定番回路のたしなみ(56) 74HC04インバータで作るVCO(電圧制御オシレータ)

Joseph Halfmoon

前回は74HC04インバータのつらなりを「遅延回路」と見立てて、両エッジ抽出(見様によっては周波数2倍回路)といたしました。今回は「何とか」とインバータは使い様という金言を実現すべく同じ74HC04でVCO(電圧制御オシレータ)を組み立ててみます。40年以上前の「実用回路集」に載っていた回路のチョイ変なのサ。

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過去回で登場のVCO(電圧制御オシレータ)

本シリーズや別シリーズの過去回でVCO練習してます。本シリーズの以下の過去回から3回にわたってCD4046使ったPLLの実験しており、その際にVCO回路が含まれてます。

定番回路のたしなみ(19) CD4046でPLL(フェーズロックドループ)その1

また、別件シリーズの以下の過去回からやはり3回にわたってアナデバ様のAD654 使ってVCOを組み立て、PLLを練習してます。

お手軽ツールに今更学ぶアナログ(143) PLL実習の前準備、AD654再び

なお、AD654は残念なことに古いチップなので新規設計非推奨でなかったかと。

また、本シリーズの過去回ではバラクタ(バリキャップ、電圧で容量が変わる「可変容量」的なデバイス、ダイオードの親戚筋)を使ったVCO(もどき)も練習してます。

定番回路のたしなみ(11) バラクタ(バリキャップ)とCD4007でVCO(もどき)

今回実験の回路

上記のように何度もやっているのに、さらに付け加えての今回は

    • みんな大好きインバータ、TC74HC04AP使用
    • 74HC04以外は抵抗4個とコンデンサ1個

で作れるVCOであります。この回路は、いつもお世話になっておりますCQ出版様の 実用電子回路ハンドブック3というご本に記載の回路を転載したらしい『トラ技1984年11月号別冊付録』に掲載されていた回路の勝手改変です。少なくとも40年以上前の「実用回路」っす。CQ出版様の出版物では4049、CMOS4000シリーズの6回路入りInverterを使っていたのですが、生憎、手元に4049はないので、TC74HC04APに部品を変えてしまってます。74HCU04のようなアンバッファタイプでないので「やさしいアナログ的な波形」ではなく、キビキビした立ち上がりのパルス波形が得られる筈。ホントか?

なお74HC04は4049と同じ6回路入りのインバータですが、端子配置はまったく異なります。また、74HC04の方が各段に遅延が小さい(多分1桁以上速い?)ハズ、ちゃんと調べてないケド。

回路図が以下に。74HC04_VCO_circuit

ブレッドボード上に組み立てた現物回路が以下に。74HC04_VCO_BB

Vinに電圧を加えると、Voutから方形波が出力される筈。なお上記回路の電源(Vdd)は5Vデス。

実際にVinに約0.77V(装置設定では1V)の電圧を加えたときの波形が以下に。74HC04_VCO_077

黄色がVinの入力電圧、青色が出力Voutの波形であります。

Vinの電圧を上げ下げしながら測定した周波数のグラフが以下に。74HC04_VCO_Graph

確かに発振周波数を入力電圧で制御できている気がする。いいのか?

定番回路のたしなみ(55) 論理ゲートの遅延をつかったエッジ検出回路

定番回路のたしなみ(57) シュミットトリガインバータで作るパルスストレッチャ

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