定番回路のたしなみ(51) Rectifierその3、トランス式単相全波整流回路

Joseph Halfmoon

前回前々回と整流回路を嗜んできましたが、いずれも入力の交流電圧そのままに直流に変換するものでした。やっぱり電源といったら商用電源100Vから電圧を落として直流にするものだろ~ということで今回はトランスを入れてみました。秋月殿で手に入るような「センタータップ付き電源トランス」を目標。ちゃんとシミュレーションできるのか?

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トランスのLTspiceシミュレーション

普段トランスなど含めたシミュレーションなどしないお惚け老人も知っています。LTspiceには「トランス」と銘打ったシンボルが含まれていないことを。しかし、単独のインダクタンスを持ってきて、なんやら

K、相互インダクンス

を定義してやればトランスを作れるみたいです。御本家アナデバ様のトランスの作り方のページが以下に。

LTspice:トランスをシミュレートする簡単なステップ

勝手にまとめると以下のようです。

    1. 個別のインダクタを結合するために頭文字Kのデバイスを定義(SPICEディレクティブとして直接文字で書く)し、その後ろに個別のインダクタのインスタンス名を並べておく
    2. その末尾に結合定数を書く(1から始めよとのありがたいお言葉あり。)漏れだの損失だのが気になったら自分で調べて塩梅しろ、ってことみたいです
    3. 電圧比、巻き線比を直接定義できるわけではなく、各個別インダクタのインダクタンスを定義すると、その比が「巻き線比の2乗の比」になるので、そこから電圧比等を決めよ。メンドクセーです
    4. Kで結合するとあ~ら不思議、結合した個別のインダクタに極性を示す〇印が現れるので、それを使って所望の極性で接続せよ
    5. なお、インダクタと電圧源を直結するとエラーになるので、テキトーに抵抗を挿入すべし
    6. なおなお、1次側2次側ともどこかにGNDがないとシミュレーションできん

こんな感じっす。

シミュレーションした回路

ほぼ商用電源のつもりのRMS100VをRMS15V「くらいに」降圧したのち、1N4007をRectifierとして使って直流化する回路が以下に。各インダクタの定数は上記の理由から「テキトーに計算しやすい値」にしてます。Trans1circuit

GNDについては、LTspiceのシミュレーションが「通る」ように結線してます。

シミュレーション結果

黄緑が入力のRMS100V、赤と青がトランスの2次側の両端の波形です。水色が整流後の出力ノードの波形。Trans1simulation

上記は、出だしのところがまだ安定していないのでシミュレーション結果のRMS値は若干低めにでているように思われます。こんな感じ。measureRMS

後ろの方の安定しているっぽいあたりを拡大した波形が以下に。Trans1simulation2

なんとなくセンタータップ付き(2次側に 5V – 0V – 5V のような表示のあるやつ)の電源トランス使ってその出力を整流できるような気がしてきた。大丈夫か?

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