「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回は2020年7月号です。しかし、前回に引き続き題材はNPNトランジスタ、2N3904を使ったエミッタ接地回路です。前回、分量が多かったので「周波数応答」は別の回にしちゃるわ、という感じですか。
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まずは記事(日本語)へのURLを下に貼り付けます。
毎回、お約束の「ADALM2000による実習~」というタイトル冒頭のお言葉がどういうわけか今回はありませんぬ。「ADALM2000持ってないのでDigilent Analog Discovery2使うけれども許してね」、というお断りを毎度毎度書いてきたのですが、今回は無しといたします(「型」が大事だな)です。なお、テスト対象のパーツ、2N3904などはアナデバ製学習用部品キットADALP2000所蔵のものを使っておりますので。タイトル冒頭の件、気になったので調べてみると英文版にはちゃんとADALM2000書いてあります。日本法人様のご判断?
さて、末尾の問題への解答編もちゃんとあります。以下は英文版のみです。
July 2020 StudentZone Quiz Solution
実は今回、SPICEかけてブレッドボードで実験して、動いた動いたとしてしまいましたが、肝心な「苦労する部分」をスルーしてます。だってメンドイだもの(そんなことで良いのか。)また、1点、アナデバ様の尊いグラフに何だか腑に落ちない部分もあり、後で記します。
テスト対象回路とLTspice シミュレーション
テスト対象回路は前回と同じエミッタ接地回路です。使用デバイスも同じなので前回の回路にクリソツ。正直SPICEシミュレーション用の回路変更はチョロイです。しかし本当は、抵抗値、キャパシタ値など、周波数応答を考えながら自ら計算し決めていく、というのが今回の真の課題なのであります。その肝心の「設計」部分をパスしてしまいました。掲げられている回路例の定数通りでSPICEをかけ、実機を組み立て、おざなりに各部を測定してお茶を濁した次第。。。
まずは、トランジェント解析時の回路から。
当然ですが、時間波形は、記事に記載のものとクリソツ。違う筈がない!
続いて、AC解析(ボード線図)を書かせてみます。そのときの回路図はこちら。トランジェント解析のところがコメントアウトされて、.ac が生きてます。
得られたボード線図がこちら。パッと見、グラフの形は「図7」とソックリではあるのですが、問題は振幅の縦軸(左側)です。下の青実線(振幅)を見ると、1.5kHz付近にピークがあり、その値は約6dBとなっています。
先ほどのトランジェント解析の結果波形(1.5kHz入力時)を観察すると、入力(赤)に対して出力(青)は、ほぼ倍の振幅になっているので、手元のシミュレーションの6dBというピーク値は納得いく値です。
ところが記事の図7のボード線図をみると、グラフの形は似ていても振幅ピークは -14dBとな。なぜに -14dB?図8の時間波形では、当方の結果同様に出力振幅は入力振幅のほぼ倍になっているだけに。ううむ、納得いかんぜよ。縦軸のとりかたが違うの?
課題として「高い周波数」の特性を変更するために、C2のキャパの値を変更せよ、という件がありました。気を取り直してシミュレーションを実施。そのときの回路がこちら。
そして取得したボード線図が以下に。先ほどの青色線のボード線図と形は似ていますが、こちらの方がピークの振幅は高く、周波数が高い方にシフトしています。この傾向自体は、「解答編」で示されているグラフと同じ傾向ではあります。しかし、また縦軸のdB表示がピーク-9dBとな。これまた納得いかねーずら。
実機で測定
つべこべ言わず、SPICEの最後の回路をそのままブレッドボード上に組んでみまっした。こんな感じ。
周波数1.5kHz、振幅100mV、オフセット0Vの入力波形を与えて、まずはオシロで観察してみます。黄色C1が入力信号、青C2が出力信号。
時間波形は1回目のシミュレーション(C2=0.047uF)とほぼ同じ。ムムム。
ボード線図をとってみると以下のとおり。
ううむ、C2=0.01uFにしたつもりなんだけれどもその効果が表れてないな~。考察すべきなんだろうが。