忘却の微分方程式(39) 反復練習3、スカラー行列と行列の決定

Joseph Halfmoon

今回はようやく線形代数っぽいところに入りました。でも最初は行列の「くせに」スカラー「みたいに」扱えるスカラー行列です。簡単かと思えば、Maximaの操作、クセが強い気がします。個人の感想です。すみません。反復練習していたら身に付くのか?少なくともまだ全然だな、自分。

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以下の参考書(以下URLは「改訂9」です)の、以前の「改訂1」版の演習問題をMaximaの練習用に使わせていただいております。本来目的と違う??

線形代数キャンパス・ゼミ 改訂9 馬場敬之/著

演習問題4の準備的な?

ある条件を満たす3次の正方行列Xを決定する、という問題です。スカラー行列を使って計算を進めていくようです。そこで、問題に入る前に、スカラー行列の生成方法を確かめておきます。

最初のEは単位行列(identity matrix)です。Maximaにはident()関数があるので簡単に生成することができます。

単位行列Eをスカラーλ倍すればスカラー行列が得られます。2番目はスカラー倍している例です。

λEは、対角行列(diagonal matrix)の特殊な例でもあります。Maxima関数 diagmatrixを使って3番目の例のようにしても直接得ることができます。直接生成できるくらいだから「良く使う」ってことみたいですなあ。

STEP0

さて、求めるべき3x3の正方行列Xを以下の「ベタな方法」で定義しておきます。今のところなんだか分からない、a,b,c…が詰まった行列だと。

STEP1

ここでスカラー行列の性質を確認したいと思います。

  • 行列にスカラー行列を左からかけても
  • 行列にスカラー行列を右からかけても
  • 行列に単なるスカラーλをかけても

なんだ、結局同じじゃん、と。こんな感じ。

STEP2

さて、最後に問題に使われる行列の定義なのですが、行列は、以下の行列とスカラー行列を加算したら得られるようになっています。こんな感じ。STEP3

さてようやく本題の演習問題です。

問題は以下のとおりです。

AX=XA を満たす3次の正方行列Xを求めよ

既には適当なa,b,c…と仮置きしてあるので、上記の性質を満たすような条件を求めるということになります。

に左からかけたときと、右からかけたときでは当然異なる行列が得られる筈ですが、どちらもスカラーλと行列と行列で書き直せる、と。その様子がこちら。

STEP4

上の結果から、の関係ではなくの以下の関係が成り立つように決めれば良いことが分かります。

FX=XF

Maxima様に計算をお願いすると以下のようです。行列の要素同士が一致するようにa,b,c…の関係を決めてやると以下のようになりました。あれあれ、がいなくなったらλも消えちゃった。

STEP5

結果は、a, b, c の3つだけからなる上三角行列になるみたい。分かったような分からぬような。

しかし、d:0 とか代入していっても、元の行列の中のdは0に勝手に書き換わったりしないのね。それでお答えの行列は上のようにしてみました。いろいろ奥が深いのか、クセが強いのか、Maxima様は。練習はつづく。

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