイッチは磁石を近づけることでオン、オフを制御でき、それにはまったく電力を要しないので使いやすいセンサです。
WiFiにも矢印が集中しています。インターネット接続そのものは介護保険適用にできないのでWiFiの接続先のルータとインターネット環境が既にあるか、別途、自費で用意してくださいという記述が多数見受けられますが、本体装置そのものにWiFi機能を含むものは多いです。これがあれば、ネットにつないで普段使っているスマホで警告を受け取るという機能が容易に実現できるためだと思います。同様に携帯電話インフラに接続できるような製品も多くあるのですが、多くはオプションの別売品による接続です。なお、見たところ3G/FOMAとの記載のあるものが多いです。5Gはこれからですが、LTEもあまり多くありません。とりあえずメール伝送程度ができれば十分ということでしょうか。
他の無線方式としては、EnOcean、LoRa、そしてBluetooth/Bluetooth LE 、Zigbeeなどもあります。EnOceanとLoRaについては既に取り上げさせていただいているので上のリンクからご覧ください。Bluetooth、ZigBeeについてはまた別途取り上げさせていただくかもしれません。