
LTspice配下のExampleフォルダ内Educationalフォルダ所蔵の回路図を経めぐってます。前回は「DC動作点解析」でした。今回は、TRIACとDIACを使ったランプの調光回路です。交流つかったこの手の回路を実用化するときは、高調波対策が必須みたい。わしゃ、やらんけど。 でも計算の入口はみておきたいデス。
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※アナログデバイセズ社のLTspiceのガイド、ヒント、便利な情報については以下へ。https://www.analog.com/jp/resources/design-tools-and-calculators/ltspice-simulator/ltspice-recommended-reading-list.html
DIACとTRIAC
今回のEducationalフォルダ所蔵の回路図は dimmer.ascです。デバイス的にはDIACとTRIACを使った、商用電源(米国式。60Hz、単相120V相当)に接続するランプの調光回路みたいです。なお、赤枠内は後の計算のために当方で勝手に付け加えたものです。
R1のところの抵抗値{Rdim}を1kΩから325kΩまで変えたときのバルブの消費電力の様子を計算しているみたい。
DIACとTRIACについて素人老人が勝手に掻い摘むとこんな認識です。
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- DIAC
- 双方向のトリガーダイオード
- 正負とも一定の電圧を超えると急激に電流を流す
- TRIACのゲートを制御するのに使われる
- TRIAC
- 双方向のスイッチング素子
- 交流電流を制御するのに使われる
- 両端の電圧と同符号の電流パルス印加でONする
- DIAC
なお、DIAC、TRIACとも「LTspiceにシンボルはある」けれども「モデル」は含まれていないみたいです。それで回路図上にベタでモデルのサブサーキットを書きこんで使っているのだと思います。
調べたら、「LTspiceの権化」三共社の渋谷先生がYouTubeチャンネルで このdimmer.asc について、なんと3回に渡って語られてました。リンクが以下に。
プロの渋谷先生が分かりやすく説明されとりますので上記をどうぞ。
渋谷先生の3回目で、最後の方でちらっと「力率」の話をされていたので、お惚け老人は、今回はソコをちょいと調べてみました。
力率
今回「力率」が気になったのは他でもありません。最近起こった、スペイン、ポルトガルの大停電、その原因は純粋に電力(有効電力)が不足したわけではなく、無効電力が大きすぎたことにあった、とかいう話をどこかで見ました。ホントかどうか知らんけど。まあ、家電製品の力率とは直接関係ない話だけれども。商用の交流電源を扱うときには力率大事だな~。googleの生成AI、Gemini 2.5 Flash様もおっしゃってます。
分かったような、分からぬような。。。 この手の規格についてもお聞きすると、 だそうな。JIS 61000-3-2は、国際的にはIEC 61000-3-2規格と同じものであるようです。
ここで「サンシン電気株式会社」様の以下のページ
から1文引用させていただきます。
CEマーキングを取得するためにもIEC規格に準拠する必要があります。
なんだ、CEマークつけて輸出するときは必須じゃん、多分。逃げも隠れもできね~ずら。
LTspiceでの力率計算
LTspiceで力率を計算する場合、フーリエ解析を行う .FOUR コマンドを使うのが一番お楽みたいです。Gemini様に教えていただいた方法が以下に。
このコマンドを使ってみると、エラーログの中にしっかり力率の計算値が出力されてます。上のシミュレーションの場合の、Rdim=1kΩのときの結果が以下に。
力率、99.9%とな。バッチリだね。なお、PF=の後に括弧つきの数字が続いてますが、括弧なしの数字が指定の次数(今回指定は20次まで)までで打ち切って計算した値、括弧内は計算できる限りの次数で計算した値らしいです。CEマークのときは40次くらい求めるの?どうなんだ?
しかし「調光を暗く」してRdim=325kΩとしたときの結果をみるとダメダメですな。
20%ちょい。。。そういうときは「サンシン電気株式会社」様などの対策デバイスを組み込むのが良いのか?知らんけど?