お手軽ツールで今更学ぶアナログ(34) レギュレータは役にたつ、ましてLDOならば

Joseph Halfmoon

アナデバ社(ADI社)のWeb記事、StudentZoneを端から全部読む、巻末宿題も全部やる、という「大望」を立て読み進めております。今回はようやく2017年7月号。まだまだ「お手軽ツール」の出る幕はありません。読み物記事が続いております。今回タイトルは、「負電圧用のリニア・レギュレータ」です。でも巻末の問題は「負電圧用」じゃなかった。

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まずはアナデバ社記事へのリンクを貼り付けさせていただきましょう。

Frederik Dostal著 負電圧用のリニア・レギュレータ

この記事の冒頭はプルースト的(?。だいたいプルースト読んだこと無いし。。。)問いかけに始まります。1文引用させていただきます。

「負電圧」とは何でしょうか。

偉大なアナログの権化、ADI社の人に正面切って問いかけられると、アナログ音痴の私などはたじろいでしまうのです。なるべくネタバレ避けますが、まあ、とりあえずたじろぐ必要は無かった、と申し上げておきます。

負電圧用のレギュレータですか。とりあえず7905という型番が頭に浮かびました。多分、確実に手元にはないです。対になる正電圧のレギュレータ7805は在庫があったような気がしたのでちょっと探してみました。ありませんでした。発見できたレギュレータは、

  • 東芝製 TA48033S
  • ADI製 ADP3300

の2点。どちらも正電圧3.3V用。発見できたレギュレータの写真をアイキャッチ画像として掲げました。まあ、よく考えてみると既製品のマイコン開発ボードをこちょこちょしている限り、レギュレータが必要になるケースは少ないです。最近のマイコン開発ボードは多くUSBケーブルで5V電源を外から貰うようになっているケースが多いです。内部で3.3Vの電源などが必要になる場合はボード上に3.3Vのレギュレータが搭載されています。中にはマイコン内部に外部への電源供給に使えるような「レギュレータ」を搭載しているマイコン機種もあります。あるいは外部への電源供給には使えないものの、内部回路への低い電圧供給のためのレギュレータをオンチップ搭載している機種もまた多いです。そういう事情でマイコン相手だとせいぜい5Vを3.3Vへレギュレートできるデバイスさえあれば大抵大丈夫。他の用途も含めると、後1.8V、念のため2.5Vくらいを用意したらまず大丈夫かと思います。「デジタル」な世界ではそんなこんなで両電源(正負電源)が必要になることはまずないでしょう。正負必要になるのは「アナログ」世界の側だと思うんでありますが、近年は「デジタル」との関係もあって、「アナログ」世界でも負電源無、は結構メジャーな気もします。ほんとか。

でもその昔は「デジタル」でも正負電源必要だったな~と思い出すんであります。この年寄りが半導体業界に入れてもらったころ、NMOSからCMOSへの移行時期でした。当時既にデジタルなNMOSも「5V単一電源」の品種が主力になっており、+5V、+12V、-12Vみたいな複数電源が必要な世代のNMOSは主力から外れつつありました。オンチップの「チャージポンプ」回路なんてものが搭載されるようになったお陰だと思います。CMOS化が進むとそんなものも不要となり、長らく5V単一電源の「単調な」世界が続きました。しかしプロセスの微細化が進むと5Vでやってられなくなり、3.3V、2.5V、1.8V。。。と急激に電圧が下がって行きます。ただ、あまり電源電圧が多様になると面倒なのでマイコンなどはIO電圧3.3V系が主力になって落ち着いている感じじゃないかと思います。レギュレータの活躍の場は広がっているような気もするのですが、負電圧滅多に目にしないです。

そんな中でのこの記事なんでありますが、タイトルは「負電圧のレギュレータ」ですが、そこに絞り込んでいるわけでも無いように思います。なんといっても巻末問題、登場するのは7805とADP150という正電圧5V出力のレギュレータです。タイトルを「負電圧」としたばかりに若干読者様逃がしてるんじゃね、という気もしないでもないです。以下に宿題のお答えへのリンクも貼り付けておきます。

July Studentzone Quiz Solution

まあ、素直に出題の意図を「忖度」すればお答えは自ずと明らかだと思います。(以下若干ネタバレなのでご注意を)しかし、問題文に算出の条件など書いていないので、7805に与えるのと同じ入力電圧をADP150にも与えたら、「(ほぼ)同じ」という結論を得てもあながち間違いではない、とも考えました。脱線しますが、筆者の人はADI社でもドイツ法人の人のようで、計算式中の小数点に「カンマ」を使うのです。ヨーロッパ式は頭では理解していても、見ると引っかかります。

そんなこんなで、宿題の 7805とADP150、そして手元にあったTA48033とADP3300のデータシートをダウンロードして眺めてみていました。ADP3300のデータシートの中に書かれているキャッチフレーズに引っかかりました。

anyCAP(TM)

です。どうも使用するコンデンサの種類を選ばない、という意味のようです。多分7805などだと横に電解コンデンサが鎮座しているけれども、表面実装のLDOレギュレータであると、MLCCだったりする、その辺を語っているキャッチフレーズだろうと想像いたしました。調べてみるとアナデバ社は日本語でLDOレギュレータと組み合わせるコンデンサについての説明資料も出していました。

Glenn Morita著 低ドロップアウト・レギュレータ:バイパス・コンデンサの選択が重要である理由

著者のMorita氏はサッカー解説者のセルジオ越後氏にちょっと似た雰囲気(小さな写真を拝見した個人の感想です。)これよんで多少は理解できましたが、これまた理解度10%だな。なお、アプリケーションノート AN-1099(こちらは英文)もMorita氏の著で、内容的にはほぼ同じじゃないかと思います。レギュレータのお供のコンデンサについても注意しないとならないデス。

グダグダな今回(いつもか。)

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