鳥なき里のマイコン屋(13) TIにも8051発見

JosephHalfmoon

業界じゃTexas Instruments社(TI)のMCUといえばMSP430で決まりです。大ベストセラー。一応16ビットというカテゴリになっていますが、8ビットクラスの小規模なところにも手が届く豊富なラインナップじゃないでしょうか。勿論、32ビットではArmも使っています。アプリケーションプロセッサ系では当然ですが、MCUでもArmコアの製品群があります。そんなTIに8051の入り込む隙間があったのか。いよいよ「Armのお供にレガシー8051説」崖っぷちです。

まずはTIのMCU製品群を勝手分類した表を掲げます。今回はプロセッサ分類までいれると収拾がつかなくなるので、あくまでROM/RAMつんだMCUカテゴリの製品のみ対象にしています。

SimpleLink ワイヤレスArm Cortex-M4
CC型番
SimpleLink 有線Arm Cortex-M4F
MSP432型番
MSP430MSP430
C2000C28x
HerculesArm Cortex-R
Tiva CArm Cortex-M4F
MC4C型番
TMS470Arm Cortex-M3
CC430MSP430
CC1110-CC11118051

左に分類、右にコアを示していますが、同じコアを使っていても別な分類にしたものがあります。これは、この会社のMCUラインの成り立ちが反映しているなと思われたためです。

最初の2つはSimpleLinkとTI社が読んでいる製品群です(プロセッサは除きました)。コアはArm Cortex-M4(片方はF付きのゴージャスなやつですが)で共通ですが、2系統にわけました。用途がワイヤレスと有線と別れることもありますが、型番にご注目ください。ワイヤレスの方はCCで始まり、有線の方はMSPです。CC、これは10年くらい前にTI社に買収されたChipCon社の名残の型番ですね。ChipCon社は無線用のトランシーバICなどで有名だった会社で、日本でも特小無線など製造しているメーカではここのCC1100などを使っていた会社が多かった(今でもTIはCC1100系の販売継続しているようですが新規設計には非推奨になっています)のではないかと思います。型番からすると、ワイヤレスの系統はChipCon社の残党?のグループが設計しているのではないでしょうか。そして、下の方はMSP432(MSP430ではありません「432」です)という型番からして、MSP430をグレードアップして32ビットにしたというネーミング。ま、コアはArmですが、MSPの側の設計でしょう。

次に登場するのが、TIのMCUの本流、MSP430ですね。膨大な品種がそろっています。特徴は、低消費電力、センシング向け、です。小さいマイコンなのですが、Cでするするプログラムが書けるのが出た当時とても受けた気がします。その次のC2000は32ビット機ですが、リアルタイム制御用。独自のC28xコアです。型番はTMS320系となります。TMS320というと一世を風靡したTIのDSPラインを思い出す型番です。その次のHerculesというのはArmにしては珍しい、高度なリアルタイム制御用のCortex-Rシリーズを搭載したシリーズ。用途も産業用とか車載用とかで、かなり高級感を出しています。

その次にはまた、Cortex-M4Fコアですが、異なるルーツのTiva Cシリーズ。型番はMC4C。さらにCortex-M3コアのTMS470系もあります。さらにChipCon系のCC型番でMSP430コアのMCUもあります。この辺はなかなかどう理解したら良いのか部外者にはわからない部分があるのですが、TI社のウエブ上では、みんなまとめて「その他のマイコン」扱いです。

その「その他のマイコン」の末尾にありました。CC1110とCC1111。この型番からCC1100系のトランシーバにマイコンを合体させた製品のように見えます。そのマイコンコア、レガシー8051です。だいたいCC1100トランシーバ自体、その内部に8051が居るのではないかと疑っているのです。多分、ChipCon社の設計の人は8051に慣れていたのだと想像します。それでMCUと合体させ、「無線マイコン」化するのにまず8051コアで作ったのではないかと思われます。そして栄光のCC1100系の番号を与えた、と。残念なことに、その後はMSP430コアからArmコアの製品に移ってしまい8051コアのMCUとしては後にも先にもこれだけが残ったのだと推測できます。しかし、製品としては「アクティブ」。「Armのお供にレガシー8051説」今回も成立です。

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