お手軽ツールで今更学ぶアナログ(246) ウイーン・ブリッジ発振器、その1

Joseph Halfmoon

アナデバ様のWeb記事『StudentZone』の2025年10月号(日本語版)の実習初回。タイトルはウィーン・ブリッジ発振回路、しかし初回はホイートストンブリッジで終わってます。ダウンロードしたファイルにプロの技あり。SPICE素人老人はちょっと感動してしまいました。分けわからん部分もあるんだけど。

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このところずっとAntoniu Miclaus様という方が記事を書かれていたのですが、今回10月と11月に限りMark Thoren様が御執筆です。12月号はまたMiclaus様に戻ったので「代打」だったのかな?

さてThoren様御執筆の10月11月はPart 1とPart 2ということで一体の記事みたいです。テーマはウィーン・ブリッジ発振器です。かなり力が入っていてプリント基板の設計ファイルやら、実験のビデオまで用意されとります。ううむ。

また記事の「背景」読むと、ウィーン・ブリッジ発振器が創業まもないHP(Hewlett Packard)の最初の製品Model 200Aとなり、それがディズニーの「ファンタジア」に使われたという話が書かれてます。アナログ素人老人は感動。

さてそのウイーン・ブリッジ発振回路に突入する準備として、Part1の最初で、これまた知らないとモグリな「ホイートストン・ブリッジ」のシミュレーションを実施してます。回路図は記事内のリンクからダウンロードできます。しかしそれを見たSPICE素人老人は目から鱗っす。

wheatstone_bridge.asc

さて、ダウンロードしたLTspiceの回路図(にお惚け老人が色枠重ねた)が以下に。BasicWheatstoneBridge_schematic

ブリッジ回路の動作をしみじみ味わうために、緑の楕円で囲ったR3の抵抗値などを変更しながら、「DC動作点解析」をやってごらん、という回路なんであります。

しかし、お惚け老人が感動したのは、黄色枠で囲ったコメントとX1なる「ジャンパ」デバイスでした。いや~、素人老人はLTspiceのシミュレーションで「ジャンパ」など使ったことがありませんでした。

当然ちゃ当然なんですが、上記のホイートストン・ブリッジにグランドなど無くても動作するハズ。しかし、どこかにグランド(ノード番号0)を接続しないとシミュレーションできないSPICEの定めあり。当然のごとく素人老人は「テキトー」なノードに接地シンボルを書き加えてなんとも思ってませんでした。でもね、そんな乱暴な回路図エントリ方法に一石を投じてあったのです。「シミュレーションのために接地しとるけど、これは『いつもの』とは違う意味だ」と。ジャンパ線X1の両側は同じノードとみなされるみたいなので、GNDノードが存在し、シミュレーション上はOK。しかし、このジャンパに込められた意味をみれば「ブリッジ」の本質を損なうことはないっと。ホントか?

なお、ジャンパのシンボルはLTspiceのコンポーネントから見えるMiscフォルダの中に jumper という御名前でしまわれてます。知らんかったよ。

さて他にも赤枠で囲ったVCVS(電圧制御電圧源)の使い方も目から鱗。トランジェント解析などで、差動電圧みるときに黒プローブと赤プローブの対で電圧の差分をとるのはお惚け老人でもやれる技っす。しかし、VCVS使えばそのような一時的な観察ではなく、恒久的な仮想ノードとして差分電圧を取り出せるっと。こんどから真似っこしよう。

ただね、分からないところが1点。

.op 0.5

の「0.5」です。通常、DC動作点解析を指示する .op には引数がありません。しかし HELPファイルを見てみると何やらディープな「チョメチョメ=なんたら」形式のパラメータ引数がいくつかあり。しかしどこにも数値だけ書いたらどうなるとかの記述はありません。実行すれば何のエラーもなく実行可能。なにか、LTspiceの奥底までご存じなプロの人がつい手が滑って書いてしまった? ま、0.5 を消して実行しても同じ結果が得られるのですが。。。なんなんだろ?

シミュレーション結果

一応、DC動作点解析の結果が以下に。BasicWheatstoneBridge_9_9

R3が9.9kΩと僅かにバランスが崩れていると、微妙な電圧が出力されますなあ。

一方、R3を10kΩとすればシミュレーション上はピッタンコで電圧など生じない筈。結果が以下に。BasicWheatstoneBridge_10

これぞ理想値。当たり前か。

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