「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回は2021年8月号です。アナデバ様によると「トランスレジスタンスアンプ」の巻。国内では「トランスインピーダンスアンプ」と唱える方が多数派かと(個人の感想です。)例によって「LTspice」を使って「雰囲気」を確かめたいと思います。
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アナデバ様のWeb記事(日本語版)へのリンクは以下に。
ADALM2000による実習:トランスレジスタンス・アンプの入力段
トランス・レジスタンス・アンプ、電流値の大小で伝えられる信号を電圧値の大小に変換するための回路であります。アナログ素人の私にはよく分からないのですが、日本国内では「トランス・インピーダンス・アンプ」と呼ばれている方が多いような気がします。知らんけど。
毎度記事末に問題があります。それに対する解答編(こちらは英語)が稀に見つからないことがあるのですが、今回は素直に見つかりました。以下です。
August 2021 StudentZone Quiz Solution
トランス・レジスタンス・アンプの回路をLTspice
今回は実機は使用せず、LTspiceでシミュレーションして「お茶を濁す」の回(自分で言うか)なので気が楽です。ターゲットの回路は「このところ何度も続いてしつこく?でてくる」ペア・トランジスタが2組です。アンプとはペアトランジスタと見つけたり、ですかな(そんな事は多分誰も言ってないデス。騙されないように。)ペアトランジスタ2組は正負の両側に「上下対称」な形で構成されとります。使用されているトランジスタは以下です。
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- 2N3904、NPN
- 2N3906、PNP
どちらも小信号用のBJTですが、素晴らしいことにLTspiceのバイポーラトランジスタの一覧の中に両方とも含まれております。LTspiceの回路図上にトランジスタをプレースした後、右クリックから選択メニューを開いてトランジスタ名を選択すれば設定OK。楽で良いです。
そしてまた、アナデバ製ADALP2000アナログ学習キットの中にも、2N3904が3個、2N3906も3個含まれております。実機でも以下の回路を構成するのに何の問題もありません。ただ3個です、どの2個を選ぶ?それは次回か。
上記の回路をシミュレーションした結果が以下に。回路図上に1+とか2+と表示されているのが測定点です。入力信号1+の電圧波形が赤、出力信号2+の電圧波形が青、そして入力のRINなる抵抗を流れる電流が緑であります。
上記の設定ですと緑と青がちょうど反転している感じですが、入力電流に比例して出力電圧が出ている感じがしますな。ホントか?
入力ヒックリ返して電圧駆動型?
ところが回路をほぼそのままに、入力側の接続をひっく返してみよ、と。さすれば電流変じて、電圧駆動型の回路になるであろう、と。以下の回路であります。
シミュレーション結果が以下に。赤が入力「電圧」、青が出力「電圧」であります。また、反転はしていますが、入力と出力はピタンコで動いているみたいです。
まあね、上記のシミュレーションではトランジスタ・ペア間の特性のバラツキもなく、理想的な挙動であったはずです。でも実機ではどうなのよ?と。そういえばNPNのデュアル・トランジスタの在庫はあったですが、PNPは無かった気がします。
実機の動作はまた今度と。