
前回は一部界隈で今だ熱狂人気のLM308でした。今回も「遠き神代から生き残った」オペアンプの内部回路です。LTspiceのファイル名としてはLM741なんだけれども、お惚け老人は「μA741」と呼びたい逸品です。アナログ素人老人でも知ってる「知らないとモグリ(老人はモグリだけれども)」なオペアンプです。
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半導体業界の「古典」μA741オペアンプ
忘却力の老人がごたくを述べるより、Googleの生成AI、Gemini 2.5 Flash様にμA741が、いかに偉大な石だったのか、説明していただきたいと思います。
また、電子デバイス業界の総元締め?IEEE様には、μA741に捧げられた一頁が存在します。
IEEE Spectrum、Chip Hall of Fame: Fairchild Semiconductor μA741 Op-Amp
僭越を顧みず、お惚け老人が搔い摘めば(勝手な見解です)以下のようではないかと。
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- ロバート・ワイドラー様がフェアチャイルド・セミコンダクタでuA702とuA709を設計した
- uA709はまあまあ成功したが、フェアチャイルドはワイドラー様の給料を上げなかった(誰だ、その時の上司は?なお、シリコンバレーじゃ、自分の給料上げてくれと上司に言いに行くのはフツー)
- お怒りのワイドラー様はナショナル・セミコンダクタに引き抜かれ、LM101オペアンプなどを設計した。(当時の建物の位置は知らんけど、多分会社同士は直ぐ近く。ワイドラー様は引っ越しなどしなくてもチョイ通勤経路変更で済んだのではないかと)
- 一方、フェアチャイルド側では、フラガー様がuA709の後継機種としてuA741を開発した。
- これが馬鹿売れ、今にいたる。
なお、今回LTspiceのEducationalフォルダ内のモデルファイル名が、LM741となっているのは、
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- 現在LTspiceはAnalog Devices社の製品
- しかし元々はAnalog Devices社に買収されたLinear Technology社の製品
- Linear Technology社の創業者はナショナル・セミコンダクタ社出身者
ということで、「LM(ナショセミの型番)推し」が強いからでないかと(個人の見解っす。)
さらに言うと、ナショナル・セミコンダクタ社はTIに買収されたので、LM型番の製品はTI製品になっているもの多し、ということでTI様のサイトを調べてみると以下両方の型番のデータシートが存在しました。
https://www.ti.com/lit/ds/symlink/lm741.pdf?ts=1748616326691
https://www.ti.com/lit/ds/symlink/ua741.pdf?ts=1748655508639
LM741はナショセミ様の流れ、uA741の方はTI版?謎はつきぬな。
シミュレーションモデルとその結果
LTspiceのEducationalフォルダから、ロードした LM741.asc の回路が以下に。
例によって、赤枠内がLM741のIC内部に相当する回路っす(一部端折っているみたいだけど)
上記を御覧いただくと分かる通り、上記はゲイン11倍の非反転増幅回路です。振幅1V、オフセット0V、周波数1kHzの正弦波を入力に突っ込んで、出力波形を観察するようになってます。
ゲイン11倍の非反転増幅しておりますな。そういえばつい最近の別件シリーズで非反転増幅回路やった記憶。あっちは理想オペアンプだったけれども。
ま、「知らないとモグリ」なオペアンプやったよ。やったと言えるのか?