部品屋根性(29) 火炎センサ(flame sensor)

Joseph Halfmoon

今回は、炎を検出する「火炎センサ」であります。上の画像のように炎を検出できる、と。手元の部品箱にあったセンサは特定周波数の赤外線を感知するタイプのもの。確かに検出できるのですが、誤動作も即座に体験しました。工業応用では異なる周波数帯を狙ったりもするみたい。とりあえず手元のセンサを自作Grove化してみました。

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まずは団子3兄弟ならぬ、赤外線(IR)系のT-1 3/4パッケージ(5mmなどとも呼ばれるみたい)のデバイス3品の写真を掲げます。

PINdiode Phototransistor FlameSensor

うち左の2つは、以下の投稿で「混ぜたら絶対にアカンやつやん」ということで並べてあった者共ですが、今回、右端にもう一つ火炎センサが加わりました。

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(15) QSD123 Infrared Phototransistor

左の2個はアナデバ社ADALP2000 Analog Parts Kitから取り出したPINフォトダイオードと赤外線フォトトランジスタ、そして右の火炎センサはお楽しみの中華部品キットKuman社 K4から取り出したものであります。上記の投稿にてPINダイオードとフォトトランジスタの識別はできるようになっていましたが、右側2つは同系統のフォトトランジスタなので私には無理。

お楽しみK4キットはデータシートが添付されている(ただしメーカー名無記載がほとんど)ことが多いのですが、この「火炎センサ」は、メーカ名どころか、データシートも見当たりません。ま、実験のための回路図とサンプルソフトは例の残念な日本語のマニュアルが付属しているので簡単に動作させることができます。今回は後で自作のGroveモジュールとするためにK4キットのArduino互換機ではなく、Groveコネクタを大量搭載したSeeeduino Lotusボードを使いましたが、サンプル回路とソフトそのままでまずは動作させてみました。

動作はしました、が、誤動作しました

冬とは言え、日差しの温かい午後でした。西向きの窓には薄いカーテンが降りていましたが部屋の中は明るい。そして天井にセンサを向けると火炎検出のスレッショルドとしてサンプルソフトにあげてあった値を軽く超えてしまうのでした。赤外線なので、太陽光で誤動作するんでないの、と危惧を抱いておったのですが、即座におきましたね。火炎検出に適用しようとした場合には何らかの誤動作対策が必要でしょう。なお、壁に向けたらスレッショルドは越えず、ちゃんと炎(ライターですが)を検出できました。ま、自作Grove化のところで「暫定対策」を述べます。

火炎センサの実体

まずはこの無銘の「火炎センサ」なるものの実体デバイスがどんなものなのか知りたいということで調べてみました。「Arduino業界」ではよく知られたもののようで、Groveインタフェースご本家のSeeedStudio社からは製品版のGroveモジュールも販売されていました。Kuman社の資料では”triode(3極管)”のような表現がされていましたが、NPN型のフォトトランジスタであるようです。型番的には、

YG1006

がArudino業界での定番。多分、手元にあるものもそれそのものなのか、「同等品」。トランジスタなので回路的には「3極」ですが、入射する光がベースを担っているので、ダイオードのように外部に出ている2端子は、エミッタとコレクタ。端子の長い方(ダイオードのアノードに見える)がエミッタ、短い方(ダイオードのカソードに見える)がコレクタ。回路上はコレクタを電源側にもってくるので、ダイオード的には逆方向に接続しているように見える。940nmあたりの赤外線に感度のピークがあり、だいたい760nmから1100nmの波長に反応するようです。可視光末端の赤を若干含み、近赤外線の可視光に近いあたりをカバーしているものと思われます。

産業用途の火炎検出

しかし上記のような赤外線検出であると、炎の検出もできるが、他のものも誤検出する可能性が高いと思われます。シビアな産業用途などではどうしているのか気になってちょっと調べてみました。以下のページがとても分かり易かったです。さすがAzbil社(年寄りには旧社名の山武ハネウエルが馴染み深いですが)。

燃焼安全の基礎知識

上記には、光以外の方法による火炎の検出も含め学ぶことが多いです。それをみると産業用途に多いガスバーナなどの監視では紫外線を検出しているみたい。プロユース。また、以下のページでは、ガス、重油、石炭など燃料別の使い分けと、自社の赤外線式は全部できる、みたいなことが書かれています。

MHIパワーコントロールシステムズ

やはり産業用途は奥が深い。

自作Groveモジュール化

さて、手元の「無銘」部品に戻ります。今回、手元の部品を端からGrove化するために秋月電子通商殿から仕入れたのは以下のものです。

GroveConnector_2_54x2mmPitchUniversalBoard

右はGroveコネクタ。純正SeeedStudio製。そして左のユニバーサルボードこそ、

片面2.54mmx2mmピッチ基板、AE-C6NTH2.54x2.0

であります。長手方向にからみれば2.54mmピッチ、短手から見ると2mmピッチ。手元の部品在庫はブレッドボードにあわせて2.54mmばかりですが、Groveコネクタは2mmピッチ。どうやって辻褄あわせるかな~と思っていたら、流石です。需要があるのですねえ。

自作Grove化火炎センサの場合、以下のような超簡単な回路といたしました。フレームセンサは、単に電圧を測って設定スレッショルドの上か下か見ているだけ(Arduinoの場合は、analogRead()して即判定)。ただし、先ほどのように外乱条件によっては誤動作しやすいので、サンプル回路が固定の10kΩだったところをトリマ抵抗に変更してあります。これで抵抗を落とせば「西日の天井誤動作問題」はとりあえず解決。泥縄。また、検出は、同じモジュール上のLEDをD1端子に接続して光らせることにいたしました。さきほどのテストはSeeeduino Lotusボード(Grove電源は5V)を使いましたが、3.3V電源でもこの回路は動いたので、Wio TerminalのGroveコネクタ(3.3V電源)に接続してみることに決定。

Flame Sensor Circuit

丸ごと1枚の基板面積は不要なので、4分の1にして作成したものの写真はこちら。左はホストに「選定」したWio Terminal。

SelfMade Flame Sensor Grove Module

これを使って炎を検出しているところ、先頭のアイキャッチ画像に。

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