備忘録 2020/07/25 「仕事を楽しむ」

 あなたは仕事を楽しんでますか?
『失われた20年』が『失われた20年』となり『失われた30年』を経過した日本経済の低迷の一要因として『仕事を楽しむ』があるのではという仮説を立てました。逆説的には、経済低迷のために仕事が楽しめないという「鶏と卵の関係」でもあるかもしれません。
 まさかと思いつつ、Wikipediaにて『失われたxx年』の項目を探すと、10年、20年、30年は全て存在しました。『失われた40年』の項目は今のところありません。

 2020/07/28: 特許庁資料修正 2019→2020年版、◆ 働き方改革 の追記


◆ 日本経済の統計

 日本経済の低迷の現状を、統計指標で振り返ります。

▼平成最後の時価総額ランキング。日本と世界その差を生んだ30年とは?
 2019.07.17 by STARTUP DB編集部
 https://media.startup-db.com/research/marketcap-global

 平成元年と平成31年の世界時価総額ランキングのデータです。30年前には日本企業はトップ50のほとんどを占めていましたが、30年後の現在はトヨタ自動車の1社のみとなりました。実は、TOP100社でも、トヨタ自動車の1社みであります。

▼米中が火花 特許を巡る競争、図解で解説:日本経済新聞
 2020年02月12日 公開
 https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/patent-wars/
まずは各分野の国別出願件数の2000年以降の変遷をみてみよう。2000年当時日本は10分野中5分野で首位の座にあった。これが10年になると3分野に減った。そして17年には首位の座をすべて米中に明け渡した。

 「この記事は有料会員限定です」という表示で見ずらいですが、特許出願件数において日本の順位が低下している様子がビジュアルに示されてます。動画だと、リアルに競争力低下の危機感を感じます。


◆ 特許統計

 次は、特許庁が発表した特許統計を見てみます。

▼特許行政年次報告書2020年版
 知財の視点から振り返る平成という時代
 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2020/index.html
第1章 国内外の出願・登録状況と審査・審判の現状(PDF:4,492KB)
 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2020/document/index/honpen0101.pdf
 ・Page.1 日本国内の特許出願件数は、過去10年以上に渡り減少傾向。
 ・Page.5 ③世界のPCT国際出願件数 中国が世界1位に、日本は3位。

▼特許の出願件数 コロナ影響で減少 米中との差鮮明に
 2020年7月23日 11時44分
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200723/k10012529621000.html
 日本国内での特許の出願件数の減少が続き、すでに新型コロナウイルスの影響から回復傾向にあるアメリカや中国との差が鮮明になっていることが分かりました。

 もともと減少傾向だった日本特許庁への特許出願が、新型コロナの感染拡大とともに急減しています。米国、中国は特許出願件数の回復傾向がみられますが、日本は特許出願件数の減少が拡大しつつあります。


◆ 『仕事を楽しむ』ために

 『仕事を楽しむ』で検索すると、ほとんどのWEB記事が働く人が自分で何とかしましょうという主旨の記事です。しかし、「自助努力」だけで何とかなればよいのですが、『仕事を楽しむ』ための環境や仕組みが必要と考えます。

 現状は、国政、経済界、企業経営の全てにおいて「仕事を楽しむ」という施策が足りているようには感じられません。
 残業を強制するブラック企業は問題です。しかし、Arahaのようにパフォーマンスが低いために、長時間のゆっくり仕事をして成果を出したいという人もいます。テレワークが普及することにより、個人の裁量で好きなペースで仕事ができればと思うのであります。
 テレワークなのに、会社と同じように定時勤務するように監視するシステムは、逆効果と考えます。

◆ 働き方改革

厚生労働省のHPには「働き方改革」に関する説明資料があります。

IT業界の働き方・休み方推進|働き方・休み方に関する資料
 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/it/doc.html

働き方改革実践編 平成31年度 働き方改革実践の手引き
 
~企業と社員のための働き方改革へ~(情報サービス業編)
 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/it/pdf/kaikaku1.pdf

《抜粋》働き方改革推進の考え方
 働き方改革推進の取組を5つのフェーズに分けて考えます。
・働き方改革を取り組む目的を検討(①目指す姿の明確化)
・現状何が課題かを把握した上で取り組む施策を決定(②計画フェーズ)
・実行する体制や詳細なスケジュールを決定し、施策を実施(③実行フェーズ)
・定期的に状況を把握し、適宜改善を実施(④確認フェーズ、⑤改善フェーズ)。
 これらの活動を継続的・持続的に推進するための仕組みづくりが重要。
①目指す姿の明確化 (Vision/Goal)
・「社員」の目指す姿の項目には、
 『働きやすさ・働きがいの向上、ワーク・ライフ・バランスの充実、
 自律的・主体的なキャリア開発支援、専門性・市場価値の向上等』
② 計画フェーズ (Plan)
 (1)目指す姿の実現のための課題を把握する
  例えば、労働時間や年次有給休暇取得日数を指標として現状を図る場合

 厚生労働省のWEBサイト内検索で、いろいろ探してみましたが、「働き方改革」の課題として挙げられているのは「長時間労働」のみでした。労働時間を短縮すれば、「仕事を楽しむ」ことに結び付くのでしょうか。あるいは、日本の国際競争力の改善に効果があるのでしょうか。

 「仕事を楽しむ」については、労働時間を削減した後に「働き方改革 Ver2.0」で目指すの? …というわけで、検索したら、既に2019年3月にありました。

働き方改革2.0 – みずほ総合研究所
 2019/03/13 – 働き方改革を進めるために必要な取組は何か?
 https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/urgency/report190313.pdf


◆ 都市伝説

 今は昔『プロジェクトX』という番組がありました。パワハラ上司や、長時間残業、などなど、「働き方改革」では許容できない内容が多いためか、再放送が封印されている模様です。

ごめんなさい「プロジェクトX 挑戦者たち」

 https://www.nhk.or.jp/onegai/detail/2086.html
 Eテレ、お願い!編集長。「再放送お願いします」
 「ごめんなさい 力至らず、再放送することができませんでした。」

 「プロジェクトX」は、成功例しか取り上げてないという批判もあり、昔の働き方に戻すことはできないでしょう。しかし、当時の日本人は苦労しながらも、現在よりも「仕事を楽しむ」ことができていたのではと思うのであります。

 「Japan as Number One」に危機感を覚えた欧米が、日本に仕掛けたものが「グローバル・スタンダード」の推進であるという仮説を立てました。つまり、欧米諸国は日本経済の躍進に対して、日本の手法をまねるのではなく、自分たちの土俵で戦いましょうとルール変更を仕掛けて成功したという仮説です。バブル崩壊後に、日本経済はずるずると失われたxx年から抜け出せずにいます。
信じるか信じないかはあなた次第です。


◆ Afterword

 知・好・楽 論語

 たまたま、寝ぼけ眼でテレビを見てたら、増田明美さんのインタビュー番組の再放送をしていました。最後は『知・好・楽』という言葉を座右の銘とされている話でした。
 「知・好・楽」を学校で学んだ記憶がありません。紀元前の「論語」は現代に通じる思想であることを改めて知りました。
 GAFAの社員は、仕事を楽しんでいるのだろうなと思うのでありました。

(出典)
増田明美「知・好・楽でみんなのテールライトに」~インタビューここから~
 2020年3月23日(月)
 https://www.nhk.or.jp/sports-story/detail/20200323_4452.html