『StudentZone』の2024年11月号、6種類の回路が列挙されているなか、まさかの実習1回、それもシミュレーションのみでした。「間が持たない」ので今回は解説はあるけれど具体的な回路がないものについて御勝手シミュレーション。その動作を味わいたいと思います。もとより素人のなんちゃって回路っす。大丈夫か?
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※学生でもないのに勝手に実習をさせていただいておりますアナデバ様の記事(日本語版)が以下です。
PLL使用のFM検波器
上記のアナデバ様記事に「例えば」といって列挙されている回路の中で、一番「ありがち」じゃないかと思ったのが、末尾のPLL(フェーズ・ロック・ループ)を用いた回路です。分かり易いし。
しかし、PLLを使ってFM復調する試みは、別シリーズの以下記事にて実施済(原理試作という美名のテキトーな回路)であります。
定番回路のたしなみ(22) CD4046でFM復調(FM Demodulation)
やっちゃってるので、今回はパスだな。残念。
パルス平均化弁別器
そこで、ということで次のターゲットとして選んだのが、
パルス平均化弁別器
であります。FM変調された信号をゼロクロス・ディテクタに通し、それをさらにワンショット・マルチバイブレータに通して「同じ幅」のパルスを得ると。FM変調された信号に応じてパルスの「密度」が変化するのでこれを平均化してやればアナログ波形に戻るだろ、と素人老人の浅はかな理解。デジタルっぽいので分かり易い?
そしてLTspiceシミュレーション「のみ」での実習としました。LTspiceで使用可能なパーツであればチップのお値段など考える必要なく使い放題。LTspiceライブラリの中から以下のチップを選びました。目についただけ?
LTspiceなのでアナデバ製(実際は買収されたリニアテクノロジー)のチップです。
LTspiceシミュレーション用の「なんちゃって」回路が以下に。
LTspiceシミュレーション結果
上記回路そのままのシミュレーション結果が以下に、一番上のペインがFM変調された入力信号です。R1とR3でかなり小さな振幅にして入力しとりますが、LT1394にとっては何でもなかったみたい。
真ん中の赤色がゼロクロス後の信号です。拡大するとFM変調の塩梅によって幅が広かったり、狭かったりするパルス波形になっとります。
それをワンショット・バイブレータで「等幅」のパルスにし、LPFをかけたものが黄緑の一番下の信号です。ま、確かに信号がとりだせてる?(大分キャリアも漏れ出ているケド。)
ただ、上のV(out)、100mV付近で振動していてチイセーです。
これはワンショットで作っているパルス幅が狭いせいじゃないかと思いました。LTC6993-1のデータシートをみると、R2に接続している抵抗値をデカくしてやれば幅を広げられるみたい。エイヤーで10倍、R2=500kΩにした場合のシミュレーション結果が以下に。
波形の見た目はクリソツだけれども、よくみれば振幅はV単位に約10倍。