お手軽ツールで今更学ぶアナログ(152) 負のリファレンス電圧の生成、意外なLEDの利用法?

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」、2023年2月号の日本語版記事がアップされてました。さっそく実習にとりかかります。テーマは負のリファレンス電圧の生成。±5V電源はあるのだけれど、-2Vといった参照電圧が欲しいといった感じですかね。初回の今回は意外なLEDの使い道が。

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アナデバ様のStudentZone 2023年2月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習:負のリファレンス電圧を生成する方法

何度も書いてますが、アナデバ様の記事は、Analog Devices製のアナログ回路学習ツールADALM2000を使い、これまたAnalog Devices製の学習用アナログパーツキットADALP2000で実験回路をこしらえて勉強するべし、というシリーズ記事です。当方ADALP2000は所持しておりますが、ADALM2000は持ってません。「きわめてよく似た(中身のICはアナデバ製だらけ)」Digilent Analog Dicovery 2にて実習させていただいております。

さて今回実習は負の参照電圧の生成です。今回の回路はとても分かりやすいデス。正負電源に接続しているオペアンプ(反転増幅回路構成)に正の参照電圧を入力してやれば、出力は反転して負の参照電圧になるだろ~というもの。アナログ素人の私にも腑におちる回路です。キモは正の参照電圧の生成、ということになります。記事では3段階の回路を実験していくのですが、初回の今回は、正の参照電圧に

ツエナーダイオード

を使いたかったみたいです。ありがち。ところが、あろうことか、実験パーツキット、ADALP2000所蔵の唯一のツエナーダイオード 1N4735 は、ツエナー電圧が6.1Vなのであります。ADALM2000(そしてAnalog Discovery2も)は正負の電源回路を内蔵しておりますが、±5Vが限界です。ツエナー電圧6.1Vでは収まらないのであります。どうするのか?

流石アナデバ様です。慌てず騒がず荒業?を繰り出してきました。キット所蔵のLED(とくに緑色がお勧めとな)のVfをプラスの参照電圧に使ってしまうのです。1か所引用させていただきます。

学習用途であれば問題ないでしょう。

今回実験の回路

今回実験の回路の実体配線図が若干好みに合わなかったのと、回路図との対応関係が分かりにくかったためにICのパッケージイメージに合わせて回路図を書き直してみました。アナデバ様の記事同様オペアンプはOP482使ってますが、記事の実体配線図ではICの右半面つかっているのに、下の当方回路図では左半面です。なお、今回使用のOP482は、ユニティ・ゲイン安定のJFETタイプの4回路入りアンプです。Schematic_1

上記回路図を見ながら組み立てたブレッドボードが以下に。minusVREFdut

LEDが2個載ってますが、これぞVf使った+側の参照電圧です。上部にあるピンヘッダのうち、左が-VrefA、右(青色のクリップが接続しているもの)が-VrefBです。

実験結果

-VrefAの電圧をハンディDMMで読み取ったものが以下に。-1.889Vとな。

minusVrefA

つづいて -VrefBの電圧を読み取ってみると、-1.901V。

minusVrefB

精度は分からんけど、ま、とりあえず負の電圧はでてる。Vfが1.9Vくらいのハズなのでそれがひっくり返ったとしたらそれらしい感じの電圧。当たり前か。

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