これ1冊読み切った暁には「オペアンプ」分かるんじゃないか、という期待を込め、「OPアンプ大全」無料ダウンロードさせていただいたのは2年以上前。すみません、積読になってました。2022年も押し詰まっているというのに一念発起、これより読ませていただきます。ただ読んでも年寄の忘却力には抗えず、ソフトウエアのお助けで読む、と。
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「オペアンプ大全」は、アナデバ様の以下のページからダウンロード可能なPDFファイルです。元は紙の御本として売られていたみたい(とても買えない値段で?)
OPアンプ回路の基本から応用まで、OPアンプ大全を無償提供中
原著は、Op Amp Applicationsという書物だったのらしいですが、日本語訳では
OPアンプ大全
というタイトルにされたよし。これ1冊読めば何から何までわかるようになるぞよ、と仰られている趣。「大全」いい響きです。
しかし、今まで読むのがためらわれていたのが、例の忘却力です。年寄は最近のことをすぐに忘れてしまうので、ご本を読んでも右から左に抜けます。そこで、最近、別件シリーズにてちょっとは慣れた以下のソフトウエアのお助けを借りることにいたしました。
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- Maxima
- LTspice
第1のMaximaはフリーの数式処理ソフトウエアです。算術計算は当然、微分、積分、線形代数なんでもござれ。OPアンプ大全に登場の数式をこの年寄に代わって計算してくださるでしょう。
第2のLTspiceは、泣く子も黙るアナデバ様のSPICEシミュレータです。これまたフリーで使える。涙がちょちょぎれる一品です。回路を描けば、実際に動かしたところをシミュレーションしてくれます。
第1巻第2部(Chapter -1)
今回、第1巻第2部(Chapter -1)から始めたいと思います。しかしその前に第1巻第1部(Chapter-H Op Amp History)があるのです。しかしここから始めないのは、
Chapter-H、面白すぎるけれど私の現状では読み取れないところままあり
だからであります。Chapter-1以降を読み進めて、オペアンプへの理解を深めてから再度Chapter-Hに戻ってきたい、と思う所存。
さてChapter-1ですが、最初に理想OPアンプについて説かれてます。OPアンプ素人としては、以下の2か所を引用させていただきたいと思います。簡潔なお言葉が胸に染み入ります。
二つの入力端子に与えられる小信号差動入力信号を処理し,電源電圧の範囲内でシングルエンドに変換された電圧を出力すること
「理想特性からかけ離れている」ということが現実のOP アンプの諸特性を理解するうえで非常に役に立ちます
Maximaの準備編
さて、以降、数式など登場するのですが、Maximaの準備もちょいとしておきます。もともと、数学系の「数式処理」ソフトで工学系向きとは言えないので、具体的な計算が楽になるように以下定義しておきました。
log10(x) := log(x)/log(10); roundF(x, p) := float(round(x*10^p)/10^p); dB(Vout, Vin) := float(20*log10(Vout/Vin));
ついでにデシベル計算です。OPアンプなのでVin、Voutに対して。
上記でcompareしているのは検算です。ゲイン1e6は、120dBと「=」だと。
非反転増幅回路(ボルテージフォロワ)
さて最初は非反転増幅回路です。御本では「ゲインをもたせることができる」ボルテージ・フォロワと書かれとります。
そのゲインGの式、およびフィードバック伝達特性β(BJTのフォワードゲインとは違うぞよと注釈あり)の計算式と関係をMaximaで綴ってみました。
LTspiceで描いた回路が以下に。オペアンプは伝統の?OP07にしてみましたぜ。
上記のシミュレーション結果が以下に。黄緑が入力、青が出力。
先ほど定義したMaxima関数で計算したゲインが以下に。
シミュレーション結果通りとな。
ユニティ・ゲイン・フォロワ
一般にはボルテージ・フォロワというとこの「ユニティ・ゲイン・フォロワ」の回路を指すような気がします。Rgを無限大に、Rfを0にしてしまった形。
シミュレーション結果が以下に。期待どおり2つのグラフはピタリ一致してしまうので、表示プレインを分けてみましたぞ。
ユニティ・ゲインだ。あたりまえか。