お手軽ツールで今更学ぶアナログ(127) 2N3904と2N3906ブレッドボードにSCR

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年5月号の実習2回目です。今回はブレッドボード上にバイポーラトランジスタ2個をならべてサイリスタ回路を構成、実際に電流を流してその動作を観察します。前回LTspiceで観察してみているので、そのとおりにやってみた編か?

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※アナデバ様の StudentZone 2022年5月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習:シリコン制御整流器

毎度注釈を書いてますが、アナデバ製の学習用アナログパーツキット ADALP2000所蔵のパーツをこれまたアナデバ製のADALM2000「学習ツール」で動かすのがアナデバ様の記事の本来意図ですが、当方、ちゃっかりAnalog Dicovery2使用してます。AD2も中身はアナデバ・チップ満載のハズなのでゆるしてね、という感じ。

今回は、末尾問題への回答編(英語、とてもシンプル)もありです。リンクが以下に。

May 2022 StudentZone Quiz Solution

今回実験に使用した回路

定番(多分米国では)のバイポーラトランジスタ、2N3906(PNP)と2N3904(NPN)を各1個と抵抗で構成した以下のような回路を使用しています。詳しいことはアナデバ様記事をご覧くだされ。

SCR_CirOnBB1

サイリスタ(SCR)としての動作の観察

記事の設定条件どおり、W1に100Hz、オフセット0V、振幅5Vの入力を与え(観察は黄色C1)、W2に100Hzの方形波、オフセット400mV、振幅400mVの入力を与えた場合のロード抵抗RL1kΩの電圧を青色C2で観察したものです。

以下はすべては、W2の方形波の位相を黄色の正弦波位相に対して270°に設定してます。

W2 800mVの動作は以下のようです。

timWave800mV

前回のLTspiceシミュレーションでは、SCRがONしているとき、黄色に比べて青色が約780mVくらいドロップしていたけれども上記みると、大体あっているんでないかい(30mVくらい小さいケド。)

さて、W2の電圧をどのくらいまで落とすとSCRがONしなくなるのか調べよ、ということなのでW2をいろいろいじって調べてみます。前回のLTspiceシミュレーションでは、530mVでした。

現物実験回路で SCRがONしなくなるのは、W2 568mV付近でした。

timWave568mV

 

W2 570mVにあげると、元気にSCR動作を始める様子が以下に。

timWave570mV

ちゃんとSpiceシミュレーションするときは、この30mVばかりの差の理由を考察せんといかんと思うのですが、アナログ素人には辛いので踏みつぶします。

記事の後半は CMOSのIC内の寄生素子としてのSCRがトリガされると発生するラッチアップの説明です。大昔、CMOSデバイスのレイアウトを習ったときに勉強しました。ラッチアップ。偉大なプロセス屋さんがプロセスとデザインルールをキッチリ決めてくれているので、おバカな設計者が出る幕は多くなかったですが、外からの電圧が加わるようなところはいろいろ厳しかったような記憶もあり。大昔の初期のCMOSじゃ多かったような気がするけれども、今時はあまり聞かないっすね。でもまあ、こういう原理回路をいろいろいじると骨身に染みてわかるのだろーなー。よい子はちゃんと勉強しておいてね。知らんけど。いいのかそういう態度で。

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