土木でエレキ(13) 洗堀モニタリング

JosephHalfmoon

塩釜漁港の防波堤倒壊のニュースを見ましたか。昨年末に傾斜が見つかり、水中カメラで調査したところ、傾斜部分の海底がえぐれていて、防波堤を支えるくいが露出していた。8年前の津波が原因であろうということが書かれていました。津波で「洗堀」が起きたのだと想像します。そこで本日は洗堀モニタリングについてちょっと勉強してみたいと思います。まずはニュースの防波堤や、防潮堤、護岸などの洗堀、そして、メインはやはり橋脚でしょう。

海岸の堤防、防潮堤、護岸については8年前の震災の被災状況と洗堀の起きるメカニズムを分かり易く図にした国土交通省の資料があることに気付きました。

海岸堤防・護岸の被災状況

いろいろなレベルの被災状況の写真が掲載されているのですが、「全て流出」などというレベルになると愕然といたします。この資料、最後の2ページに「従来から指摘されている被災形態」と「考えられる被災過程」という図が付いており、これが素人にも分かり易くて良いです。今回の防波堤の基礎部分の洗堀がどのようなメカニズムであったのかは、いずれ報告があるのでしょう。今回は水中カメラで調査していたようですが、場所が場所なだけに常時モニタリングはできなさそうです。それでも時々見張っていたら倒壊していた、という状況なんでしょうか。いずれにせよ、洗堀のモニタリングでは、橋脚に関する技術の方が「引きが強くて」進んでいそうなので、そちらを見ていきたいと思います。

ちょっと調べてみると、橋脚の洗堀の常時モニタリングでも

鉄道橋

に関する事例が多いように見受けられます。勿論、道路橋にも無いわけではないのですが、どうも鉄道事業者の方が鉄道の運行の見合わせなどの管理が必要で、常時モニタリングへの要求がより大きいのだと思います。主要なセンシング対象としては、

傾斜と振動

で、これらの値から間接的に洗堀を推定しているようです。しかし、常時直接、洗堀をモニタするような技術はないのかな、と思って調べていると、いくつかありました。もとは米国のソナーの会社から引っ張ってきたので適切な日本語訳が分からなかったので下2つは英語のままにしてあります。

  1. ソナー
  2. Magnetic Sliding Collar
  3. Float-out Device

ソナーは潜水艦などで使うソナーで、まさに水深を直接測るもの。リンクを張った米国の会社は、まさに常時洗堀モニタリング用のソナーと付属設備を売っている会社でした。2番目はせいぜい1.5m深さくらいしか計測できないとか、3番目は洗堀があるスレッショルドを越えた1点検出だとか、「ディスって」ますが、説明読むと確かにそのように感じます。その点、ソナーであれば、常時、どんな深さでも測定できると主張しています。興味があったら上記のリンクをたどって御覧になると良いかと思います。

でも素人的には、水中にソナーを取り付けるのは良いけれど、大木とか流れてきてガッシャんとソナーにぶつかって壊れるんじゃないかいな、とか思うのですが、どうなんでしょう。余計なお世話でしょうかね。

他にも直接水深を測る方法として、洗堀にそって掘り下がったらその分沈むような水圧計を沈めておく、という方法もあるようです。

さて、日本での主流、振動と傾斜の計測に戻ります。JR東日本などは、橋の軌道の傾斜角がある角度閾値を越えて2分経過すると警報がでるようなシステムを構築しているとのことです。閾値によって速度規制になったり、運転中止になったりすると。

まさにそのものズバリ、橋脚の洗堀のモニタリング用に、固有振動数計と傾斜計を販売している会社がありました。

共和電業、橋脚の洗堀監視

これ買えばいいじゃん、って安直な。対するに橋脚の固有振動数測定はセンサ1個で測れてお手軽だが、剛性の変化に対する感度が低い!だから、橋脚の上下2点で振動数を測ってその比を求めるのだ、と主張している会社もあります。

IMV、構造ヘルスモニタリングに関する取り組みについて

個人的には上にリンクを張ったIMV社資料はとても良いです。モニタするべき周波数や加速度絶対値などいろいろグラフを貼り付けていただいているので、土木素人が、センサを考えるときにはなかなか参考になります。ただ、素人的な感想ですが、橋脚の上部に固有振動数計や傾斜計を設置するのは比較的簡単(実際、あるところのある橋脚の上部に、別な目的でしたがセンサを取り付けてデータをロギングしていた経験あるのです。素人でも土木の人の後になんとかついていけるレベル)じゃないかと思うのですが、増水している時にセンサのデータが取れなくなった、などというと橋脚の下部はちと辛そうですね。

なお、固有振動数を使う方法は、従来から

衝撃振動試験

という形で行われていたようです。30Kgくらいの錘を橋脚上部にぶつけて強制的に振動させて固有振動数を測るのだそうです。当然、常時のモニタリングに使えるような方法ではなく、段取り組んで「精密検査」といった局面でたまに使われるようです。これに対して

鉄道橋なら、通過する列車による振動を測ればいいじゃん

という発想で通過の度に測定しようという発想もあるようです。こちらは京都大学。いろいろノイズなども乗る筈なので、ベイズ推定などつかって計算すると。

最後にもう一つ、常時モニタリングではないですが、航空機から航空レーザ測深機(ALB)で洗堀だけでなく、河床の変動なども3次元的に測ってしまう、というアイディアもあるようです。近赤外線のレーザで水面を測り、緑色レーザで水面下の河床を測るのだそうです。水深6m(ただし水質による)まで測れるとのことです。パスコ社資料へのリンクはこちら

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