鳥なき里のマイコン屋(37) Bridgetek、熱帯のマイコン屋

私の乏しい数度の個人的体験(それも10年以上前ですが)では、「寒かった」印象が残っているのです、シンガポール。オフィスの空調がどこの会社も効き過ぎ。ネクタイ締めて、上着を着ていてもシンシンと冷えてくる。外は晴れて暑いのに。それはさておき、当時、ある日本の会社のマイコンの設計を「外注」で受けている半導体会社がありました。シンガポールにもかなり昔からマイコンを設計できるエンジニアがいたのです。働いている人は、半分が中国系、半分がインド系という感じ、ちょうど両側の世界の接点的な位置にあるのでさもありなん、という感じ。シリコンバレーの設計もアジア系が多いので、似た雰囲気。さて、エンジニアがいるのですから、マイコンの会社がシンガポールにあっても不思議ではありません。そうです、あります、Bridgetek社です。ただ、今回、事情あり、個別の機種の説明は無くても済むか。

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事情ありという背景説明へのリンクを以下に置いておきます。

FTDI Announces Formation of Separate Company Focussed Specifically on MCU & Display-Related Products

このリリース文自体は、第28回で取り上げさせていただいたFTDI社からのリリースの体裁で、FTDIとBridgetek社の双方のロゴが入っており、置いてあるのはBridgetek社のサイトです。2016年末の文書。ここから読み取れるのは、

    1. FTDI社は、”Separate Company”としてBridgetek社を設立すること。
    2. Bridgetek社は、FTDIのMCU製品とEVE(Enbedded Video Engine)とよぶ製品群にフォーカスすること

です。ぶっちゃけ、FTDIのMCUに関してはBridgetekが「面倒を見る」ということです。

それじゃ、FTDI、マイコン屋じゃないじゃないか、第28回はフェイクか!

という疑いがかかりますが、どうも違うようです。このBridgetek社の資本構成とか、経営に関する情報が分からないのでなんとも言えないのですが、以下の状況証拠があります。

    1. FTDI社のホームページに、依然としてFTDIのマイコンもEVEも置かれている
    2. FTDIからBridgetek社のロゴのある資料にリンクが張られている。
    3. Bridgetek社が営業拠点として挙げているロケーションにはFTDI社の海外営業拠点もある(もしかして同居している?)
    4. 展示会には、FTDIとBridgetekは一緒に出展している

最初、リージョン(地域)によって営業権が分割されているのかとも思いましたが、そういう説明は見当たりませんでした。この密着ぐあいからすると、”Separate Company”とはいいつつ、距離感は相当に近いのでは。とはいえ、

FTxxxという名を持つMCUが現在設計されているのは多分シンガポール

Bridgetekは自社コアの32bitとレガシー8051互換コアを持つ

立派なマイコン屋です。「ダブル・カウント」気味ですがね。

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