過去回(第21回)でラズパイPico2搭載のRP2350マイクロコントローラのデータシート、PicoのときのRP2040のそれに比べて2倍以上のページ数(1346p)があると愕然としました。愕然としてばかりもいられないので、少しづつ読み進めていきたいと思います。RP2040と比べながらね。今回は電源、クロック端子など。
※Pico関係投稿一覧は こちら 『Pico三昧』は一覧の末尾付近にひっそりと。
※Raspberry Pi Pico、Raspberry Pi Pico2のデータシートは、以下からダウンロードできます。
パッケージとGND端子
ラズパイPico搭載のRP2040も、Pico2搭載のRP2350もQFNパッケージ採用です。お惚け老人の勝手な意見では、小型薄型の、価格的にも多分お求めやすい表面実装パッケージです。ただし、RP2040とRP2350ではピン数が異なります。
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- RP2040、QFN-56、56ピン
- RP2350A、QFN-60、60ピン(※2024年9月16日訂正)
- RP2350B、QFN-80、80ピン
およよ、RP2350の方には60ピン版と80ピン版の2種類があるようです。Pico2ボードに搭載されているのは、QFN-60の方です。
ここでラズパイPico/Pico2に共通なのは、周辺に見える端子(実際にはチップの背面にパッドがあるので端面から半田がチラチラ見えるだけだが)にはGND端子は出ておらんことです。GND端子はチップの背面に3mm角くらいのパッドがあり(当然上からは見えない)、それが内部に接続されているようです。
電源ドメイン
低消費電力化を狙う場合、止める回路部分の電源を根本からバッサリと切ってしまい(リーク電流激減)、電源管理などを行うためのブロックのみを別電源でダラダラ動かしておく、というような方法がとられることがあります。PicoのRP2040のときはそのような電源ドメインの設定はなかったと記憶しているのですが、Pico2のRP2350では電源ドメインが存在します。
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- always-on
- switched-core
その名の通りで、always-onの方が管理用の常時動作しているドメインで、switched-coreの方が、場合によっては根本からバッサリのドメインです。なお、RP2350のswitched-coreドメインは、RP2040の回路全体に相当する感じです。
電源端子
PicoのRP2040とPico2のRP2350で端子的に一番違いがあるのが電源端子でないかと思います。
PicoのRP2040の場合、IO端子電源と内部デジタル回路の電源、ADコンバータの電源、USBの電源と4種電源を必要とします。RP2040にはオンチップで電圧レギュレータを搭載しているので、レギュレータへの入力電源から1.1Vの内部デジタル電源を生成できます。IO端子電源、レギュレータへの入力、ADコンバータ、USB電源を全て3.3Vとしてしまえば単一電源での動作が可能です。
Pico2のRP2350の場合、もRP2040の方式を基本的に踏襲しているのですが、いくつか変更が加えられています。一つはオンチップのレギュレータ回路が変更になったためか、RP2040のときよりレギュレータ専用に3端子も端子が増えています。また内部デジタル回路の電源端子(DVDD)やIO端子電源(IOVDD)の本数も微妙に増えてます。また、RP2040のときには独立していなかったQSPIインタフェース(外付けFlashメモリとの接続に使われる)用の電源端子がQSPI_IOVDDということで追加されています。さらにUSB_VDDは、USBだけでなくRP2350で搭載された初期設定値など格納するOTP(ワンタイムプログラム)メモリの電源も兼ねるようにされたためにUSB_OTP_VDDという名になっています。また微妙にADC_AVDDの電圧スペックなども変わってます。
まあ、ボードを使うだけなら何も気にせんで済むけれども、ボードを設計する場合にはこの辺がRP2040とRP2350で違いを出すところかと。
クロック、発振器、PLL
基本はRP2040での方式をRP2350は踏襲している感じですが、パワードメインが2つあるので、その対応が追加されています。RP2350はalways-onドメイン側にオンチップの32kHzオシレータ LPOSCが搭載されており、起動時からこのクロックを当てにして動作することが可能です。一方、同様に外部端子を必要としないオシレータとしては、両機種ともリングオシレータROSCを搭載しています。なおROSCの発振周波数はRP2350の方が速くなってます。
クロックの外部端子は、クリスタル接続用のXIN、XOUTは端子名同一で、通常12MHzのクリスタルを接続するのは同様ですが、発振回路XOSCの仕様はことなります。RP2040のときは1から15MHz対応だったのに対して、RP2350では1から50MHz対応となってます。
クロック信号をswitched-coreドメインに外部から入力するばあい、GPIO内の2端子のどちらかを使えるのはRP2040、RP2350共通です。しかし、RP2350にはalways-onドメインもあるのでそちら用の端子の設定もあります。
PLLはUSB用の48MHzと実際にコアを駆動するSystem PLLの2つを搭載していることは両機種共通です。ただし、System PLLのMax周波数はRP2040が133MHz、RP2350が150MHzです。なお、Picoの場合、Max133MHzですが、実際にSDKなどのデフォルト動作時の周波数は125MHzであると思います。Pico2も実機で確かめておかないと。