前回はAD5626 D/Aコンバータを「お手軽ツール」のデジタル出力端子で操作、アナログ出力を得ました。AD5626は5V単電源動作の場合、内蔵の参照電圧により0から4.095Vの電圧を生成できます。今回は±5Vフルスイングさせてみよ、とのアナデバ様の思し召しです。やっぱり両電源でないとということなのかな。知らんけど。
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※アナデバ様のWeb記事『StudentZone』2022年3月号の記事へのリンクは以下です。
AD5626の制御の件
前回、AD5626を制御するのに、Analog Discovery2の「ロジックパターンジェネレータ」を駆使してやってみました(アナデバ様の記事ではアナデバ製ADALM2000をご使用ですが、多分にたようなもん、ということです。)
しかし、DAのDはデジタルなので、もともとデジタルな制御の方が簡単。ということで、以下の別件記事では、AD5626をST Microelectronics社製のSTM32F401REマイコン搭載Nucleo-F401REボードにて制御してみました。開発環境はArm社の純正Web開発環境Keil Studio Cloudです。実行環境としては Arm社の組み込み用OS、Mbed OS6であります。私的にはこちらの方がらくちん。
モダンOSのお砂場(51) Mbed OS6、AD5626 12bit DAC SPI接続
ま、上記記事にてAD5626を制御して三角波を発生させてみました。今回使用したのは同じプログラムです。しかし、今回1件やらかしていることを発見してしまいました。
回路図1か所間違っていました。大変申し訳ございません。
該当記事の回路図に修正入れました。また、以下の回路図は修正済のものに今回の回路を書き加えたものです。
今回追加の回路
今回追加の回路は、0~4.095VのAD5626の出力の先に±5V電源で動いているレールツーレールのバイポーラ・オペアンプを追加し、電圧範囲を±5Vに「引き延ばそう」とするものです。
アナデバ様の元記事では「図12」に回路図が掲載されているのですが、それと上記はちょっと異なります。
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- 図12では、アナデバ製ADR03で参照電源2.5Vを生成しているが、ADALP2000部品キットには2.5Vの参照電源は含まれていない。記事の実体配線図ではADALM2000のW1(パターンジェネレータ)出力を2.5V DC に固定して代用していた。上記回路図でもそのようにした(使用したツールはAnalog Dicovery2だけれども)まあ参照電源に使えるチップは手元にも在庫あるけれどもお手軽ツールで代用する方がお楽。
- 図12では、レールツーレールのオペアンプとしてOP295を使っていたが、ADALP2000部品キットにはOP295は含まれていない。記事の実体配線図ではOP484を使っていた。上記回路図でもそのようにした。なんで回路図でOP295を使ったのかは想像もつかず。ま、どうでもいいか?
しかしですね、「図12の回路を実装したブレッドボード」の実体配線図 については「さらに」申し上げたい儀これあり。
- 図12の回路図では1個の抵抗として記述されているR4を、実体回路図では3個の抵抗を直並列に組み合わせて実現しとります。
- 実体配線図中の抵抗のカラーコードは正しいと思います。しかし、470kΩに47kΩ、10kΩに20kΩと誤った数字が書き込まれております。
- なんどか申し上げておりますが、AD5626のブレークアウトボードのピン配が実デバイスの並びになってます(ADALP2000所蔵の実ブレークアウトボードは90度ローテイトしてミラー配列。)
念のため、アナデバ様の記事で使われているデバイスたちのページへのリンクを張っておきました。
ブレッドボード上に組んだ回路が以下に。左のデバイスがAD5626(BB搭載)、右のデバイスがOP484オペアンプです。OP484の未使用回路は一応始末してみました。アナデバ様の記事では何もしてないので、始末しなくても問題ないのかね~。なお、OP484自体は「ユニティ・ゲイン安定」なデバイスです。
上記のブレッドボードに、Nucleo F401REボードとAnalog Dicovery2を接続したところが以下に。
実験結果
以下、生成した3角波(オリジナルは0~4.095V範囲)の様子です。
ほぼ、マイナス5Vからプラス5V範囲の三角波になっているようです。まあ、細かいところちょいと気になるけれども、まあいいかと踏みつぶしてしまう。。。いいのか本当に。