定番回路のたしなみ(57) シュミットトリガインバータで作るパルスストレッチャ

Joseph Halfmoon

AIに問うならば、近代的なパルスストレッチャはレーザー光のパルスを伸長しているようです。しかし、ここで扱うのは古色蒼然とした電子回路上の電気パルスを伸長する回路です。さらに言えば「何とか」とインバータは使いようという金言(誰が言った)を顕現すべくインバータ2個で実現している変哲のない回路っす。いいのか、そういうことで。

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パルスストレッチャ

例によって、Googleの生成AI、Gemini様への問いかけの結果(頭のところ)が以下に。geminiPulseStrecher

まあ、パルス幅を伸長するという行い自体は、レーザーだろうが、電子回路だろうが共通してますが、今回やってみるのは黄色でマーカ引いた部分が該当する「コンデンサや抵抗などの電子部品」を用いた回路です。ぶっちゃけRCの時定数でダラダラと上がる電圧をシュミットトリガインバータの閾値使ってパルスにしてやろうというだけの回路っす。古色蒼然。レーザーだったら結構ハイテクな感じだったのに。

さて、今回実験の回路が以下に。pulseStrecherSchematic

Vinに「短い時間幅」のパルスを入れると、Voutから「長い時間幅」のパルスになって出力されるという回路です。インバータは2個ですが、キモはシュミットトリガインバータ TC7S14Fです。例によって東芝様のワンゲートロジック品です。まあ、フツーの74HC14でも大丈夫だと思うけど。ワンゲートは結線がお楽。

しかし、過去回を振り返るに、「モノステーブル・マルチバイブレータ」を扱っている回も以下のように複数回あり。まあ、そいつら使っても似たようなことはできるような気がしないでもないけれども。まあインバータ2個でできるところがお楽ということで。

定番回路のたしなみ(2) 555、アナログタイマIC、モノステーブルモードでワンショット

定番回路のたしなみ(43) TC74HC123、モノステーブル・マルチバイブレータ

今回実験の回路の現物

例によってブレッドボード上に実装した現物が以下に。
pulseStrecherBBEC

実験結果

回路みれば分かる通りで、RCの時定数で引きのばした信号をヒステリシスのある閾値で切り出すような回路なので動作は単純、しかし、電源電圧依存あり、デバイス毎の閾値のバラツキにも、もろ影響受ける回路です。

まずはユックリした信号(パルス幅10ms、10Hz)を「だいたい倍」に引き延ばした場合が以下に。ここではR1=100kΩ、C1=0.1uFとしてます。100k_01uF

何に使うかも想定しておらんのですが、10Hzでは遅すぎということで、50kHzの信号を取り扱えるようにRCの値を調整したものが以下に。10k_1000pF50kHz

ここで使用のR1=10kΩ、C1=1000pFです。周波数とパルス幅の両方を考えてRCの値を塩梅しないとならんのでちょいとメンドクセーです。

上では1usというキリのよい入力パルス幅を8.66usにストレッチしてます。もそっと短い入力パルスで周波数も倍の100kHzにしてみたものが以下に。10k_1000pF100kHz2

入力パルス幅は200nsと短くなりましたが、出力パルス幅はシュミットトリガの閾値で決定されるので約7.6usと若干短くなったケド、まあ同じようなもんだ、と。

まあ、ご所望のパルス幅と周波数に合わせて調整すれば動くであろうっと。いい加減だな。

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