前回のVosは「なんちゃって」だけれども測定を試みましたが、今回のIB（入力バイアス電流）については早々と諦めました。測定回路例は記載されており、見た目は簡単な回路なんだけれどもちょっと何言っているんだかわからない、という感じ。そもそも流れて欲しくないのだけれど、流れないと動かない。哲学的な存在、違うか？
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
入力バイアス電流IB
さて今回読ませていただくのは「第２部 4-2 入力バイアス電流IB」です。OPアンプの２本の入力端子に流れる電流です。理想OPアンプではIBなど流れはしないのですが、実際のオペアンプではIBが流れる、というか流れなければ動作しない（バイポーラトランジスタの原理からいって。でもCMOSならどうよ、という気がしないでもないっす。どうなの。）
流れて欲しくはないけれど、流れをせき止めたならば動作はしないから気をつけよ、と脅しが入ります。それだけにIBの値は低く低く抑えめに設計されておるようです。IBの最低線（最高峰）として例示されているのが以下です。
AD549のIBは60fAだそうです。普段 mA の世界に生きているこの年寄にはあれれ１０の何乗だったっけという見慣れぬ数字です。その辺のビックリ感を察してか、アナデバ様曰く（１か所引用させていただきます。）
３μ秒に1個の電子
おおう、ほんとか？マイクロ秒なら馴染みのある単位だけれども、その期間に電子１個っていうのは半端ないな。でも本当か？疑り深い年寄は計算するのであります。
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- 1[A]=1[C/sec]、f(フェムト）1e-15なので60fAは60e-15[C/sec = A]
- 一方、電子の電気素量：1.602176634e-19[C]
- 3μsec=3e-6[sec]で、上記電気素量を割ると 0.534058878e-13[C/sec = A]
つまり53fA。個数単位（整数）の話なので60fAが３μ秒に電子１個という例えは良い線でないかと結論。アナデバ様の仰ることを検算するなど不埒な。
手元にあるオペアンプどものIB
手元にあるオペアンプのうちアナデバ様製のものに限って（忖度ってやつね）IB値を調べてみました。現物は冒頭のアイキャッチ画像に。こんな感じ。
| オペアンプ | IB |
|---|---|
| OP07C | MAX ±7nA @25℃ |
| OP97F | MAX ±150pA @25℃ |
| ADTL082 | Max 100pA @25℃ |
| AD8542 | Max 100pA(-40℃≦Ta≦85℃) |
小さ。マイクロアンペア単位の電流が流れる品種もあるようですが、逆にいうとそいつらは「超高速」。速ければ電流を流さないといけない。そして「超高速」（お高い）オペアンプなど当方の手元にありませぬ。手元在庫の品種は遅くてIBは小さめ（そしてお求めやすい価格とな。）
それに上の表みるとバイポーラ(OP97)でもJFET(ADTL082)でもCMOS(AD8542)でもそれほど変わらないじゃん。それにOPアンプ大全によると（また引用させていただきます。）
FET OPアンプはIBが10℃ごとに２倍になる
ああ、そういう問題点もあるのね。
IB測定回路
図４－８に入力バイアス電流の測定という回路が掲げられておりました。ぱっと見シンプル。まねして「なんちゃって測定くらい」できそう？でもね、そこに使う抵抗の値をみて、ムムム。多分IBがデカい高速バイポーラOPアンプであれば100kΩでよいのだけれど、IBが小さいFETのOPアンプであれば1000MΩとな。1000MΩなんて抵抗手元にないよ、ってか多分そういう測定は無理。非常に小さな電流を積分回路で積算していくので、積分につかうコンデンサからして定損失な素材じゃないとダメだし。
出力オフセット誤差
最後IBとVosによる出力オフセット誤差の計算についていろいろ書いてあったですが、まあほとんど右から入って左に抜けました。ここもまた後でリベンジかな。唯一記憶にのこったのは（また一か所引用させていただきます。）
入力換算値を選ぶか出力換算値を選ぶかは好みの問題
まあ、用途によるということでしょうが。換算可能だし。