前回、年甲斐もなく同人誌即売会的「技術書」に手を出して?しまいましたが、今回も「それ」です。商業出版社の出版物ではありませんが、ネットで入手可能。たかだか132ページの「小冊子」ではありますが、Kendryte K210にご興味のある方には必携の一冊じゃないかと思います。
※『Literature Watch Returns (L.W.R.)』の投稿順 index はこちら
私の場合、入手先はSWITCHSCIENCE社であります。ま、RISC-Vのデバッガを購入する「ついで」に買ってしまった?んでありますが。上のアイキャッチ画像(御本の表紙の上に手持ちのK210搭載M5Stack製M5StickVを「あしらって」みました)を御覧いただければ読めますとおり、表紙に大きく書かれているメインのタイトルは、
MAiX MAniaX
であります。多分、このタイトルだけを見て「触手」が動く方は少ないんじゃないかと想像します。私の場合、M5StickVで、MaixPyを使ってみたことがあったので「心に引っかかった」のですが。ま、前回のように「萌え系」の可愛いイラストではなく、如何にもエンジニアリングっぽい色合い、なんというかな系なイラストなので地味で目を引きにくい、かもしれません。しかし、サブタイトルを読むと、ようやく、誰に向けて書かれた本なのか分かります。
-
- K210とESP32が切り開くAIoTの世界
- AIoTの幕開けを刮目せよ
です。K210とESP32というデバイスのお名前を見て、初めて、私も読んでいい御本らしい、と想像がつきました。
著者のaNo研さんというのは、エンジニア3名で始めた団体だということです。その中でnnnさん(団体内部ではM5Stack御担当とのこと)が執筆されている本なようです。率直な感想をまず書かせていただくと
最近遊ばせている K210搭載M5StickVを再び動かすべし
と密かに決意した?ほど触発される情報量でした。商業出版社の技術系出版物に比べてお値段お手頃ではあるのだけれど、薄くて小さな小冊子、です。それでも内容は充実しています。K210搭載のボードを既に購入されている方はこの本に気付いて既に入手されている方も多いかもしれませんが、検討中の方は多いに参考になるんじゃないかと思います(個人の感想です。)なお、ESP32もサブタイトルに入っていますが、K210に無線通信が入っていないための「お供」としてのESP32の取り上げ方です。メインはCanaan Creative製 Kendryte K210だと思います。
K210とその開発環境のMaixPyのことだけでなく、PC上のTensorFlow+Kerasを使って深層学習のモデルを作り、K210に組み込む方法なども書かれています。K210をつかってAIやろう、そして、その結果をクラウドに上げよう(通信のところはESP32)などと考える場合には、即座に参考になる情報が満載(ソースは例によってGitHub上にあり)であります。
ただし、MAniaXとタイトルでうたっているだけのことはあり、
-
- microPythonでなくてもPythonは知っているよね
- c/c++のコードが突然書いてあっても驚かないよね
- ArduinoIDEなどの「最近の」マイコン開発ツール使ったことあるよね
- 突然、パディングとか、プーリングレイヤとか言われても問題ないよね
- TCPとかUDPとか知っているよね
- UARTとかSPIとかも大丈夫よね
くらいは暗黙に求められるじゃないかと思います(個人の感想です。)一応、さらっと説明は各部に書いてくれているのですが、何せ小冊子なので、「進行」が早いです。そのかわり、Web上、どこへ行ったら詳細なことが分かるか、コードやデータが入手できるのかはちゃんと書かれているので、ある程度の予備知識があれば、この本を「羅針盤」替わりに、航海することができるような気がします(個人の感想です。)
このところ、同じRISC-V搭載機と言いつつ、M5StickVではなく、もっとMCUっぽい(お求めやすい)Longan nanoに「シフト」していたです。来週くらいから、K210も復活するかな~ とはいえ、前回の「アナログコンピュータの御本」に「触発され」て始めてしまったアナログ系のシリーズも収拾ついていないのになあ。。。なにか、この手の本を1冊入手する度に影響される年寄りであるなあ。
Literature watch returns(17) 技術部ならわかるアナログコンピュータ 第1弾ラブサーキット編 へ戻る
Literature watch returns(19) AIチップ図鑑&実力大研究、インタフェース2020年10月号 へ進む