前回のIB(入力バイアス電流)に続き、今回も入力の特性パラメータです。入力インピーダンスとな。本文読んで2種類の入力インピーダンスについては「理解した」気になりましたが、前回に続き「自分じゃゼッテー」測定できん、こと確定。それどころか、どうもデータシートに入力インピーダンスが記載されていないケースもままある。ホントか?
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
入力インピーダンス
オペアンプには2つの信号入力端子がありますが、「通例」2種類の入力インピーダンスがデータシートに記載されるのだそうです。Rin、Differential Modeの入力インピーダンスと、Rincm、Common Modeの入力インピーダンスです。ざっくり言ってしまえば、2本の入力端子間のインピーダンスがRinで、入力端子とグランド間のインピーダンスがRincmであると。ここで1行引用させていただきましょう。
ほとんどのOPアンプ応用回路において、反転入力インピーダンスは負帰還によって非常に低い値になる
そりゃそうでしょうとも。外付けのフィードバック抵抗に接続しております。よってRinとRincmの⁺側だけが問題となるのだと。
また、Rin、Rincmなどとデータシートの記号にあわせ単なる抵抗のような記号を採用してますが、オペアンプ大全読めばZと書くべきことが納得されます。並列な容量もあるもんね。インピーダンスである、と。
またまた、毎度でてくる電流帰還形OPアンプはまた別な話であると。
手元の8ピンオペアンプどものデータシートを漁ってみた
現物の値を噛みしめないと忘却力の年寄は直ぐに忘れてしまうので、手元にある8ピンパッケージのオペアンプに絞って、いくつかデータシートを確認してみました。まさに忖度。アナデバ様のオペアンプ大全なので、リストアップしたのはアナデバ製品のみであります。他社のオペアンプは別件で使うので許してね。
できたリストが以下に
OpAmp | Rin(Typ.) | Rincm(Typ.) |
---|---|---|
AD8226 | 0.8GΩ||2pF | 0.4GΩ||2pF |
OP07C | 33MΩ | 120GΩ |
OP27G | 4MΩ | 2GΩ |
OP37G | 4MΩ | 2GΩ |
OP97F | 30MΩ* (Min) | — |
ADTL082 | 1012Ω | — |
AD8532 | — | — |
AD85067 | — | — |
LT1006 | — | — |
(日本語版の「参考」データシートがあるものはそちらを見てます。ダウンロード済なので。)まずですね、入力インピーダンスの記載のあったオペアンプも多いですが、記載のないオペアンプも結構あった、というこってす。そこで冒頭に掲げましたるアイキャッチ画像では、左の群れが記載があったもの、右の群れが記載がなかったものと分けました。
上記の表をみると「記載がない」(多分、気にせんでもいいじゃん)という気持ちにならないこともないっす。入力インピーダンス、そんなに小さな値の筈ないですが、カイデー、超カイデー。手元の装置で私は測れる気がしません。OP97FのRin記載値には注釈あり、設計保証だとあります。多分こんな値を出荷試験でイチイチ測定していられないので、設計時に製造バラツキその他を考えて、さらに念のためのマージンのせて、この値を超える(下回る)ような製品はありえへん、と追い込んでいるのだと思います。なお、どういうわけかOP97Fだけは Rin Differential Input Resistanceと書かれているにも関わらずOUTPUT CHARACTERISTICS側の欄に記載。なんでだろ~。
唯一 AD8226インストルメンテーションアンプは、抵抗値だけでなく並列のキャパシタンス値も記載。さすが「インストルメンテーション」っす。またADTL082は定番のJFET入力。抵抗値の書き方が「桁違い」っす。
これで「4-3 入力インピーダンス」は読み終わりっと。あれ、でも全部で1ページもないじゃん、この単元。トホホ。