
シングルチップ・マイクロコントローラ、MCU、CPUにROM/RAMまたは相当のメモリと周辺回路まで集積した「マイコン」、そのメーカーも一巡できてしまった感じ(もし落ち漏れあったらご指摘ください、慌てて追加いたします)なので、どうしようかとしばらくお休みしておりました。満を持してということはまったく無いのですが、第2部ということで開発ツール編をスタートしたいと思います。今回は、スタートにあたり前置きかな。
デバイス作る人>>デバイス使う人>>デバイスおたく
頭の片隅にその名はちらちらしつつも、いままで避けてきていましたものに
RISC-V
があります。最近「盛り上がっている」オープンな命令セットアーキテクチャです。
オープンで自由だ
などと言われると何かよさげでつい浮かれて乗ってしまいそうな気もするのですが、ちょっと懐疑的な気持ちもあるのです。自由の裏にはそれを維持するための努力がとっても必要だから。でもそろそろ避けているわけにもいかない時期に来ているようです。
RISC-Vは「アーキテクチャ」であるので特定の実装に依存することはありません。しかし、その実チップとなれば実体ハードウエアを持たざるを得ず、特定の実装になるわけです。そこで登場するのが、「実チップ」を手掛けている会社ですが、その中でSiFive社は本命的な一社じゃないかと思います。この会社がカバーしようとしている「実装」は、Arm Cortex-Aシリーズクラスの比較的ハイエンドからCortex-Mシリーズクラスのローエンドまで幅広く含むようです。下の方はまさにマイクロコントローラ(MCU)領域、そして、実際「マイクロコントローラ」に分類せざるを得ない「実チップ」も出しているようなのです。この投稿のシリーズ、実装とその売り方(売られ方)に興味があります。いたしかたありません、RISC-Vのマイクロコントローラを眺めておきましょう。
後回しにしていたら、先月2019年2月に新製品のプレスリリースが出ていたことに気が付きました。TDK-Micronas社 堂々のArm Cortex-M3搭載MCUの新機種を発表です。TDKという名を冠しているとおり、日本のTDKの傘下にありますが、こちらドイツの会社です。マイクロコントローラメーカの一覧表の「欧州」分類に追加しないと(後で時間があるときに改定いたします。)TDK-Micronas社は、ホールセンサを車載や工業用途向けに売っているのがメインに見えるのです。そして、センサ側(位置を見張る側)からアクチュエータ側(位置を動かす側)に守備範囲を広げていくのにあたり、「スマートな制御」のためにプログラミングの必要が出てきて、徐々に「マイコン屋」化していったのではないかと推測されます。かなり珍しいケースではないかと思います。
MCUで検索すると、このシリーズでフォーカスしている “MicroController Unit” (マイコン)でなく、アメコミ映画で有名な、”Marvel Cinematic Universe” の方がヒットしてしまいます。その上、半導体業界には、Marvelと綴りの非常によく似た Marvell社も存在します。大手半導体企業群の一角を占める会社といってよいでしょう。ネットワーク関係、ストレージ、モバイルと結構手広く商売している中で、「間の悪いこと」に「こちらの 」Marvell社にも MCU (マイコン)が存在するのです。その名は88MW320。前回、WiFi搭載の8ビット系マイクロコントローラを取り上げさせていただきましたが、WiFiを売りにしているという点では、こちらの方が本命かも。
Digi International社というと、ZigBeeなどの無線モジュール製品などを思い浮かべる方が多いのではないかと思われます。開発キットなども充実していて使いやすい製品がそろっている印象です。実験、試作、少量生産に適する「出来合いの通信モジュール」の会社という理解で、使用しているマイコン類などのチップは全て外部から調達しているものと考えていました。勿論、外部から調達しているチップも多いのですが、一部は自社内に持っていたのです。
今回調べさせていただく Rabbit という名のプロセッサはもともとRabbit Semiconductorという会社の製品だったのですが、いつの間にかDigi社に買収されており、RabbitはDigi社のブランドになっておりました。それだけでなく、Digi社の方向性とマッチして、独自の進化を遂げておりました。なかなか強力。
私の乏しい数度の個人的体験(それも10年以上前ですが)では、「寒かった」印象が残っているのです、シンガポール。オフィスの空調がどこの会社も効き過ぎ。ネクタイ締めて、上着を着ていてもシンシンと冷えてくる。外は晴れて暑いのに。それはさておき、当時、ある日本の会社のマイコンの設計を「外注」で受けている半導体会社がありました。シンガポールにもかなり昔からマイコンを設計できるエンジニアがいたのです。働いている人は、半分が中国系、半分がインド系という感じ、ちょうど両側の世界の接点的な位置にあるのでさもありなん、という感じ。シリコンバレーの設計もアジア系が多いので、似た雰囲気。さて、エンジニアがいるのですから、マイコンの会社がシンガポールにあっても不思議ではありません。そうです、あります、Bridgetek社です。ただ、今回、事情あり、個別の機種の説明は無くても済むか。
欧州というかドイツ半導体の巨人、Infineon Technologies社が後回し(?)なっていたのは他意はありません、たまたまです。MCU業界をひとわたり巡回しきるにあたって(といってまだ取り上げたいところはあるのですが)、トリということでご登場願うことにいたしました。Infineon社は、ドイツが地盤という土地柄からも、当然、
MCU製品は車載がメイン
です。他の車載向けMCUを展開している会社のHPを見ると、まず汎用品があり、車載品への入口もあるのですが、車載品の詳しいことは営業にお聞きください的なスタンスが多いです。(車載品、は車のプロの人以外来てもらっても困るということです。)しかし、Infineon社では何も言わなかったら車載、みたいな徹底ぶりです(というかドイツ人は皆、車屋さんにも思えます)しかし、そこにもコアの用途を整理して、車載以外にも住み分けを図る意図のようなものが感じられました。
台湾は、マイコン屋らしいマイコン屋が多くて良いです。その中でも本日調べさせていただく Sonix社は、調べるほどに製品の層の厚さを感じる上に(マイコンは多品種でなけりゃ)、ねらい目に合わせて特徴(周辺回路の味付け)も出ていて流石だと思います。惜しむらくは、ターゲットが比較的ローエンドのアプリ向けだというところ。まず、お値段的には、それほど美味しい商売にはならないんじゃないかしら。でもね、「マイクロコントローラ商売は薄利多売と見つけたり」でしょ。地道に行きましょ、地道に。
もう一息で主要なマイクロコントローラ・ベンダを走破できそうな雰囲気になってきたので、さっさと行きたいと思います。本日は、台湾のマイコン屋さん、Elan Microelectronics社です。ビジネス的にはタッチ系の入力用ICの方がメインになっているのかな?と思いつつ、昔ながらのマイコンもしっかりやっている感じがします。
前回に引き続き、米国の、規模は小さいけれど変わったユニークなマイコン屋さんを取り上げさせていただきます。その名はWestern Design Center (WDC)です。「Armのお供に8051説」を追いかけていた第8回、台湾Megawin社でArmや8051に混じって6502ベースのMCUがあったとご報告しておりました。Megawinの6502コアが、「分家」の末流ならば、WDCは6502の家元か本家といったところでしょう。こういったマイコン屋さんが消えずに存在するのを見るにつけ、6502の栄光の大きさと、米国のマイコン文化の奥深さを感じます。
時々、米国には変な、というと申し訳ありませんが、ユニークな会社が存在します。このCybernetic Micro Systemsもそのような会社の一つではないかと思います。シリコンバレーの中心地、スタンフォード大あたりからだと、海岸の山地(結構高い)を越えて、太平洋の方まで出ないとなりません。当然「バレー」の中ではありません。お休みのドライブには良いかもしれませんが、ビジネス向けのロケーションではありませんな。この会社のメインは、ステッピングモーターのコントローラなどだと思うのですが、あるのです8051が。それもかなり「ユニーク」な味付け。
“鳥なき里のマイコン屋(31) Cybernetic Micro Systems P-51、マニアックすぎ” の続きを読む
マイコン(マイクロコントローラ)をメインに推している半導体ベンダもあれば、他の主力商品の影でひっそりとマイコン売っているベンダもあります。このシリーズでは「丹念」にそういう「ひっそり系」?ベンダもカバーしていきたいと考えております。今日はそのような中の1社。Integrated Silicon Solution Inc.(略称: ISSI)のマイコンを調べさせていただこうと思います。
今日は迷いました。「鳥なき里のマイコン屋」は、マイクロコントローラ(MCU)を経めぐるつもりのものですが、これってMCUに入れて良いのかどうか。しかし、「自己規定」として、microcontroller、MCUの文字が見えるので、やっぱり持ち主の判断を優先するべきだろうと考えました。さらに言えば、この「持ち主」の会社というのもこれまた迷うのです。開発元、型番的には台湾半導体大手、Androidのスマホ向けSoCなどでおなじみのMediaTek社の製品です。しかし、MediaTek社の該当製品の紹介ページから引用させてもらうと、
Please note this product is now managed and sold by AIROHA, a MediaTek subsidiary.
ということで子会社のAIROHA社に移管されているようです。というわけでMT2523シリーズ・マイクロコントローラにGo!