特許と英語
特許の収益化を図るのであればUS特許は避けて通れません。未だ世界特許は存在しないので、同じクレームであれば最大消費市場が存在するUS特許の特許価値が最大であります。
特許の失敗学[6] クレーム(その1) において「最大の失敗は、外国出願(特にUS特許出願)をしなかったこと」とした所以です。もしもUS特許出願があればアップル社の対応も違っていたことでしょう。
US特許といえば英語であり、機械翻訳が完璧でない現状では少なくとも英語Readingが必要条件です。代理人にお任せでない限り、自分のUS出願をチェックできる英語能力は必要となります。英語の文献は最大のビッグデータです。世界公知の特許の世界では、先行技術調査において英文で判断できる事が望ましいでしょう。
◆ 私の英語歴
「特許と英語」といっても、多くは語れない(語るほどの知識が無い)のです。ご参考までに「私の英語歴」として「失敗」と思うことを書こうと思います。
▼分節
今時の子供は小学生または幼児教育で英語を学びますが、私の世代は中学で初めて英語を学びました。そこでローマ字と英語のスペリングの違いに当惑することになります。
「butterfly」は、バタフライなのに何故に「t」が2個あるの?
「cutting」は、「カッティング」と読むので「t」が2個必要だけど…
外国語なんだし、これは丸暗記するしかないのかと思ったのでした。
大学受験の頃、「試験にでる英単語」という本が流行りました。
そこには、英単語は「分節」に分解できて、それぞれの分節は意味があるとありました。
就職した後のこと、「英語のスペルは分節で覚えるといいんだよね」と同僚から聞きました。まさに「目から鱗」、ここでようやく中学生の時の疑問の答えがわかりました。
中学生の私は、疑問に思ったことを調べようという考えがありませんでした。それは、決して「聞くは一時の恥」ではなく、単に疑問を放置したのでした。後から思うに、英語の辞書は「but・ter・fly」という分節を示していたはずです。そして英語辞書の解説には「分節」が書いてあったはずです。(手元に辞書がないので確認できませんが)
英語に限らず、疑問を持った時が学ぶチャンスなのに、それを放置するのは失敗と言わざるを得ません。
▼発音
私の学生時代は学校に英語ネイティブはいません。メディアで英語に触れる機会も現在とは大違いです。「R」と「L」の区別は、発音も聞き取りも完璧にできません。
1回目の米国赴任。意外なことに会社の仕事では英語で困ることはありませんでした。狭い技術分野では貧弱な英語力でもOKでした。初めてインド人の英語を聞いて、その聞き取り難さに驚きます。しかし、もっと驚いたことにネイティブは、そのインド人の英語を日本人の英語よりも容易に理解するのでした。
3回目の米国赴任。会社は英語のクラスを設けてくれました。その先生が曰く「日本人は子音を気にするが、母音の発音がより問題だ」というのです。母音の発音の訓練、アクセントに注意と、腹の底から声を出すという指導を受けました。
「post office」は「ポスト オフィス」ではなく「ポウストゥ アフィス」でないと通じない。まさに「掘った芋いじるな」ジョン万次郎は偉大です。
◆ Afterword
『人は誰もみな同じじゃいられない 平凡の強さ気付かず 生きてゆく』
出典:「平凡」 小室みつ子 平松愛理 薬師丸ひろ子
米国赴任では、いつも日本人の赴任者と一緒でした。旅行に行ったり楽しく過ごせましたが、米国人との交流や文化を学ぶことはあまりできませんでした。そんなんで、数少ない思い出から3つ紹介します。
・Yield
日本と違う交通標識の代表が「Yield」です。日本の「合流注意」よりも理にかなってます。「4-WAY STOP」も衝撃でした。日本に在ったら機能するんだろうか。「日本ではSTOPがあっても、誰もいなければ止まらない」と言ったら、「どうして?神様が見てるだろう」と言われました。
・Reservation
車で旅行に行って、国立公園のモーテルに泊まったとき、「おまえはReservationを知ってるか」と訊かれました。なんでそんなことを訊くのだろうという顔をしていたところ、インディアンアメリカ先住民の末裔と思われるその人は、「お話にならんな」という感じで去っていきました。
・Merry Christmas
12月25日の朝、タクシーに乗りました。運転手が料金ゲートを通るときに「Merry Christmas」と声をかけます、門番は「Merry Christmas」と返しました。クリスマスが大好きな日本にはこんな挨拶をする人はいるんだろうかと思いました。
人は今いる環境は「平凡」と思いがちです。しかし後にふりかえると「特別」な環境であったことがわかります。