お手軽ツールで今更学ぶアナログ(208) アナログ・ポリフェーズ・フィルタその2

Joseph Halfmoon

アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』の2024年8月号(和文版)の実習2回目。前回はRC受動回路のみのポリフェーズ・フィルタ。回路は簡単。でも特性はビミョー。今回はトランジスタ4個で差動増幅器を作り、差動出力の負荷としてLCフィルタを使う回路です。90°づつ位相がずれた信号が取り出せるっと。

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※学生でもないのに勝手に実習をさせていただいておりますアナデバ様の記事(日本語版)が以下です。

ADALM2000による実習:ポリフェーズ・フィルタ

90°づつ位相がズレたところを取り出す

今回の「差動型ポリフェーズ・アンプ」では、反転した(180°ずれた)信号のそれぞれから90°位相差のある信号組を取り出すことで、0°、90°、180°、270°のずれた4信号を取り出そうとするものです。このズレが成り立つのは、LC共振周波数のところね。

計算するに、L1: 100uH、C1: 1nFということから共振周波数 503.292kHzであるハズ。シミュレーション用の回路図(LTspice)が以下に。PolyphaseFileter1_TRANcircuit

 

NPNトランジスタ4個の回路とはいえ、前回の回路とは段違いだな。

上記では周波数503kHzのサイン波を与えて過渡解析をする設定です。左中ほどに、AC解析と過渡解析の両方の設定が書いてあって使わない方を ; でコメントアウトしてあるので、所望の方を活かせばシミュレーション結果が得られると。

ACシミュレーション結果

以下がAC解析の結果です。PolyphaseFileter1_ACsim

上から、回路図のVA、VB、VC、VDの各ノードのAC解析結果です。実線が振幅、点線が位相です。うっすらと503kHz付近に縦のカーソルが見えております。その縦線と点線の位相のグラフの交点のところの「だいたいの位相」を目で読み取り、交点付近に読み取った数字を書き添えてあります。上から -270、‐180、0、‐90であります。-がついてますけど、90°づつズレた信号が取り出せることが分かります。

トランジェント解析で取り出し結果を眺める

実際にほぼほぼ共振周波数の周波数503kHz、振幅1V、オフセット0Vの正弦波を入力に与えた場合のVA、VB、VC、VDの各ノードの出力波形が以下に。PolyphaseFileter1_TRANsim

あたりまえですが、90°づつ「ズレた」信号が出力されとるようです。よかった。

今回はシミュレーションだけで疲れてしまったので、実機はまた今度だな。

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