前回までサレンキー型アクティブ・フィルタの実習してきましたが、どうもサレンキー型にも「限界」あるみたいです。他の形式のアクティブ・フィルタも実習せよ、との思し召しのようです。今回は「状態変数フィルタ」だそうな。主要パラメータを個別調整可能だと。発明者3名様の頭文字をとって KHN状態フィルタと呼ばれることもあるみたい。
※「お手軽ツールで今更学ぶアナログ」投稿順 indexはこちら
※学生でもないのに勝手に実習をさせていただいておりますアナデバ様の記事(日本語版)が以下です。
ADALM2000による実習:アクティブ・フィルタ【Part 2】
KHN (Kerwin-Huelsman-Newcomb)状態変数フィルタ
前回まで実習してきた「サレンキー」も発明者2名様のお名前を「ひっつけた」ものでした。今回のKHNは3名様みたいです。前回までのサレンキー型は比較的シンプル回路でしたが、ゲインとQ値そして周波数の調整が独立にできないケースがありました。今回のKHN状態変数フィルタは回路規模は大き目になりますが、独立に制御しやすいみたいです。
例によってOP37は2個しかないんだが
上記アナデバ様の記事では、OP37オペアンプを3個使って今回の実習回路を組み立てることになっています。しかし実習部品が入っている筈のアナデバ製部品キットADALP2000にはOP37は2個しか入ってません。しかたが無いので「テキトーに見繕った場所のOP37」をOP27に置き換えてお茶を濁して実験することにいたします。目論見通りに動けばよし。。。
まずはシミュレーション
例によって最初はLTspiceのシミュレーションからです。シミュレーション上はOP37使い放題なので、アナデバ様の記事通りの回路を組んでみました。こんな感じ。
アナログ素人のお惚け老人は、オペアンプが3個もあると目が回って平常心でいられませぬ。しかしAC解析を実施。結果はこんな感じ。
いやあ、いい感じです。1個の回路から緑のLPF、ピンクのBPF、赤のHPFと3つの波形が取得できております。どうももう1個オペアンプを加えてやると、オールパスとかバンドストップとかも作れるみたい。万能?
ただ、今回のフィルタはHPFとLPFは波形が反転したりするので、過渡解析もしてみました。このときの周波数は10kHzとな。結果はこんな感じ、一番上が入力波形、黄緑がLPFの出力、赤がBPFの出力、赤がHPFの出力です。
でもね、上記の波形、ちょっと変でないですかい? LPFとBPFの波形がブッといっす。拡大すると分かります。およよ発振しているじゃあ~りませんか。
アナログ素人のお惚け老人にはアナデバ様の記事通りの回路の何処がマズイとか考える能力はありませぬ。見なかったことにして、実機実験の大問題、OP37の使用量を2個にして、1個をOP27で置き換える件に進みました。
その回路が以下に。赤丸つけたところをOP37からOP27に置き換えてます。
さあて、このときのAC解析の結果が以下に。
ザックリ見たところ、末尾の1個をOP27に変更しても大丈夫そうだね。
あれあれ、LPFとBPFの「発振」止まってる。拡大しても大丈夫そうな波形だ。発振対策のつもりなどなかったけれども末尾の1個を遅いOP27にしたら発振とまってしまったみたい。。。
実機で動作確認
手元のAnalog Discovery 2(アナデバ製ADALM2000でも同じですけど)では、一度に2チャンネルしか波形をとれないので、HPF、BPF、LPFと別々のグラフになります。
特性は「だいたい」予想どおりかね。
念のため時間波形も確認しておきます。黄色が入力波形、青色がフィルタ通過後の波形です。入力はシミュレーション同様10kHzです。
まあ、予定通りに動いている?ホントか?