いろいろあって(WBC見ていたのもその一因でしたが)少し間が空いてしまいました。気を取り直して『オペアンプ大全』読ませていただきます。今回は第2部Chapter-1の4-5であります。テーマは「オープンループ」ゲインとな。これぞOPアンプの核心?であります。今回も実験できそうな測定回路例あり、どうする?
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
オープンループゲイン Avol
OPアンプのオープンループゲインは非常に大きな値をとりますが、「理想オペアンプ」においては無限大なので、どんなに大きな値でも理想オペアンプからはズレとります。そして不安定な上にバラツキも多いのでフィードバックをかけて使うのだ、と。しかし、この節ではオープンループゲインに真っ向立ち向かう?のであります。
手元のオペアンプいくつかのデータシートを確認
『大全』には電圧帰還形のOPアンプの場合(勿論電流帰還形への言及もありですが)Avolが10万から100万といった値をとる、という「相場」感が最初に述べられてます。しかし、手元にあるオペアンプ共はどんな値なんだか調べておくことにしました。といってデータシートを眺めただけですが。こんな感じ。
真ん中のTYP Avol欄が、今回テーマの値であります。左側のGBW欄は「高速オペアンプほどAvolが低い」というサガを実感するためのもの。最右端のTYP欄はTyp Avol欄の元になったV/mV単位(分母、分子Vなので無次元量だけれどもVをmVで割っているので1000倍されていることが分かる)でのデータシートの数字です。上記はすべてアナデバ様のオペアンプ(よいしょ)ですが、アナデバ様ではV/mV表記が標準であるようです(一部Avolがデカいデバイスでは V/μV表記になってました。)
上の4つは手元に実デバイスがあるので「いつでも」実験できるもの。最下行の灰色のOP177は所持していないのですが『大全』の本文で例として挙げられていたので含めてみました。なお、LT1006のGBWの値は数値としての記載がなかったので、「グラフ」から勝手に推定したものです。
まあ、Avolの値はTYPとしてますが、電源電圧とか、温度とかでいろいろ変化するみたいです。25℃の常温でそのデバイスにあった電源電圧の値をテキトーに選んでます。信用しないでくださりませ。
なお、高速オペアンプではGBWの記載はありますが、速度の速い信号を扱うことを主目的にしていない高精度オペアンプでは表だってGBWみたいな項目はたてられてないことも多いみたいっす。知らんけど。
非直線性を測定する回路
今回も図4-15に「オープンループ・ゲインの非直線性を測定する回路」という記載があり、回路自体はそんなに複雑でもないっす。「あ、これ、実験してみて~」と思ったのです。しかし、読み進めていて、いつものペースでいい加減な実験やっても「雰囲気でなそう」だったので、棚上げとしました。まあ、機会があればね(って何時だ?)
大体、100万とか1200万とかいう巨大な数字が出てくるので、出力に対する入力側はとっても小さな値。とっても繊細。ドリフト避けられるように正確な基準電源を使えなどとご指定があります。また、入力のランプ波の波形生成器の記述を読んでいても、オープンループのゲインのコーナ周波数はとても低いからとても遅い信号で「掃引」する必要がありそうでした。データシートを確認すると確かに。そして測定結果の例をみると 0.07ppm とな。ppmっす。いつものガチャガチャしたやっつけ実験ではありえへん、ということで今回見送り(今回だけじゃないだろ、何時もだな。)