定番回路のたしなみ(52) 続々ウイーン・ブリッジ発振回路、LTspiceに例があったのね

Joseph Halfmoon

過去回にてウィーンブリッジ発振回路をたしなんでみました。「美麗で比較的低速な正弦波」を生成できる定番回路です。第25回では「調整」に一苦労、第26回ではAGC的な回路で安定的に発振させることができました。今回LTspiceのExampleフォルダ中にウィーンブリッジ回路発見。「続々」ということでたしなんでみます。

※「定番回路のたしなみ」投稿順Indexはこちら

LTspiceXVIIのExamplesフォルダ

みんな大好きLTspice(アナログデバイセズ社)をインストールするとExamplesというフォルダが配下に作られてます。その中には2つのフォルダが存在します。jigフォルダはLTspiceに含まれている多数のデバイスの定番的な回路が格納されているみたい。一方、Educational フォルダには教育用?の各種サンプル回路が含まれてます。今回 Ecucationalフォルダを漁っていて見つけたのが以下です。Wien.ascとな。WienBridgeCircuit_LT1001

流石、忘却力の年寄りも「ウィーンブリッジ発振回路」ってことに気づきましたぞ。

過去回でのウィーンブリッジ発振回路取り組み

以下の過去回では「オペアンプのゲイン調整」にちと苦しみました。

定番回路のたしなみ(25) ウィーン・ブリッジ発振回路、無理やり正弦波に調整?

非反転増幅回路をつかって発振が継続するようにするための発振条件は明確。しかし、実際に安定した「正弦波」を得ようとするとなかなかムズかったです。

    1. ゲインが条件より小さいと発振しないか、電源ONで発振始めても振幅が収束してとまってしまう。
    2. 正帰還のループゲイン=1(非反転オペアンプとしては3)のとき安定発振
    3. ゲインがそれより大きいと振幅増大、オペアンプの電圧リミット超えてしまうので頭打ちの台形みたいな波形になってしまう。

つまりゲインが大きいと「美麗な正弦波」は得られず、かといって小さいと発振が止まってしまうというちょいと気難しい回路でした。そこでその次の回では

定番回路のたしなみ(26) 続ウイーン・ブリッジ発振回路、ツエナーダイオードでAGC的な?

ツエナーダイオード2個を使ったゲイン調整回路を導入、ゲインが大きくなったら下げ、ゲインが小さくなったらあげるという制御を行って安定した正弦波を得ることができました。でもま、アナログ素人老人にはメンドイ回路だったわ。

上記の回で、大いに参考にさせていただいたのがCQ出版様の以下のページです。

ウィーン・ブリッジ発振回路が適切に発振する抵抗値はいくら?

上記ページの回路はLTspiceのExamplesに含まれていた

過去回では、CQ出版様の上記ページとは微妙に異なる?回路で実機実験していたのですが、上記ページの回路そのものが、以下に存在することに今になって気づきました。

~LTspiceのインストールパス~\LTspiceXVII\examples\Educational\Wien.asc

もともと上記ページはLTspiceの関連記事をあつめたサイトの一部なので当然っちゃ当然。それくらい気づけよ、自分。

今回ようやく気付いたので、Examplesの回路をLTspiceでシミュレーションしてみました。こんな感じ。WienBridgeSIM_0

オリジナルのWien.ascと異なるのは、一番上のピンク色の波形のプレインです。Q1部分の電圧を電流で割ってMOSFETの「抵抗」相当成分を計算しています。スタティックには

    • R1=10kΩ
    • R2=5kΩ

で、非反転増幅回路としてのゲインが3、にならないと条件を満たさないハズ。ここでR2を4.9kΩということさらな値にしてあるので、Q1相当部の抵抗値は100Ωに近くなるはず。この抵抗値がAGCによって「微妙に」自動調整されるっと。

実際上記のシミュレーション結果をみると、ほぼほぼ100Ωに制御されているみたい。

発振波形(正弦波に限りなく近い)は以下のごとし。WienBridgeSIM_1

 

予定どおりだね。

そしてFFTかけて周波数を観察。WienBridgeSIM_FFT

上記から1.57kHzが読み取れました。ほぼほぼこれも予定どおりじゃね。

なんだExamplesホルダにバッチリな回路があるじゃん。先に言ってよ。

定番回路のたしなみ(51) Rectifierその3、トランス式単相全波整流回路 へ戻る