鳥なき里のマイコン屋(22) 正統派すぎる? ST

MCU(マイクロコントローラ)業界でもメジャーな会社の一つが STマイクロエレクトロニクス社です。本社スイスですが、そのルーツはイタリアとフランスにまたがっています。そして、その長い歴史の中で欧米の多くの半導体メーカを飲み込んできた欧州を代表する半導体メーカであります。そんなメジャーな会社を後回しにしてきたのは、一重に「変なところがない」(ので面白くない、すみません)からです。まさに、現時点でのMCUメーカとしてはこの方向でしょ、というそのものズバリ優等生路線。

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鳥なき里のマイコン屋(21) LAPISセミコンダクタ、敢えて逆張り?

各社のマイコン(シングルチップ・マイクロコントローラ、MCU)を経めぐっていると、Armばかりが蔓延って、独自「プロプライエトリ」コアの影がとっても薄い今日この頃です。どこかにArmを引っ込めるような「逆張り」なマイコン・メーカー居ないか?と思ってみたら、いらっしゃいました。日本に。

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鳥なき里のマイコン屋(20) Armは栄える、Hは枯れる。ルネサス

ルネサスエレクトロニクスは、日立製作所の半導体部門と三菱電機の半導体部門(全部じゃないけれど)を合体させて、そこに後からNECの半導体部門だった組織をさらに合体させた会社、という認識で大筋間違いありますまい。ちょっと大雑把すぎて申し訳ないですけれども。元の3組織のいずれもが、日本を代表する「マイコン・メーカ」であったので、合併当初のMCU製品ラインナップは、市場的にも機能的にも重複しまくりに見えました。しかし、NEC半導体の合流からでも、はや10年近く、MCUの製品ラインは随分と集約されてきたようです。

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鳥なき里のマイコン屋(19) 東芝、やっぱりArmか、MIPSどうなった?

本日、勝手に調べさせていただくのは、名門東芝のマイコンでございます。「かっては」家電から重電、コンピュータ、なんでもありの総合電機メーカでもあり、超分厚い製品ラインを持っていた、と記憶しています。自社アーキテクチャのマイコンコアだけでも複数持つ上に、RISCの草分けの一つMIPSアーキテクチャの牙城であったと言って良いでしょう。同じくRISCの草分けの一つSPARCアーキテクチャを担いだ富士通はHPC(スパコン)でSPARCを使い続けてきましたが、どうも「次」はArmに切り替えてしまうらしいです。東芝のMIPSはどうなんでしょうか?

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鳥なき里のマイコン屋(18) 絶滅危惧種4ビット、欧州の牙城EM

今日はある種の新年会とて気持ちよく一杯飲んでいたので「筆」も軽く、団員も数名増えそうとてめでたい限り。

さて、古くは「電卓」のために生まれた4ビットCPUですが、その後、家電製品などで一気に拡大放散、生態系のあらゆるところに蔓延った時代がありました。しかし、それも今は昔、電卓用、家電用などはすでに絶滅してしまっていると言ってよいでしょう。そんな絶滅危惧種の4ビットマイコンですが、今生き延びているそれは深く時計関連業界と結びついている、と言っても過言ではありません。

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鳥なき里のマイコン屋(17) 絶滅危惧種4ビットをEPSONに見る

絶滅危惧種4ビットマイコンを調べています。前回は台湾のTenx社を調べ、4ビットマイコンは「LCDドライバ」のオマケに4ビットのCPUが付いているのだ、と言ってもよい、などと書いてしまいました。国内ではどうでしょうか。日本が家電製品などで世界を席巻していた昔は多くの会社で4ビットマイコンが作られていましたが、既に4ビットから撤退したところも多いようです。そんな中、今だに4ビットを販売している国内メーカーがありました。エプソンです。

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鳥なき里のマイコン屋(16) Tenx、絶滅危惧種4ビットのニッチ

前回、マイコン業界の絶滅危惧種ということで4ビットマイコンについて書かせていただきました。早速、そんな4ビットを未だに生かしつづけてくれている希少な会社を経めぐっていこうと思います。最初に取り上げさせていただくのは、台湾のTenx社です。ここのホームページの”Recent Update”の項目の最初には、

Taiwan’s sixth largest MCU IC design company

と書いてあります。”sixth”、なんか微妙です。

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鳥なき里のマイコン屋(15) 消えゆく4bitマイコン

レガシー8051で引っ張るのももう限界、そろそろ別な「レガシー」ネタも設定しておかないと、ということで「4ビット」マイコンを取り上げさせていただくことにしました。ご存知かとも思いますが、世界初のマイクロコンピュータ、インテル4004は4ビットでした。ですから、マイコン業界で4ビットマイコンは「元祖」とか「本家」とか言われるべき本流だった筈なのですが、いまや絶滅危惧種になっています。

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鳥なき里のマイコン屋(14) シリアルポート、デジタル系センサ接続

直接、電圧を測る、あるいは電流を測らないとならないセンサの場合は、どうしてもアナログを避けては通れませんが、この頃は「デジタル接続」の「センサ」の品種が大変と増えたので便利です。多くはセンサの内部に測定回路まで含まれていて難しいアナログの部分は隠してくれています。多くの場合、何かコマンドを送れば設定がいろいろでき、結果はデジタルな値で読み出せるようになっています。そういうデジタル接続の「センサ」をマイコンに接続するときに使われるのがシリアル系のインタフェースです。今日はマイコンのシリアル・インタフェースを調べていきます。

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鳥なき里のマイコン屋(13) TIにも8051発見

業界じゃTexas Instruments社(TI)のMCUといえばMSP430で決まりです。大ベストセラー。一応16ビットというカテゴリになっていますが、8ビットクラスの小規模なところにも手が届く豊富なラインナップじゃないでしょうか。勿論、32ビットではArmも使っています。アプリケーションプロセッサ系では当然ですが、MCUでもArmコアの製品群があります。そんなTIに8051の入り込む隙間があったのか。いよいよ「Armのお供にレガシー8051説」崖っぷちです。

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鳥なき里のマイコン屋(12) タイマー、周辺回路をささえる

いままでMCUのコアばかり探ってきましたが、そろそろ周辺回路にも目を向けていきたいと思います(勿論、まだまだレガシー8051とArmを探すつもりです)。周辺回路もいろいろある中、まず間違いなくほとんどのMCUに必ず搭載されているものが「タイマー」回路です。用途によっては「カウンタ」という名で呼ばれることもありますが、基本的な回路構成はかわりません。これで結構いろいろな関連用語が使われるので、本日はその辺をおさらいしていきたいと思います。

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鳥なき里のマイコン屋 (11) 中国MCU調査第1回

レガシー8051を追いかけていると、否が応でも中国(人民共和国)のMCUベンダ各社を調べてみないとイケなくなります。欧米日本などが、合併、買収等によってMCUベンダの数がどんどん少なくなり、その結果、製品ラインも絞り込まれる傾向がある中、中国のMCUベンダ、いったい何社あるの?数え切れない、という感じです。まさにここは勃興期で、昔、狭い日本にMCUベンダが溢れていたごとく、雨後の筍か百花繚乱か、といった塩梅。勿論、レガシー8051も、Armも登場します。今回は第一回ということで、調べられた限りのMCUベンダを列挙したいと思います。

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鳥なき里のマイコン屋(10) On Semiconductor

今日調べるのは On Semiconductor です。この名前になってからも20年くらい経過していますが、ある意味ここはとても歴史があるのです。母体となったのはモトローラ社の半導体部門の「一部」です。モトローラ社の半導体部門の分社化といえばフリースケール・セミコンダクタ社(今では第2回でとりあげたNXP社の一部ですが)が有名で、こちらの会社が旧モトローラのMCUを含む集積規模の大きな半導体製品は皆もっていったわけです。On社の方に残っていたのはディスクリート(集積回路でない)半導体と、パワー系、アナログ系といった渋い半導体ばかり。だからそのままではMCUの話には出てこない筈。でもこちらの方が実は儲かるのですかね。SoCプロセッサなど、開発にお金がかかるので、一発外れるとダメージが大きい。その点、渋い「玄人」向けのデバイスを受け継いだOn社は、着実というより、かなり急速に成長しています。原動力は「買収」です。

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鳥なき里のマイコン屋(9) Z8とZ8051

そろそろ「Armのお供にレガシー8051」説も打ち止めにして、次の話題に進みたいものだ、と考えている今日この頃なのですが、まだまだ成り立ってしまう事例が現れてくるのです。今日取り上げさせていただくのは、IXYS CORP.という米国の会社です。パワエレの会社で、正直、あまり馴染みがありません。しかし、この会社に「Z80の」Zilog社が買収されていたのです。さらにIXYS社はLittelfuse社というもともとヒューズの会社だったらしい会社(あちこちの会社を買収しまくっている)に買収されたので、Zilogはいまやヒューズの会社の孫部門ということになるようです。最近、合併とか買収でMCU製品が「呉越同舟の梁山泊」状態、になっている会社が多いですが、ここもまた例外ではありませんでした。

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