お手軽ツールで今更学ぶアナログ(207) アナログ・ポリフェーズ・フィルタその1

Joseph Halfmoon

今回からアナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』の2024年8月号(和文版)です。再びフィルタ。しかし今回はアナログ・ポリフェーズ・フィルタ。「想定」されているのは入力信号からIとQを取り出して複素信号にしたい、ってことみたい。無線の風が吹いてきたような気がする。アナログ素人老人はビビルぜ。

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※学生でもないのに勝手に実習をさせていただいておりますアナデバ様の記事(日本語版)が以下です。

ADALM2000による実習:ポリフェーズ・フィルタ

アナログ・ポリフェーズ・フィルタ

遠くから匂ってきた?無線の風にビビッているアナログ素人老人ですが、今回実習の最初の回路はRCポリフェーズ・フィルタです。受動素子だけのRCローパスフィルタと、RCハイパスフィルタを組み合わせただけのもの。今回実験回路の素子数はたった4素子にすぎませぬ。

LTspiceの回路図が以下に。PolyPhase0_tranCircuit

Vinから入力した信号のローパス通ったLO_I信号と、ハイパス通ったLO_Q信号、その位相をば+45°と-45°になるように調整してやれば、あら不思議、複素信号である、IQ信号が取り出せたってことみたいです。分かったような、分からぬような。

時間領域(周波数は遅い)でシミュレーションした結果が以下に。PolyPhase0_tranSIM

入力信号 Vin が赤、I信号が緑、Q信号が青であります。ま、確かにここの周波数でも位相がズレとるので、周波数によってはズレた差が±45°で90°になりそうな気がしないでもないです。どうなんだ。

実機回路とその特性

たかだか抵抗2個とコンデンサ2個の回路です。一撃とばかりに組んだ回路が以下に。いいのかこれで?PolyPhase0_BB

測定のキモは、I側をReferenceにして、Q側のAC特性を見るというところです。実際に取得したグラフが以下に。なおいつものとおりアナデバ様が想定してらっしゃるアナデバ製ADALM2000ではなく、Digilent製Analog Discovery2でデータ取得してます。PolyPhase0_BB_AC

ここで一つ問題にぶち当たりました。アナデバ様の記事では「10kHzから30MHz」で掃引と書かれてるんであります。実際データを取得したらしいグラフも上限30MHzになっているみたい。でもね、Digilent製Analog Discovery2のWaveFormsで30MHz設定にしようとしても怒られます。上記のグラフのStop周波数のところは20MHzになってますが、ビックリマークが表示されていて、これは測定限界を超えてるぞの警告表示です。うううむ、回路機能上は「クリソツ」なADALM2000とAnalog Discovery2ですが、精度的にはAnalog Discovery2の方がやや上、という認識でおりました。ADALM2000だと30MHzでも大丈夫なのか?知らんけど。

まあ、結果はおおむねアナデバ様記事の結果に近い感じなので今回はOKということで。しかし、次回はポリフェーズ・フィルタの回路に差動増幅回路登場、大丈夫か?測れるのか?

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