お手軽ツールで今更学ぶアナログ(55) M1K復活?のAliceインピーダンスアナライザ

Joseph Halfmoon

このところADALM1000が絶不調?で他に測定を逃げてましたが、今回「初期化」によって症状改善したみたいです。今回のテーマのインピーダンス測定は問題なく動いている感じがします(本当か?)StudentZoneの手順どおりに実験を実施、波乱もなく完了(本当か?)

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最初はPC上のAlice Desktopソフトウエア側になにか不具合生じたか、と想像しておったのです。が、予備のPCでも同様な現象が発生、M1K本体側の問題であろうと推定できました。ハードが壊れてしまった可能性もありますが、まず疑ったのはM1K内部に書き込まれている筈のキャリブレーション値などです。以前にキャリブレーションかけたときの挙動がちょっと不審であったのが実は心の奥底に引っかかってました(引っかかっているなら早くやれよ、自分。でも面倒だったし。)

不調のADALM1000(M1K)への対策の試み

もしもファームが古ければそれの更新からだね。まずはM1K本体内のファームウエアリビジョンを確認しました。普段はAlice Desktopばかり使っているのですが、眠っているもう一つのM1Kのためのソフトウエア

Pixelpulse2

を使用します。Pixelpulse2のDevice Managerを使うと、簡単にファームウエアのリビジョンが最新か否かをチェックできます。そして調べたところ最新でした(Firmware is up to date。) もっともPixelpulse2自体の更新版が出ていたので、更新しましたが。

最新版ということで、とりあえずファームウエアの上書きはせず、どこか不揮発な記憶に書き込まれている筈のキャリブレーション値をクリアしてみることにいたしました。M1Kのファームウエアの更新やキャリブレーション値のクリアと読み出しの方法については以下のページに説明があります。

ADALM1000 Firmware Upgrade Procedures

libsmuのインストールホルダ内にある、以下のコマンドラインツールを使うといろいろできます(勿論、M1KをPCに接続した上で)

smu.exe

コマンドライン引数 “-r” でキャリブレーション値をRESETすることができました。RESETして今回の測定をやってみた、というわけです。これで測定ダメならハードが壊れているのかも。。。

今回のStudentZoneは2019年3月号

さて「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」は2019年3月号です。記事へのURLを下に貼り付けます。

「ADALM1000」で、SMUの基本を学ぶトピック15:インピーダンスの測定、周波数の影響

Aliceのインピーダンスアナライザ機能を使ったインピーダンスの測定は、以前にもやった記憶がありますがどうせ忘れているので記事どおりに実験を進めます。しかし、あるはずの場所にあるはずの解答編は見つからなかったです。2月号の解答編の後の日付の記事を順にみていくと4月号の解答編を発見しました。3月分はどこいったのかな~。時々あるな、こういうこと。

2021年9月10日追記:3月の解答編を発見しました。3月の解答編は4月の後、5月の前に掲載されていました。アナデバ様のフェイントにひっかかりました。解答編はこちら

最初は個別部品のインピーダンスの測定から

RLC回路のインピーダンスを周波数を変えて測定するのがメインなのでありますが、まずは実験に使用するR、L、Cそれぞれのインピーダンスを個別に測れ(周波数は1000Hz設定)というのが思召しです。

測定対象のR、L、Cにせよ、リファレンスのRにせよ、抵抗であればE24系列などの「普通の」部品なので「それなり」の精度です。また、測定するM1Kの方もキャリブレーション値をRESETした状態なのでこれまた「それなり」

「470Ω」抵抗の測定結果

resistor470

測定値は470Ωよりちょっと小さ目、DMMで測った値とだいたい一致。それなり?に測定できてる?

「1μF」キャパシタの測定結果

capa1uこれまたちょっと小さ目ではあるけれど、遠からず?

「20mH(10mH+10mH)」インダクタの測定結果

ind20m例によってADALP2000所蔵の10mHコイルを2つ直列にして20mH作っています。かねてより知れているとおり直列抵抗成分が結構大きいです。ま、これは予想通り。

まあ、定格の値からもとめたインピーダンスから「それほど遠くない」値が読めたので、M1K、どうやら動いているようです。

RLC回路の測定結果

さて本番のRLC回路ですが、最初はデフォルトの1000Hzで測定をはじめよ、とあります。次に、まずリアクタンスが0になる共振周波数を確かめよというご指示です。額面上の共振周波数を計算で求めるとf0=1125Hz付近ですが、先ほど個別に測定したLとCの値から計算するとf0=1060Hz付近となります。あたりをつけてf0を探したところだいたい1050Hz(M1K上の周波数設定値と実際の周波数測定値には多少ずれがある)でほぼほぼリアクタンスが0になりました(1Hz単位で設定変更してみたのだけれどピタリ賞は無理でした。)

次に共振周波数の前後の周波数を100Hz刻みぐらいで探り、フェーザが回転する様子を観察すべしということです。念のいったことに記入用のブランクの表まで記事に掲載されとります。思し召しどおりやってみるしかありませぬな。

RLCtableそれらしい結果でないかい。インピーダンスアナライザ上「回転」する様子の一端を以下の画面キャプチャに掲げます。

約750Hz

RLC750Hz
この周波数だとまだリアクタンスは負の側に大きいです。

約1050Hz

RLC1042Hz

ほぼぼほ共振周波数あたり、キャパシタとインダクタは相殺して抵抗成分のみ。

約1350Hz

RLC1342Hz

この周波数だと、リアクタンスは正の側に振れてきます。

一応、期待通りの測定できた、ということかな。これでM1K復活。本当か?

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