お手軽ツールで今更学ぶアナログ(248) ウイーン・ブリッジ発振器、その3

Joseph Halfmoon

アナデバ様のWeb記事『StudentZone』の2025年10月号(日本語版)の実習三回目。今回もウイーンブリッジ発振回路です。シミューレーションで「しか」実現できない理想回路を使って発振条件を味わうの回っす。ぶっちゃけ「アンプのゲインはピタリ3」というのが安定した発振の条件デス。現実ではピタリは無理だけど。

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バルクハウゼンの発振条件

忘却力の老人は直ぐに忘れてしまうので、バルクハウゼンの発振条件をば書き写しました。

    1. ループ・ゲインの絶対値が1
    2. ループの位相シフトがゼロまたは2πの整数倍

ピッタンコで、同じ波形が戻ってくれば永遠に発振がつづく道理。このうち「ウィーン・ブリッジにおいては平衡状態において位相シフトがゼロになる」という性質あり。また、「共振が発生した際、ウィーン・ブリッジのリアクティブ・アームによる減衰率は1/3」という性質もあり。よって、

アンプは、位相シフトがゼロでゲインが3

であれば安定して発振が継続するみたいです。良かった。

といって「理想」ならぬ現実のデバイスでは「ピタリ賞」は多分不可能。そこでとりあえず、シミュレーションの理想状態で発振条件を味わえ、との思し召しであります。

シミュレーション用の回路

アナデバ様のWeb記事から、以下のお名前のファイルがダウンロードできるようになっているので、それを使わせていただきます。

wien_bridge_vcvs_gain.asc

しかし、上記の回路、パッと見はウイーンブリッジ発振回路に見えんのう。刷り込まれている「ダイアモンド型」でないからかなあ。よくよく見れば分かるっと。WienBridgeVCVS_circuit

なお、緑色の電源は「最初の一撃」を与えて発振させるためのものみたいです。これがないと、回路は永久に静かなまま?

そして赤枠をつけたところが、電圧制御電圧源で作成された「理想アンプ」のゲインです。上記では発振継続条件の3.00 とな。

3.00のときの波形を拝見すればこんな感じ。WienBridgeVCVS_gain300

一方、ゲインを1%低下させた2.97のときの波形がこんな感じ。WienBridgeVCVS_gain297

おっと、あっという間に減衰してしまいます。

ゲインを高々1%「増強」させた3.03のときの波形がこんな感じ。シミュレーション上の「理想回路」だから拝める波形っす。WienBridgeVCVS_gain303

800TVだと。TVはテレビじゃありませぬ、Tはテラです。テラボルトとな。フツーの電気電子系ではお目にかかることの無い電圧じゃないかと思います。それも高々250msの後ですぞ。

まあ実際にはそんな発振を許してくれる回路がある筈もなく、3より大なゲインであれば、あっという間に回路上限に張り付いて「歪みでひん曲がった」波形で発振するハズ。綺麗な正弦波は夢のまた夢であります。

まあ、実地に(シミュレーションだけれども)やってみるってもんだな。

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