お手軽ツールで今更学ぶアナログ(43) M1KでRC回路の過渡応答を観察、ちゃんとやってね

Joseph Halfmoon

アナデバ社(ADI社)のWeb記事「StudentZoneを初回からすべて」読み進めつつあります。最初の頃は読み物記事でした。実験が無いと文句をたれました。実験シリーズが始まった後は基礎実験はダルイなどと言っております。バチがあたりな。今回も基礎の基礎な実験、RC回路の過渡応答です。真面目にやれよ(自分)

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前回は、実験といっても「材料」は抵抗しか出てまいりませんでした。そしてDC。ただひたすらに抵抗を組み替えて、変化しない電圧、電流を測定すると。老人には結構キツイかったです。今回の2018年4月号は「過渡応答」です。ようやく時間変化のある信号が到来。RCです。抵抗に加えてコンデンサが登場。でもま、そんな期待するほどスペクタキュラーな実験になるはずはございません。

まずは、Web記事(日本語版)へのリンクをはりつけさせていただきます。

「ADALM1000」で、SMU の基本を学ぶトピック 4: RC 回路の過渡応答

ADALM1000(略称M1K)が、アイキャッチ画像にも掲げてありますアナデバ社のお手軽(お手頃)アナログ回路学習ツールです。SMU(ソース・メジャー・ユニット)こそ、このツールの神髄です。1本の端子が電源を兼ねる信号源であり、かつ電圧、電流を同時測定可能な測定器でもあるものです。

今回はそのお道具を使い、見慣れたRCの過渡応答を測れ、ということであります。例によって記事の末尾には問題も出題されております。問題なければ学習にならんだろ~というアナデバ社のポリシー、首尾一貫しています(端からやる、と心に誓ってしまったために、疲れるのでありますが。)

毎度の問題解答もあります。以下に(ただし解答編は英語のみ。)

April StudentZone Quiz Solution

でもね、解答編にそんなに期待してはなりませぬ。どうせ分かっているよね、的なそっけなさです。

さて以下はネタバレ含みますので、自習予定の方は見ないでくだされ。まず最初の回路のタウの計算です。電卓叩けば(といってPC上のですが)計算できますが(電卓も必要ないか)、それでは見栄えが悪いので、例によってElectrodoc使って計算しています(なんと有料のPro版です、広告が入らない。)

R=22k C=1uF上記で、題材の回路は明らかでしょう。ただし、アナデバ様らしいな、と思うのが、入力は2.5Vを中心にプラスマイナス2Vの方形波で駆動するようになっていることです。そしてキャパシタ端の出力電圧をGND基準で測定するようになっています。

ただ、この回路に恐れ多いことに1点疑問が。1μFのキャパシタを使っているのですが、わざわざ極性のある電解コンデンサが描かれているのです。最初ワタシは絵のとおり電解コンデンサを在庫から取ってきました。しかし、ブレッドボードにさしてから気づきました。コンデンサには2.5Vを基準に4.5Vから0.5Vまでの電圧がかかることになります。極性のある電解コンデンサはマズイんでないかい。ともかくコンデンサがあれば良いのでしょう、という理解で勝手に極性の無いコンデンサに変更して実験してしまいました。恐れ多い。

さて印加する入力の周波数には指定があり、まず最初に時定数の15倍以上の長いパルス幅を与えよ、とあります。こんな感じ。以下緑が入力波形、オレンジがキャパシタ端の出力波形です。

22k_1u_15Hz当然、上の例ではキャパシタは十分すぎるくらいに充電されます。このときに時定数を測れ、とあるので、以下のように測ってみました。この時間スケールでは入力信号はほぼ「垂直」に立ち上がっているように見えるので、トリガ点から単純に測定しても、ほぼそれらしい2.19ms(期待値は2.2ms)が見えます。22k_1u_Tau

つづいて、「ほぼほぼ完全」充電にいたる5倍のタウで測れ、との思し召しです。こんな感じ。

22k_1u_45Hz確かに5倍であれば100%に限りなく近いです。実用的には4倍で良いという説明もありました。珍しく、それを実験せよ、との思し召しはありませなんだ。

最後に充放電が6割チョイになるはずの1倍のタウのパルス幅で測れとの指示です。時間的に間に合わないので真ん中あたりで振れています。当然なのですが、電源入れた「出だし」のところは電圧低いところからダラダラ上がっていっており、真ん中辺のこの状態に落ち着く状態になるまではちょっと時間がかかります。22k_1u_227Hz

まあ、ひとあたり波形の観察もできたので完了かと思いきや、これまた例によって、回路の定数を変更して、もう一度繰り返せ、というご指示です。ともかくしっかり脳に焼き付くまでやれとの思し召しでしょう。かったるいなどと文句は言わず。

今度の定数の計算は以下です。

R=10k C=10nF
時定数の15倍の波形が以下に。正直、ちょっと飽きてきました。

10k_001u_333Hzただ、周波数が速くなっているので、M1Kで観察する入力波形もなまってきています。先ほどのように垂直に立ち上がっている感じでないので、入力波形の立ち上がりが分かるようにしてみました。入力の立ち上がりから約64%点まで100μsくらいかね、予定通りね。

10k_001u_Tau次は時定数の5倍のパルス幅の入力の場合。OKよね。

10k_001u_1kHz最後、時定数の1倍幅のパルス幅の入力波形も与えて画面を見たのですが、なんとセーブし忘れました。注意散漫。お道具もう片付けてしまったし、またやるのはメンドイし、最後の波形がなくってしまらないけど、一応はやった。まあいいか。

ちゃんとやってね(自分)

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