介護の隙間から(16) GPSは辛いよ

JosephHalfmoon

素人目に考えると「徘徊検知」という言葉からまず発想できた「センサ」はGPSでした。なんらかの形で徘徊する人にGPSを「持っていて」もらえれば、今何処にいるのか直ぐに分かるからです。(身の回りの物にこっそり「取り付ける」感じになってしまうかもしれませんが)実際、何社もGPS応用製品を福祉用具として登録されている会社はあるのですが、介護保険適用という観点ではGPS端末はかなり苦しい感じです。GPS端末「も」やられている数社の製品を通じて、どの辺にボーダーがあるのか「観察」させてもらいました。

今回、調らべさせていただいたのは以下の3社さんです。

いずれも徘徊する方の身の回りの物に取り付ける小型のGPS端末と、介護保険適用(貸与品)になる徘徊検知機器の両方を手掛けてらっしゃいます。

チェリー・BPMさんの場合、小型のGPS端末を自社開発されているということで、靴に取り付けるタイプ(ちょっとスパイ映画っぽいですが)と、「お守り」型の2種類を出されています。特にGPS対応シューズに関して特許を取得されているということで、Web上に特許証の写真が掲載されています。しかし、これらのGPS対応のタグについては介護保険適用の貸与品にはなっていません。これとは別に、介護保険適用になる徘徊検知機器も手掛けられていて、こちらはアクティブ型のRFID応用と思われるタグを、RFID受信機で検出してさらに居室等に設置したチャイムを鳴らすという徘徊検知機器ではありがちな構成です。GPS対応のタグとRFID応用と思われるタグと比べると、ぶっちゃけ外形はまったく同じもののようです。ただ、重量が異なるので内部に搭載されている回路は違うということは推測できます。RFIDで玄関口などで徘徊に出る水際で検出する方式のシステムが貸与品として保険適用になるのに、GPS対応のタグが貸与品になっていないのは、通知に使用している無線のためではないかと推測されます。使っている通信方式はFOMAです。これにより広い範囲をカバーできる反面、FOMAという「一般的」なインフラを使ってしまったがために、介護専用の装置として判断してもらえないのだと想像します。実際、GPSの入っている一般的な端末はあまたあるので、GPSで計測した位置を携帯電話のインフラを使って送信する方式は用途を限れない、ということなのでしょう。

iSEEDさんと、ネクストシステムラボラトリーズさんのGPS端末もFOMAでの接続です。この2社のGPSタグの外形を見ると、上下はさかさまですが、同じ形状のシャーシを使っているように見えるので、もしかするとハードウエアの供給元は一緒なのかもしれません。やはりテクノエイド協会を調べると、2社のGPS端末ともTAIS登録はされていますが、「貸与」分類にはなっていませんでした。ただ、iSEEDさんのホームページを読んでいくと、『介護保険貸与を受けられる可能性あり(市町村による)』という記述を見つけました。どうもここの解釈には、グレーゾーンがあるのかもしれません。

なお、2社さんともGPS端末でなく、動体検知からアラームを鳴らす方式の徘徊検知機器もやられていて、こちらの方は「貸与」分類です。ネクストシステムラボラトリーズさんは人感センサ(記述から焦電センサだと推定されます)で検出する方式です。介護者にメールで通知することもできるようですが、ただし、「インターネット環境は自己負担」と明言されています。一般的な通信環境が保険適用にならないのは第12回でも見た通りです。iSEEDさんの方は、動体検知は、カメラを使うのがメインのようで、それ以外のオプション的なセンサとして、一般的なマット型センサや反射式の超音波センサなども追加できるようです。それらの検知機能についてはいずれも保険適用になるようです。そしてインターネット(WiFi)インフラが既に存在している前提でインターネットを使った通知機能も含まれているのですが、インターネットの無い環境向けのLTE通信ユニットはオプション品で、かつ保険の対象外です。

なお、iSEEDさんは、マットセンサなどの検知結果をLoRa無線を使って比較的遠く(400mと記載あり)まで飛ばす徘徊検知装置もやられています。LoRa無線については第15回で取り上げさせてもらいましたが、そのときの使い方とは異なり、通常の徘徊検知装置の一般的な特小無線部分をLoRaで置き換えた、という形だと思います。このような方式では介護保険適用の貸与品に分類されています。

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