前々回のRTCの運用のために、レギュレータで3.3Vを作って与えました。そのとき使用したのがMicrochip社のMCP1792です。あまり調べずにSOT23の小さいサイズのレギュレータということで購入してあったのですが、よく見たらモッタイない強烈な個性のデバイスでした。そこで今回はたまたま手元にあるレギュレータ4種を比較。
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今回、CMOSのリニア・レギュレータICということで、参考になりそうなホームページを探したところ、一番腑に落ちたのが以下のページです。流石に専業メーカ様。
以下では手元にたまたまあった4種類のリニア・レギュレータを並べて比較しておりますが、トレックス社製品も一つ含まれておりました。URL引用させていただいているので、良かった。
さてまずはサマリーから。やはりリニア・レギュレータというと7800シリーズの型番がまず頭に浮かびます。手元にも現物あったような気がしたので探したのですが見つかりませぬ。そこで78L00シリーズの3.3V品(JRC)のデータシートをダウンロードして比較表のトップに据えましてございまする。
以下すべて出力電圧3.3V品です。また、入力電圧最大定格はデータシートの絶対最大定格に書かれておった電圧です。上の3機種がバイポーラ・リニア・レギュレータ、下の2機種がCMOSリニア・レギュレータです。
念のためメーカ名を列挙させていただきますです。
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- NJM78L33SU3 新日本無線
- TA48M033F 東芝
- ADP3300 Analog Devices
- XC6206P332MR トレックスセミコンダクター
- MCP1792 Microchip
最大出力電流 | 入力電圧最大定格 | 入出力電位差 | |
---|---|---|---|
NJM78L33SU3 | 100mA | 30V | 1.7V@100mA |
TA48M033F | 500mA | 29V | 350mV@250mA |
ADP3300 | 50mA | 16V | 170mA@50mA |
XC6206P332MR | 200mA | 7V | 350mV@100mA |
MCP1792 | 100mA | 70V | 1.2V@100mA |
冒頭のアイキャッチ画像の左側にちょこんとありますSOT23パッケージ品がMCP1792であります。右側がいかにも伝統的リニア・レギュレータの顔をした東芝TA48M033Fです。
トレックスセミコンダクター製XC6206P332MRは以下に。手元には5V Groveコネクタに接続可能な小ボードが結構あるのですが、それらの上で5V電源から3.3Vを作っているのです。ちなみにマーキング662Kは、1桁目 XC6206シリーズの6、2桁目3.1V以上品で6、3桁目3.3V品で2、最後のKはロット番号であるようです。
アナデバAD3300の写真は以下に。ADALP2000学習用アナログ部品キット所蔵の1品。ブレッドボードに刺して実験しやすいようにBOB(ブレイク・アウト・ボード)化したもの。
MCP1792
このチップが強烈なのは絶対最大定格の入力電圧です、70V。他のバイポーラのレギュレータでも30V前後なのにCMOSでこの高耐圧。これには訳があって、このチップ、車載用でした。日本では乗用車12V、トラック24Vが普通ですが、欧州車に多い48V規格のバッテリにそのまま接続できるようになっているみたい。車のバッテリには瞬間的に規格の電圧以上かかることが多いようなので、70Vは当然か。意図せずモッタイないものをツマラぬ用途に使ってしまいました。また、ドロップアウト電圧は最大1.2Vとあります。CMOS、Pチャネルトランジスタのクセに全然LDOじゃないじゃん、と思うと、これ150℃で規定されていました。まさに車載スペック。85℃ならMAX400mV、typ250mVでした。十分LDOだね。勿体ない。
TA48M033F
普通の顔のバイポーラレギュレータですが、350mV@250mAなので十分LDOの範疇に入ると思います。普通に電流流せるけれど、放熱器をつければもっとやれる子だな。
ADP3300
アナデバ様らしい?LDOな一品。150mV@50mAです。ただし部品キット所蔵のこのデバイスはシリーズの中では廉価版みたいです。もう少し張り込むと型番違いで100mA、200mA品もあるみたい。
XC6206P332MR
「普通の」CMOSなので耐圧はMCP1792とは比べられないですが、200mAまで流せるし、350mV@100mAと十分LDOなので、バランスがとれて使い易そうな気がします(個人の感想です。)