前回、LTspiceの.MEASコマンドを使って、共振点の周波数を求めることができました。余勢を駆って思いつくのは、この方法を「流用」すればカットオフ周波数とか求まるんじゃね、ということです。やってみたらばハイパスだろうとローパスだろうと同じコマンドで求まります。カーソルを手動で動かすより便利?でも微妙にズレとるなあ。
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※ Analog Devices, Inc. LTspice を使用させていただいて動作確認しております。今回使用のバージョンは以下です。
XVII(x64) (17.0.37.0)
今回の.MEASコマンド
※2024年6月3日追記:以下の方法は、単純なRCフィルタなどでは遮断周波数を求められると思いますが、通過域に「ピーク」が生じてしまうRLCフィルタなどではうまく遮断周波数が求まりませぬ。第48回にその場合の別解あります。
前回は、共振点の周波数を流れるAC解析から求めました。今回はLPF(ローパス・フィルタ)とHPF(ハイパス・フィルタ)のカットオフ周波数をやはりAC解析から求めたいと思います。ただね、前回は電流基準で計算したのだけれども今回は電圧っす。今回の.MEASはこんな感じ。
.meas AC Vpeak MAX mag(V(filterOUT)) .meas AC Fcutoff find frequency when mag(V(filterOUT)) = Vpeak/sqrt(2)
まず、1行目でフィルタ特性で振幅が一番上に来ているところの振幅Vpeakを求めておいて、2行目で振幅がVpeakの「ルート2」分の1(ということはパワーは半分ってことでよいよね)となるところの周波数を求めてます。
.MEASコマンドはLPFでもHPFでも同じものでカットオフ周波数が求まるのでないかい。やってみました。
まずはHPFから
HPFの回路図が以下に。C1の値に何やらコマケー数字を書き込んでありますが、これはカットオフ周波数がちょうど1kHzになるように「作った数字」であります。
まあ頭の中にカットオフ周波数があるのでシミュレーション範囲は100Hzから10kHzとこれまたバッチリ?な値です。まずはグラフが以下に。
今回のシミュレションは頭が0dBになっていて分かり易いですが、一般の場合だとそうもいかないハズ。前回の共振周波数のピークのように測定用のカーソル一つだと「-3dB降りた」のポイントは見つけ難いので、カーソル1を頭のところに、カーソル2をカットオフ周波数(-3dB)のところにおいてます。「答えを知っているので当然」カーソル2の周波数は1kHzのところですなあ。
さてこのときSPICE_ERROR_LOGを開いてみるならばこんな感じ。
ううむ、990Hzとな。まあ近いけれども、微妙な値よの。100Hzより10000Hzのピーク測定値が、-0.04dBとなってピッタンコではないからなあ。その上、実際にはトビトビのポイントで計算しているだけにそうなってしまうのか?知らんけど。
つづいてLPF
LPFの回路図が以下に。こちらはローパスだけれども「目標」カットオフ周波数は1kHzで変わらず。
ACシミュレーションの結果が以下に。
.MEASの結果はというと、上記のように約1010Hz。今度はビミョ~に上。
まあ測定できてはいる感じなのだけれど、数字を追い込みきれてないデス。なして。