部品屋根性(54) RTC-4543SA、悲しいお知らせ

Joseph Halfmoon

つるべ落としに日が暮れて、急に冷え込んでまいりました。秋は物悲しいな、などと呟いておりますと手元の部品にも悲しいお知らせがあることに気づきました。「ディスコン」であります。製品終了。1年も前に予告して代替品の提案などもされているのでまあ致し方ないのでありますが、星落秋風 五丈原、さみしいデス。

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ディスコンのお知らせが出ておりましたのは、セイコーエプソン製の

Real Time Clock Module、RTC-4543SA

であります。実時間時計のデバイスです。時計品質の32.768kHzの発振器と閏年まで対応したカレンダ時計(IC)を組み合わせたデバイスです。「モジュール」ですが、小さなプラスチックパッケージ品なのでICみたいな見かけです。

まあ、類似の製品はいろいろあるので、新規設計に差しさわりは無いかと思いますが、これが無くなって困るのは今までこのデバイスを使っておられたユーザー様であります。一応代替品の提案はあるのですが、端子配置もソフト変更も必要なようです。ちとメンドイ。なお、今になって書いているのは、本日このデバイスを使おうとして気づいたためです。この「お知らせ」自体は2021年の3月に出ており、「ラストバイ」はとっくの8月。終了は2022年3月予定、ということでした。いわゆるディスコン・レターのURLを貼り付けておきます。

件名 部材(IC)ディスコンに伴う、搭載製品の生産・販売終了のご案内

しかしま、実際、手元で使おうとしたのは、RTC-4543SAを搭載した秋月製の小型基板

AE-RTC-4543SA-V2

です。秋月殿の在庫がある限り手に入ると思います。だいたいチップはディスコンでも秋葉原じゃ手に入るものは多いデス。RTCの似たようなボードはいろいろあるし、困らないか。

組み立ててテスト

ディスコン・レターに黄昏ていないで組み立ててテストです。このモジュールは

    • 時計に使える品質のクロック源
    • ブレッドボードに刺しやすい

ということでの利用の予定です。現状手元のほとんどのマイコンにはRTCが搭載されており、自前で時計機能を持てます。ただし、マイコンボードによってRTCに使えるクロック源の対応は異なります。

    1. 32.768kHzの時計用の水晶振動子を搭載している
    2. だいたい32.768kHzのクロックがある

前者であれば外付けのRTCなど不要(発振周波数の調整はまた別の話でありますが。)しかし、後者の場合、月差何十秒どころか、毎日相当ずれるので、目覚まし時計にするのはちとマズイように思われます。「遅刻だ、遅刻!」

しかし、そのようなボードでも、

    • 頻繁に時刻あわせ

すれば時計にできないこともないです。ネットワークにアクセスできるのであればNTP使って、毎日何度も時刻を合わせるとか力業。GPSでもあればそいつのクロックを使えば正確。しかし、ネットワークにもGPSにもつながっていない場合、実用解は外づけRTCからクロックをもらう、でしょう。お手軽だし。

さて、秋月製モジュールの動作テスト用の回路は以下のようです。ノンコネになっている3端子を使えば、モジュール内部のカレンダ時計にアクセスできるのですが、これはまたそのうち。とりあえず、正確なクロックを出力してくれるFOUT端子が動作していることを確認してみます。

RTC4543SA_module_DUT_schematicFSELをロウ、FOEをハイにすると、FOUT端子に32.768kHzの信号が出力されてくるはず。実際の回路は以下に。端子が1列に並んでいるのでブレッドボードで使い易いです。

RTC4543SA_MOD_DUT出力されたFOUT信号を観察したものが以下に。

RTC32768Hzピタリと32.768kHzの信号が出てまいりました。これだね、求めていたのは。FSELをハイにすると 1Hz の信号を出すこともできるようなので、1Hzでステッピングモーターを駆動すればデカイ「アナログ時計」なども作れましょう(そんなもの作らないケド。)

ディスコンだろうと、なんだろうと、デバイスは正確に動きます。

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