前回、時刻と測定した温湿度をSDカードに記録できるようになりました。Wio Terminalを適当な電池で動かせば、何らかのセンサのロガーとして試用できそうです。そこで気になるのが電池の持ち。今回はどのくらい電流を食っているのか調べてみました。
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電池の持ちを推定する場合、SleepモードとかStandbyモードとか、MCUの消費電力を抑えるためのモードも気になるのですが、今回はWio Terminal搭載MCUのその辺の仕組みはスルーしてしまいました。その前にもっと気になる、必ずや「相当な」電流を食っているに決まっているものがあるからです。
LCD画面のバックライト(LED)
です。きっと数十mAくらいは流れ続けている筈。動作状況の確認のためにはLCDをONにして画面を見たくなるので、
装置端面のスイッチCをバックライトのON/OFFトグル
機能にアサインし、ちょこっとソフトを書き添えました。ソフトそのものはごく簡単、かつ前回のコードなどチョイ変でできるので省略してしまいますが、1箇所ハマッたのが、
LCDパネルに向かって3つあるボタンのうち、一番左のボタンがC
だったことです。左からA,B,Cだろ~と思い込んでいたのでツマラナイところで焦りました(アイキャッチ画像を御覧ください。)
想像するに、多分、PCBの設計的にはLCDパネルと逆側の方が「表」なのでしょう。そして表から見たときに左からA, B, Cとならんでいるのでしょう。しかし、使っている側としてはLCDパネル側を「表側」と思い込む、と。
ま、これでボタンCを押せば「電力食い」のバックライトがON/OFFできるようになったので、消費電力測定時にON/OFF比べてみればその効果が分かるというものです。
しかし、測定を始めて気付きました。まだ、LED光っているじゃないか!1個光れば、数mAは食っている筈。これは電池でダラダラ測定する際には許しておけないでしょう。
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- 緑色のパワーLED
- 青色のUSER LED
の2個です。これらは装置下面の「穴」から覗き見る感じ。下にその様子を掲げます。
Wio Terminalの回路図を見る限り、3.3Vの主電源が生きていればPower LEDは点灯してしまいます。こちらを止めることはデキナイ。しかし無駄に光っているUser LEDの方は、ちゃんとOFFすれば、数mAくらいはセーブできる筈。他にもデフォルトで電流流れる方法に倒れている端子がやるやもしれぬ、と思いましたが、今回その辺はスルー。また今度調べまする。
失敗!モバイルバッテリ+USB電力メータでの測定
Wio Terminalを電池で動かそうとした場合、まず思いついたのは、
Wio TerminalのUSB端子にスマホ用のモバイルバッテリを接続すればいいんじゃね
ということであります。大容量で結構安価。手元にも以前のスマホで使っていた(現在使用中のスマホはバッテリの持ちが良いので出番がなくなった)モバイルバッテリがあります。公称11200mAh。これ使えば相当な時間駆動できる筈。ついでに、USB端子にこのところ遊んでいるUSB電力メータを取り付ければ、Wio Terminalの消費電力(電流)も測れる筈。
実際にやってみた様子を下の写真に示しましたが、これでは駄目なことが直ぐに分かりました。
その理由は2つ。
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- 手持ちのモバイルバッテリは出力電流が小さすぎるとOFFってしまう。
- USB電力メータの示す数字は小電流の場合あてにならない
最初の方は、モバイルバッテリ内蔵の電源回路の仕様なのだと思います。もともとスマホを充電するためのものなので、最大2.1Aといった電流を流すためのもの。
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- LCDバックライトをONにしている状態なら動作する
- LCDバックライトをOFFにすると止まる
というわけで、バックライトをOFFにすると電流絞って動き続けるどころか、元から電源が切れてしまいます。まあ、間接的にバックライトが相当電流を食っていることは分かりましたが、
ダラダラと長く動かすにはモバイルバッテリは不適(少なくとも手元のもの)
と結論。さて2番目のUSB電力メータの方ですが、実はこれは別件の投稿で分かっていたことでした。半年も経つと自分で書いたことも忘れてしまう。。。
鳥なき里のマイコン屋(100) GD32VF103, Standbyモード
USB電力メータ、便利なものですが、多分USB電力をバカ食いする類のデバイスの電力消費を確かめるためのもののようです。そのせいか「小電力」の時の精度、あてになりません。それどころか、あるレベル以下の電流になると計測を停止してしまうように見えます。
まずは、LCDバックライトをONのまま動作させているときの様子がこちら。
右側の上の方に00:00:42Tとあるのが、測定開始からの「積算」時間で、測定中は毎秒更新されます。W, Wh, mAhなどの欄があり、Wは小数点以下3桁も表示されています。しかし、3桁まで精度があるわけでも無さそうです。バックライトをOFFにすると、一応、W表示はでますが、左のA表示部分は0.00Aとなり、時刻更新も停止。よってWhとかmAhなどの積算値も停止です。
とりあえず、バックライトONのまま1時間動かして、積算値32mAhなる数値を得たのですが、後の別測定から考えるとこの数字は実体とかなり乖離があります。
そこでまずは、上の投稿同様、ハンディDMMの電流計測機能を使って測定してみることにいたしました。電源にモバイルバッテリが使えないことが分かったので、とりあえず5Vの外部電源をUSBコネクタに供給し、その電流を測りながらWio Terminalを動かしてみます。
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- バックライトON時、111.8mAから112.3mAくらい
- バックライトOFF時、51.5mAから52.0mAくらい
先ほどのUSB電力メータとは段違いに大きい値が得られました。時々電流が変動するのは、温湿度を測った後、画面をスクロールしたりSDカードに書きこんだりする処理が走るためのように見えます。
Analog Devices製ADALM1000 (M1K) をメータ付きの電源として使う
ここまでだと、上の投稿と同じ手法で進歩というものがありませぬ。大体、電流測っていると電源電圧確かめられないし。。。そこで上の投稿で失敗していた、ADALM1000(略称M1K)を電源にする方法にリベンジしてみました。上の投稿では、「挙動が不審」、「後日要調査」などと投げていたのですが、今はその理由が分かります。
M1KのAlice Desktopソフトウエアでオシロスコープ画面で、DC定電圧源としてCHを設定すると、オシロスコープのデータ取得に必要な期間だけCHは電源(兼電圧、電流計)として動作し、終わると電源はOFFってしまう、ようです。オシロを単発にせず、連続にしても手元のソフトウエアバージョンでは、「単発を繰り返して」連続した計測に見せかけているようです。そのため合間に電源が切れるタイミングがある、みたい。勿論、そんなことに気付かぬアナデバ様ではありませぬ。M1Kを連続して動作する電源として動作させるために、オシロ主体の「Desktop」ソフトウエアではなく、別なソフトウエアが用意されていました。気付いていない私がバカだった。
Alice M1K Meter-Source
というソフトウエアです。これを使えばM1Kを電圧、電流メータ付きの電源として使用することができます。
まずは、計測ルーチンが動作していない状態(LCDバックライトはON)がこちら。
約103mAほどの電流が流れています。計測動作していないので、センサも画面、SDにも動きはないので、数値は安定。
次に温湿度センサDHT11つかって計測(ほぼ3秒に1回程度)をやらせてみます。計測の度に画面がスクロールし、SDにも書きこまれています。時々電流値の下の方がパタパタ動きますが、変動幅はせいぜい0.5mAくらい。その時の値は下に。
最後に、計測動作を続けながら、LCDバックライトをオフってみました。すると下のように、一気に電流が小さくなります。約50mA。
勿論、LCDバックライトを点灯すると、元の103mA付近に戻り、計測もちゃんと継続されていました。
バックライトOFFして50mA、ONして100mAってな目安ですかね。希望の消費電力よりは大きめかも。モバイルバッテリを諦めた時点で、以下の2つをまず考えていたのですがどちらもあまり芳しくなさそう。
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- 006P電池(9V)からレギュレータで5Vつくる
- 単三電池x4本(合計6V)からレギュレータで5Vつくる
006P乾電池は電流容量が小さいので、常時50mA、時々100mAという運用だと直ぐにお陀仏かと。使うとすれば同じ形状の2次電池系か。電流容量的には単三アルカリ4本の方が各段に大きいようにも思えるのですが、以下のパナソニック様のページなどみると、条件は良くないことが分かります。
[アルカリ・マンガン] 乾電池には電池の容量を表示していないのはなぜですか?PZ18153
1次電池でも単純な計算では数日持つ容量ありそうですが、レギュレータに5V+1V程度の電圧を与えたいとすると、それが確保できる時間は相当短そう。やっぱり大容量の2次電池か?
こうして考えると俄然以下のSeeedStudio製の純正部品も欲しくなったです。
Wio Terminal Chassis Battery(650mAh)
でもギリギリ一晩だな~。どうするか?