鳥なき里のマイコン屋 (39) MarvellのWiFiマイクロコントローラ

MCUで検索すると、このシリーズでフォーカスしている “MicroController Unit” (マイコン)でなく、アメコミ映画で有名な、”Marvel Cinematic Universe” の方がヒットしてしまいます。その上、半導体業界には、Marvelと綴りの非常によく似た Marvell社も存在します。大手半導体企業群の一角を占める会社といってよいでしょう。ネットワーク関係、ストレージ、モバイルと結構手広く商売している中で、「間の悪いこと」に「こちらの 」Marvell社にも MCU (マイコン)が存在するのです。その名は88MW320。前回、WiFi搭載の8ビット系マイクロコントローラを取り上げさせていただきましたが、WiFiを売りにしているという点では、こちらの方が本命かも。

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介護の隙間から(31) 心配なガスコンロ、対策いろいろ

高齢者の世帯でやはり心配になるのが、台所のガスコンロです。火災の恐れもあり、あるいは、ガス漏れ、不完全燃焼による中毒など、危険性はいろいろ思い浮かびます。しかし、調べてみると、実に多様な対策があり、かつまた、公的な制度として各種対策を支援してくれる自治体なども多数あることが分かりました。結構、知らなかった対策もありました。今回は実際に距離の離れた実家で一人暮らしをしている親を想定し、「電子デバイス」応用にこだわらず、対策のあれこれを列挙しておきたいと思います。勿論、中には「電子デバイス」応用も入ってます。

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土木でエレキ(9) ボルトの検査調べてみた

まったく土木・建築分野とは縁遠い人が知っていたくらいなので、未だに「高力ボルト需給ひっ迫」問題は続いているのでしょう。本日は需給を調べるつもりはまったくないのですが、参考までに、昨年、その問題を明らかにした国土交通省の調査へのリンクを張っておきます。

建設現場の高力ボルト需給ひっ迫を受け緊急調査を実施 8割強で工期に影響

ありふれたものを言うときに「ネジ、くぎ」みたいな表現をすることがありますが、今回はまさに「ネジ」の供給が律速になっていて、今の世の中の仕組みの不思議さの一端を見せてくれているようです。

さて、本題は「ネジ」の検査の方です。過去何回か橋梁の検査方法、といっても主にコンクリート側の検査を調べさせてもらってきましたが、そろそろ「鋼」の方にも調べを進めたい、と思っております。

「鋼」には「鋼」の流儀がある

に違いありません。

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鳥なき里のマイコン屋(38) Rabbit(Digi)、独自の進化を遂げた強力8bit CISC

Digi International社というと、ZigBeeなどの無線モジュール製品などを思い浮かべる方が多いのではないかと思われます。開発キットなども充実していて使いやすい製品がそろっている印象です。実験、試作、少量生産に適する「出来合いの通信モジュール」の会社という理解で、使用しているマイコン類などのチップは全て外部から調達しているものと考えていました。勿論、外部から調達しているチップも多いのですが、一部は自社内に持っていたのです。

今回調べさせていただく Rabbit という名のプロセッサはもともとRabbit Semiconductorという会社の製品だったのですが、いつの間にかDigi社に買収されており、RabbitはDigi社のブランドになっておりました。それだけでなく、Digi社の方向性とマッチして、独自の進化を遂げておりました。なかなか強力。

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IoT何をいまさら(10) AMS、センシングへの道

「IoTはデバイス・ビジネスではない」などと言われております。その心はデータを処理して「価値を創出」する側が利益の大半を持っていくのだということだと思います。それでも、デバイス側から取り組んでいらっしゃる「プレイヤー」様あり、かつまた「うまく行っている」場合もままあり。そんな「プライヤー」様を巡るシリーズとして、今回は、AMS社を取り上げさせていただきたいと思います。

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鳥なき里のマイコン屋(37) Bridgetek、熱帯のマイコン屋

私の乏しい数度の個人的体験(それも10年以上前ですが)では、「寒かった」印象が残っているのです、シンガポール。オフィスの空調がどこの会社も効き過ぎ。ネクタイ締めて、上着を着ていてもシンシンと冷えてくる。外は晴れて暑いのに。それはさておき、当時、ある日本の会社のマイコンの設計を「外注」で受けている半導体会社がありました。シンガポールにもかなり昔からマイコンを設計できるエンジニアがいたのです。働いている人は、半分が中国系、半分がインド系という感じ、ちょうど両側の世界の接点的な位置にあるのでさもありなん、という感じ。シリコンバレーの設計もアジア系が多いので、似た雰囲気。さて、エンジニアがいるのですから、マイコンの会社がシンガポールにあっても不思議ではありません。そうです、あります、Bridgetek社です。ただ、今回、事情あり、個別の機種の説明は無くても済むか。

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介護の隙間から(30) デイサービスの送迎にもICTだ?

前回が介護事務の話で、前々回はデイサービスのリクリエーションにもAIロボットみたいな話だったので、デイサービスの送迎などで何かないかね、と思って探していたら、やっぱりありました。またしてもICTが。ちゃんと電子デバイス使っているハードを駆使しつつ(この点デバイス開拓団的にはありがたいですが)、実際の付加価値はクラウド上です(またもやクラウドでリカーリングかサブスクリプション・モデル?)。確かにハードばかりでは「誰さんと誰さんは仲が悪いから」とか配慮しつつ(結局それに気付くのは人ですが)、駐車場所にも気を使い、常に何か予想外の事態が発生する中で安全運行をしなければならない(運転するのも人ですが)というのはできません。なかなかキツイ問題に毎日対応されている現場のご苦労は大変だと思います。しかし「この辺」に切り込みたくなった管理する側の人にはアピールするシステムに見えます。

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土木でエレキ(8) 橋の崩落の歴史

土木素人が、橋梁の維持、管理のための「見守り」装置などを調べさせていただいております。それでは、そういう「見守り」などしないとどうなるか? 落橋、橋の崩落といった事態に至ることが考えられるわけでございます。実際には、維持、管理に当たっている方々のお陰で、大事に至らぬ前に、架け替えられたり、あるいは通行止め(予算の都合でこのごろ増えているみたいですが)になったりして未然に防がれているケースがほとんどだと思います。しかし、それでも落ちることはあるのですね。本日は、「エレキ」をちと離れて、橋の崩落の歴史を短く辿ってみたいと思います。

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鳥なき里のマイコン屋(36) Infineon、車載とパワー

欧州というかドイツ半導体の巨人、Infineon Technologies社が後回し(?)なっていたのは他意はありません、たまたまです。MCU業界をひとわたり巡回しきるにあたって(といってまだ取り上げたいところはあるのですが)、トリということでご登場願うことにいたしました。Infineon社は、ドイツが地盤という土地柄からも、当然、

MCU製品は車載がメイン

です。他の車載向けMCUを展開している会社のHPを見ると、まず汎用品があり、車載品への入口もあるのですが、車載品の詳しいことは営業にお聞きください的なスタンスが多いです。(車載品、は車のプロの人以外来てもらっても困るということです。)しかし、Infineon社では何も言わなかったら車載、みたいな徹底ぶりです(というかドイツ人は皆、車屋さんにも思えます)しかし、そこにもコアの用途を整理して、車載以外にも住み分けを図る意図のようなものが感じられました。

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鳥なき里のマイコン屋(35) Sonix, 音声マイコンの世界のリーダー?

台湾は、マイコン屋らしいマイコン屋が多くて良いです。その中でも本日調べさせていただく Sonix社は、調べるほどに製品の層の厚さを感じる上に(マイコンは多品種でなけりゃ)、ねらい目に合わせて特徴(周辺回路の味付け)も出ていて流石だと思います。惜しむらくは、ターゲットが比較的ローエンドのアプリ向けだというところ。まず、お値段的には、それほど美味しい商売にはならないんじゃないかしら。でもね、「マイクロコントローラ商売は薄利多売と見つけたり」でしょ。地道に行きましょ、地道に。

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鳥なき里のマイコン屋(34) Elan、4bitの香りの8bit

もう一息で主要なマイクロコントローラ・ベンダを走破できそうな雰囲気になってきたので、さっさと行きたいと思います。本日は、台湾のマイコン屋さん、Elan Microelectronics社です。ビジネス的にはタッチ系の入力用ICの方がメインになっているのかな?と思いつつ、昔ながらのマイコンもしっかりやっている感じがします。

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介護の隙間から(29) ICT化で書類削減というけれど

今日のテーマは、介護される側にはほとんど関係なく、介護する側(それも家庭内ではなくプロ)にかかわる問題です。

介護と書類(事務処理)

です。最近、ICT化で介護の事務処理の負担軽減、みたいは話をよく目にするのです。しかし、現場レベルでその手の話題を語っている方を目にしたことがなく(単に検索にかからないだけかもしれません)、多くの場合は、お国とかICT屋さんが語っているようです。雰囲気から察するに「上の方から落ちてきている」ような気がします。それでホントに介護する人たちが楽になるのなら良いですが、どうなんでしょうか。そうはいっても着々とICT化は進むことでしょう。 “介護の隙間から(29) ICT化で書類削減というけれど” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(33) Dragonchip、リモコンに生きる?

スマホやスマートHOME系のデバイスが広がってくるとそのうち無くなってしまうのではないか、と想像されるデバイスの一つに「赤外線リモコン」があります。ボタンを押したらテレビがつく、あれです。といっても現段階ではまだまだ絶滅の恐れはないでしょう。「平均的なご家庭に」はテレビ用やエアコン用など複数台のリモコンがあると推測されます。全世界の総数を想像するとトンデモない数です。しかしついていて当然、無いと不便ですが、あったからといって他と差別化できる部分も少ない「デバイス」です。正直、家電屋さんにしたら無くせるものなら無くしてコスト削減したい「デバイス」ではないかと思います。

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土木でエレキ(7) AIの活用を道路の点検技術にみる

前回、AIとかICTとか使って何をやりたいの?みたいな視点で勝手に調べてみました。今回は、AIといって具体的にどんな算法を使っているのか手がかりないかと調べてみることにいたします。またもや手がかりにしたのは、NETISの維持管理支援サイトです。前回までは主にコンクリートの道路橋中心に調べさせてもらいましたが、今回は道路の舗装が対象です。昨年の年末に『「路面性状を簡易に把握可能な技術」の事後評価結果について』という「お知らせ」が公開されていました。ここに「いくつか手がかり」があったのです。

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