あまりに暑い日が続くので、温度センサーねたです。温度センサーは何度か取り上げさせていただいておりますが、マイコンにシリアル接続すれば温度がそのまま読めるデジタル出力のもの、逆に温度で変化する物理的な何かを電気的な信号に変換する回路が必要なものなど目的と方式はさまざま。今回はAnalog Devices社の「温度センサ」2点、まとめて取り上げさせていただきます。
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Sensirion社のように、測定系を全てワンパッケージ化したデジタル温度+湿度センサを出しているところがあります。そういうセンサであると大抵のことはセンサ側で処理してくれるので、つまるところマイコンは測定結果を読み取るだけ、といっていいでしょう。ただし良いものはそれなりのお値段。また、数字で出てくるのはマイコンのようにそれを受け取って処理するものがある前提。一方、素材から出発しているセンサ屋さんなどは、温度で何か特性の変化する素子、例えば温度で抵抗が変化するサーミスタ、は提供してくれるものの、それを読み取る回路などは勝手にやって、というスタンスのところもあります。うまく回路さえ組めば2桁以上少ない部品代で目的が達成できるかもしれません。ただし、いろいろ非線形な特性やらなんやら、回路なりソフトなりは作る人次第。
観察するに、アナログ分野の大立者であるAnalog Devices社は、センサ・デバイスも手掛けていますけれど、その多くは、フルデジタルにあらず、また、回路抜きの単体センサ素子にあらず、
電圧か、電流、アナログ出力
のセンサデバイスが中心であるようです。ま、当然か。基本、オペアンプとかでセンサ出力を受ける感じ。勿論、マイコンのADコンバータでデジタルな数値へと変換しても良いのですが、アナログ信号であれば、そのままアナログな制御回路の入力として使って、温度に関係する何等かの制御に使う、ということが可能になります。当然、そのような用途を狙ってのセンサのラインナップ、オペアンプとの相性が良い筈。
今回とりあげさせていただくセンサは、見かけは非常に似ています。アイキャッチ画像に2個並べてありますとおり、2つとも3端子の
TO-92 パッケージ
の製品です(表面実装のタイプもあるのだと思いますが、ネタ元のADALP2000の箱に入っていたのがTO-92でした。)なんというかね、ディスクリートのトランジスタ(最近の表面実装の奴らではなく、古き良き「トランジスタ・ラジオ」の時代のトランジスタ)に混ぜて置いたらまず見分けがつかない。まあ、平らな面にちゃんと型番がマーキングされていますけれども。正直、虫眼鏡無いと読めません。蛇足ですが、1番ピンは平な面構えの正面に向き合ったとき一番左側です。データシートはボトムビュー。
さて、見た目クリソツの2デバイスでありますが、きっぱりした違いがあります。
- 出力が電圧
- 出力が電流
この辺のラインナップを見ただけで、アナログの権化、アナデバ様な感じがプンプンといたします。さて、電圧出力のタイプは、
です。詳しいことは、上記のページからデータシートを見ていただくことにして、大体な感じで言うと、5V電源とGNDの間にこのセンサをおいて、摂氏で4度変化すると0.1Vくらいの電圧変化が真ん中の端子観察できるようなセンサです。推奨回路でも、せいぜい出力に抵抗とコンデンサでローパスフィルタをいれてマイコンのAD端子に接続しています。勿論、オペアンプに接続するのもあり。そこそこ広い範囲の温度で簡単に測定できそうなので、いいんじゃないでしょうか。
一方、電流出力のタイプは、
これまた、上記のページからデータシートへ辿れます。非線形なネジくれ曲がった特性のセンサが多いなか、このデバイスをみると、素直な特性で「いい感じ」ではあるのです。しかし、電流の変化は摂氏1度あたり1μAです。電流出力なので、出力端子などはなく、温度でほぼほぼ線形に変化する電流源、といった感じのデバイスです。
今回、3端子素子、かつ、DC的な動作なので、例によってADALM1000(M1K)直結でちと動かしてみようとしたのです。まあ、AD22100の方は何の問題もありませんでしょう。しかし、AD592の1μAを直結はキツイ。まあ、時間も無いので「素直」にあきらめて、AD22100のみ動作させてみました。
動作もほとんどDCですから、全然スペクタキュラーなところはありません。ベタな平らな電圧信号が見えているだけ。黒いTO-92パッケージを指で触ってやると、下のグラフから2.0Vへ向かって、平らなグラフが徐々に上がっていきます。離すと、降りてくる。
温度を拾っていることは確認できた。回路簡単だし、こんどどれかマイコンのADにつなげて使ってみますかね。