SPICEの小瓶(71) LTspice、{Educational} TRIACとDIAC

Joseph Halfmoon

LTspice配下のExampleフォルダ内Educationalフォルダ所蔵の回路図を経めぐってます。前回は「DC動作点解析」でした。今回は、TRIACとDIACを使ったランプの調光回路です。交流つかったこの手の回路を実用化するときは、高調波対策が必須みたい。わしゃ、やらんけど。 でも計算の入口はみておきたいデス。

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※アナログデバイセズ社のLTspiceのガイド、ヒント、便利な情報については以下へ。https://www.analog.com/jp/resources/design-tools-and-calculators/ltspice-simulator/ltspice-recommended-reading-list.html

DIACとTRIAC

今回のEducationalフォルダ所蔵の回路図は dimmer.ascです。デバイス的にはDIACとTRIACを使った、商用電源(米国式。60Hz、単相120V相当)に接続するランプの調光回路みたいです。なお、赤枠内は後の計算のために当方で勝手に付け加えたものです。DIAC_TRIAC_model_circuit_PF

とりあえず、上記のシミュレーション結果の波形はこんな感じ。dimmerWave

R1のところの抵抗値{Rdim}を1kΩから325kΩまで変えたときのバルブの消費電力の様子を計算しているみたい。

DIACとTRIACについて素人老人が勝手に掻い摘むとこんな認識です。

    • DIAC
      • 双方向のトリガーダイオード
      • 正負とも一定の電圧を超えると急激に電流を流す
      • TRIACのゲートを制御するのに使われる
    • TRIAC
      • 双方向のスイッチング素子
      • 交流電流を制御するのに使われる
      • 両端の電圧と同符号の電流パルス印加でONする

なお、DIAC、TRIACとも「LTspiceにシンボルはある」けれども「モデル」は含まれていないみたいです。それで回路図上にベタでモデルのサブサーキットを書きこんで使っているのだと思います。

調べたら、「LTspiceの権化」三共社の渋谷先生がYouTubeチャンネルで このdimmer.asc について、なんと3回に渡って語られてました。リンクが以下に。

トライアックを使った調光回路1 DIAC(ダイアック)

トライアックを使った調光回路2 TRIAC(トライアック)

トライアックを使った調光回路3 DIMMER(調光回路)

プロの渋谷先生が分かりやすく説明されとりますので上記をどうぞ。

渋谷先生の3回目で、最後の方でちらっと「力率」の話をされていたので、お惚け老人は、今回はソコをちょいと調べてみました。

力率

今回「力率」が気になったのは他でもありません。最近起こった、スペイン、ポルトガルの大停電、その原因は純粋に電力(有効電力)が不足したわけではなく、無効電力が大きすぎたことにあった、とかいう話をどこかで見ました。ホントかどうか知らんけど。まあ、家電製品の力率とは直接関係ない話だけれども。商用の交流電源を扱うときには力率大事だな~。googleの生成AI、Gemini 2.5 Flash様もおっしゃってます。

geminiPF2

 

分かったような、分からぬような。。。 この手の規格についてもお聞きすると、geminiPF1 だそうな。JIS 61000-3-2は、国際的にはIEC 61000-3-2規格と同じものであるようです。

ここで「サンシン電気株式会社」様の以下のページ

高調波規制とは?製品開発における高調波対策について

から1文引用させていただきます。

CEマーキングを取得するためにもIEC規格に準拠する必要があります。

なんだ、CEマークつけて輸出するときは必須じゃん、多分。逃げも隠れもできね~ずら。

LTspiceでの力率計算

LTspiceで力率を計算する場合、フーリエ解析を行う .FOUR コマンドを使うのが一番お楽みたいです。Gemini様に教えていただいた方法が以下に。FOUR_PF

このコマンドを使ってみると、エラーログの中にしっかり力率の計算値が出力されてます。上のシミュレーションの場合の、Rdim=1kΩのときの結果が以下に。PF_1K

 

力率、99.9%とな。バッチリだね。なお、PF=の後に括弧つきの数字が続いてますが、括弧なしの数字が指定の次数(今回指定は20次まで)までで打ち切って計算した値、括弧内は計算できる限りの次数で計算した値らしいです。CEマークのときは40次くらい求めるの?どうなんだ?

しかし「調光を暗く」してRdim=325kΩとしたときの結果をみるとダメダメですな。PF_325K

20%ちょい。。。そういうときは「サンシン電気株式会社」様などの対策デバイスを組み込むのが良いのか?知らんけど?

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