忘却の微分方程式(92) 反復練習55、合成関数の偏導関数、無理やり当てはめる?Maxima

Joseph Halfmoon

前回は偏微分だろうが全微分だろうがdiff()関数におまかせの回だったです。今回は合成関数だろうが何だろうがやっぱりdiff()関数におまかせの回です。教科書的には定理を使って解いてね、という思し召しの回なのですが、定理使わんでも、無理やり定理に当てあはめてもMaxima様にお願いすれば結果は同じだと。

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※数学のお勉強のための以下の教科書(参考書、問題集?)の例題をMaximaの練習に使わせていただいております。

弱点克服 大学生の微積分 江川著 東京図書

遥かなるかな太古の時代、大学生のときにこういう御本が欲しかったデス。

※以下のMaxima/wxMaximaバージョンで実習させていただいております。

    • Maxima 5.46.0
    • wxMaxima 22.04.0
今回適用すべき定理

zがx,y の関数で、x, yがtのみの関数、そのときzがx, yについて偏微分可能で、x,yがtについて微分可能、というのが今回のシチュエーション?っすfomula0

そのとき以下が成り立つと。

zの中のx,yをtで書き直すような無粋なことをしなくても解けるのよ、とうことであります。

今回の例題

今回の例題は以下のようです。上記の定理を適用せよという思し召し。Ex60_1

まずは、思いつくまま、素のまま以下のようにx, y そして uを入力してみました(Maximaでは自然対数の底は%eと書かねばならないのが微妙デス。)Ex60_1_A0

あれれれ、uを入力した時点で、x, y が代入されちゃってます。よって微分は以下のように一撃。tで微分するだけ。Ex60_1_A1

微分した後の整理がちと面倒だったですがお答えには到達(教科書とは%eの係数の書き方がチト違うけれども。)

しかし上記では、定理を使えという思し召しには添えてないです(答えは出たけれども。)

解き方その2

tの関数であるx , y が即座に代入されないように、あえて別の変数名 X, Y ということでUを書き直し、それを使って定理を適用してみました。こんな感じ。Ex60_1_B0

ちゃんと適用できてますな。しかし、X、Yと書いてある部分をtの関数で置き換えないと解答には到達できませぬ。そこでsubstしてみましたです。Ex60_1_B1

結局お答えは出ましたが、直接diff(u, t)するよりメンドくないかい、これ。

解き方その3

シングルクウォート(以下黄色のマーカ部)をつけることでMaxima様に勝手に式を評価しないようにお願いすることができます。それを使って uの代わりにuxyという名で書き直してみました。x, y は「そのまま」で定義できました。これを使って定理通りに微分をしてみました。Ex60_1_C0

なお、diff(uxy, ‘x)みたいに微分する変数xのところにもシングルクウォートをつけてますが、これつけないとエラーで落ちます。つけなかった時点でxが評価されて%e^tに置き換わってしまうので、微分対象のuxyの中にそんな変数はないってことになるようです。

先ほどは上の形になったあと、無理やりsubstしてましたが、今回は多少エレガント?な処理で可能です。ev()使って評価が抑制されているx, y のところを評価してやれば処理をすすめることができます。こんな感じ。Ex60_1_C1

いろいろやってみたけれども、定理なんかお構いなしの最初の方法が一番単純明快、ステップも少ないじゃん。

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