鳥なき里のマイコン屋(107) Tontek、タッチに生きる?4bitMCU

JosephHalfmoon

お気づきの方もおられると思いますが本サイトには「調査用外部リンク集:マイコン関連」というページがあり、主要なマイコン(MCU)ベンダ様は「だいたい」列挙済などと思っていたところ、偉大なベンダが抜け落ちていたことに気付きました。私ども(?)が愛して止まない(そして絶滅危惧種な)4ビットマイコンの会社であります。台湾 Tontek Design Technology社。

Tontek社の発見(再発見?)にいたる経緯はこちらをご覧いただくとして、まずはTontek社のWebサイトから読み取れた会社概要的なものから記していきたいと思います。

  • 台湾、新北市(台北市の御隣?)の会社、設立は1986年10月
  • 従業員は50名強

まずは会社の規模感を表す売り上げ規模を調べてみました。こういうときに台湾の会社は助かります。株式を公開していればちゃんと投資家向けに決算情報などが開示されているからです。メインランドの方は、株式公開しているようでも、開示されている項目が微妙で良く分からないのに比べたら段違いです。ただ英文資料がなかったりするので、繁体字中国語のレポートをGoogle翻訳のお助けにより読むしかありませぬ。

  • 中華民国109年Q2の売り上げ約5億円(わたしの換算間違えてなければ)

中華民国歴109年は、西暦2020年の筈。今年の4~6月期のデータ。この会社は基本「コンシュマー製品向け」のデバイス屋さんのようです。すると、一般的にはクリスマス・シーズン向けの製造時期(秋口)での出荷が多いはず。ま、今年はコロナで例年のパターンとは違う気もしますが。レポートによると資金の回収は30~60日程度らしいので、Q2はどちらかというと「オフ・シーズン」の可能性もあります。それを無視してざっくり4倍すると年間20億円規模。想像するにがっぽり儲かるという程ではないでしょうが、カツカツやっていける?範囲なのかと想像されます。この売り上げ規模で、この会社の主力製品を見と、

年間の製造数量、数千万個から数億個

といった結構な数量を売っている筈。立派なデバイス屋さんです。

先ほども書きましたが、ターゲット市場は「コンシュマー製品向け」ですが、具体的にはどんなものでしょう。製品をみていくと、

  • 温度計、体温計
  • 温度計付き時計
  • 電卓
  • リモコン
  • スポーツ向けストップウオッチ
  • ハートレートモニタ
  • PIRセンサ(人感センサ)の制御

といった感じです。まさに、本サイトで連載されている「詠人舞衣子氏」が商っているような世界ではありませんか。その中でこの会社が特色だしている感じなのが、

  • タッチ・スイッチ(タッチパネル)

です。メカニカルなスイッチでなく、触れば「分かる」容量性のスイッチ。技術的には容量の変化のセンスと、温度測定に使うサーミスタなど抵抗の変化のセンスは、表裏一体なところがあります。ですから上の方の製品ができれば、タッチ・スイッチへくるのは割と自然ではないか、と想像されます。

さて、ターゲット市場は分かったのですが、ここに投入されている製品をみると大きく2系統の実装があることがわかります。

  • 4ビットマイコン+各ターゲット市場向けインタフェース回路
  • 各ターゲット市場向けインタフェース回路+制御論理

上はマイコン、下は専用ICですが、根は同根。比較的単機能でカスタマイズの余地が小さい(それでいてそこそこな数売れる)場合には専用IC、カスタマイズ部分が大きいときはマイコンといった使い分けでしょうか。

さて、そのマイコンですが、先ほどの「調査用外部リンク集:マイコン関連」というのを更新するために、どんなコアがあるのか調べないとなりません。

  • 4ビットマイコンのコアは自社開発らしいT4n6 (nには2とか数字が入る)
  • 数すくない8ビットマイコンのコアは6502

人気者6502がまた出てきましたが、これを使っているのは「テレビゲーム」向けのマイコン2機種のみ。それもテレビのインタフェースはNTSC、PALなどと書かれています。申し訳ないですが、古色蒼然とした仕様。一応、表の8ビット欄にも〇はしましたが、主力で売られているようには想像できません。

やはりこの会社のコアは4ビットマイコンのようです。一部のデータシートを読むと「4bit RISC」などと書かれているものがあるのですが、よくやるセールストークの類。4bitマイコンは固定長命令のものが多いので、「その点では」RISCだよね的なもの。ごく普通の4ビットです。ただ、私の個人的な意見では、

  • 近代化した4ビット

に分類されます。私の私見でありますが、近代化以前の4ビットの特徴は、

メモリがフラットでない。ページがある。

という点です。プログラムカウンタが8ビットしかなく、1ページ256バイトを超える場所に飛ぶときは上位アドレスを変更するジャンプをしなければならない的なもろもろの制限です。

Tontek社のT4n6コアのマニュアルを読む限り、ROMアドレスは12ビット、RAMアドレスは10ビットで、ほぼフラットに使えるような命令セットになっており、私的には「近代化済」に分類しました。勿論、一部には昔風のところが無い分けじゃないですが、使いやすい命令セットに見えます。

ただ、4ビットが絶滅危惧種になってしまうのは、4ビットのアセンブラを書く人も絶滅危惧種だという点。Tontek社には、今後も頑張っていただきたいものです。ここ3年ほど1株利益が低下気味なのがちょっと心配なのでありますが。

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