お手軽ツールで今更学ぶアナログ(30) ADI社宿題、出来なかったら落第!

Joseph Halfmoon

前回、アナデバ社の文書(教材というべきか)を死ぬまでに一通り読みたいなどと希望を述べました。なんとか読んでおります。そして堅い技術文書に見せかけながら、実はユーモアというか、ウイットに富むというか面白いことが書かれているのに気づきました。それも回路の課題の中に。回路にお笑いをぶち込んでくるADI社流石だ。

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恐れ多くも僭越ながら、アナデバ社の StdudentZoneの記事を「コーナー」開設から順に読ませていただいとります。今回は、2016年分の合計3回の記事であります。シリーズ記事の開設の2016年10月号(「号」という表現でよいのか?)から12月号まで。まず以下にリンクを貼らせていただきます。

OCT 2016 StudentZoneの開設

NOV 2016 ブレッドボード/プロトタイプによる回路の試作

DEC 2016 持ち運びが可能で、机上でも使用できる完全な回路ラボ

私のような素人が記事内容について何か言及するのもおこがましいですが、最初の「開設記事」を読ませていただいた後、ちょっと一拍おいてから、笑ってしまいました。一拍置いた、というところに私の回路センスの無さというか、頭が固くなっていることが如実に現れております。2ページ半ほどの短い文書のほぼ末尾ちかくから1行引用させていただきます。

問題が出題されていなければ、真の技術情報誌とは言えません

この意識の高さにまず圧倒されます。開設記事でこれかい。先が思いやられます。そして出題されているのが「1961年にノースカロライナ州立大のSeagraves教授の電子工学の講座で出題された問題」です。50分の試験時間で出題されたうちの1問だそうです。そして電卓は使うなとクギがさされています(1961年には授業に持ち込める電卓などない!)私は遠くから回路を眺めて「連立方程式解かねばならないの?ダリー」などとオバカな感想をまず持ったのであります。しかしね、電子工学系のおにいさん、おねいさん方、ぜひ、URLからたどってこの問題解くべきです。私は落ちこぼれですが断言します。

解けなかったら落第!

と。まあ、意識の高さに圧倒された後の弛緩というか、カタルシス。著者のWalt Kester氏の力量凄い。アナデバ社懐深いな。なお、StudentZoneは各回の問題に対して、対応する解答の記事も存在するのですが、この開設記事の問題についてだけは解答記事が見つかりませんでした。解答を示すに及ばず、ということか。(どうしても分からない場合はSPICEでDC動作点の解析, .op を実行すると良いかもしれません。でもSPICEできる子が分からないことはないか。)

さて、初回「開設記事」でちょっと笑った後、第二回もまた期待に外れません。第二回は試作に使うブレッドボードに関する解説です。本文内容は読んでいただくのがよろしいかと思います。1箇所引用させていただきたいのが、「ブレッドボード」がなぜ「ブレッド」ボードなのか説明している以下の部分です。

ブレッドボードという言葉は1920年代の真空管の時代に生まれました。当時、真空管はソケットに差し込んで使っていました。ソケットのような大きな部品は、パンの生地をこねるために使われていた木の板(breadboard)に、ねじ止めされたり釘で打ち付けられたりしていました。

私はそんなことも知らずに今までブレッドボードを使っていました。手元で使っているブレッドボードのうち、小さめな奴らを先頭のアイキャッチ画像に掲げました。手元にも大きめのサイズのブレッドボードもあるのですが、使わねばならないような回路は組まないので滅多に使うことがありません。その昔は日本でいう「まな板」より大きめに見える木の板を使っていたのね。。。真空管だし、電圧も高いし(感電したらヤバイそう。)

さて第二回にも末尾に問題が掲げられています。今度こそ方程式立てて解かないとダメそう。それどころか不吉なことまで書いてあります、「ダイオードのV-I曲線については1N914のデータシート(ここにURL)を参照してください」。いやーこれはSPICEかけるのが良いんじゃないか。でもまてよ、この問題、呼吸をするようにテブナンの定理とノートンの定理を適用できるおにいさん、おねいさんにはなんということも無いのです。私はずるして正解記事をみて納得。

第三回は本連載でも度々使わせていただいております Analog Devices製の「お手軽」電子回路実験ツール、ADALM1000 (M1K) の紹介記事です。M1Kについては、過去もいろいろ書かせていただいているのでパス。この回にも末尾には問題あります。ただ、前2回と比べると真面目な(暗算でやれと指定あり)問題でした。元々センスないのに、ますます頭が固くなっていることを実感します。

文章ばかり読んでいても面白くないので、そろそろ実験したいです。次こそ「ブレッドボード」と「お手軽ツール」で実験再開っと。

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