ここまで介護保険適用になる徘徊検知機器を中心に調べてきました。ここからは少しスコープを広げ、介護保険適用にならない各種の見守り機器についても調べていきたいと思います。「徘徊」には当てはまらないのだけれど、「見守り」は必要というシーンは多いと考えられるからです。第2回に要介護度とその対象者の人数の統計を引用しましたが、介護保険でサービスを受けている方々の約半数はそもそも「徘徊検知機器」の貸与の対象にはなりません。そして要介護度2以上だからといって徘徊検知機器が必要かと言えば、そんなことはないわけです。要介護者の方々に必要なケアは千差万別、要介護度の数字でデジタル的に分けられるわけもなく、また、介護する側の事情も千差万別でしょう。介護保険の福祉用具貸与の対象にならない「支援は必要だけれど、自分で結構やれる」方々に対してこそ、電子デバイスによる「見守り」は有効なのではないか、とも思われるのです。
鳥なき里のマイコン屋(13) TIにも8051発見
業界じゃTexas Instruments社(TI)のMCUといえばMSP430で決まりです。大ベストセラー。一応16ビットというカテゴリになっていますが、8ビットクラスの小規模なところにも手が届く豊富なラインナップじゃないでしょうか。勿論、32ビットではArmも使っています。アプリケーションプロセッサ系では当然ですが、MCUでもArmコアの製品群があります。そんなTIに8051の入り込む隙間があったのか。いよいよ「Armのお供にレガシー8051説」崖っぷちです。
IoT何をいまさら(7) 傾斜スイッチ
大抵のセンサは電流を流してやらないと動作しません。また出力されてくる信号が小さかったりすることが多いので増幅が必要なことも多い。そしてアナログ出力をマイコンで読み取ろうとするとADコンバータがいります。電気が必要な仕事が目白押しです。その点スイッチは良いです、電気食わないし。ON/OFFの2値なので、マイコンの割り込み端子と抵抗の一本もあれば簡単にインタフェースとって使うことができます。そのためか、何か物理量に反応してスイッチがON/OFFされるような製品が結構でています。センシングといってもある閾値を越えたかどうか分かればよいだけならスイッチで十分ですから。本日調べるのは、傾斜するとスイッチが入る/切れるスイッチです。何かの転倒を感知したりするのに重宝します。
鳥なき里のマイコン屋(12) タイマー、周辺回路をささえる
鳥なき里のマイコン屋 (11) 中国MCU調査第1回
介護の隙間から(17) 徘徊検知、会社と技術のマップ
この辺で徘徊検知装置「業界」の一断面を一目で把握できるように、装置を販売しているメーカや輸入元とそこで使われている、センサと無線技術をマップにしてみました。「続きを読む」の後に原寸大のマップが貼り付けてありますので、御覧ください(環境によってはダウンロードした方が見やすいかもしれません)。 “介護の隙間から(17) 徘徊検知、会社と技術のマップ” の続きを読む
IoT何をいまさら(6) 湿度センサ
IoT何をいまさら(5) 温度センサ
IoTなどという言葉がなかったころから、デバイス屋は何かをセンシングし、遠くにそれをお知らせするような製品を作ってきたのです。けれどIoTになってどうなったか、デバイス屋がやっていることはあまり変わらない気がするのです。しかしデータをお知らせした先で何か処理をされると、昔からあったデータが何か宝の山に変わっていく。結果、デバイス屋の儲けがどこか遠くのサーバーの方に吸い取られていく。ぐちは止めておきましょう。今日は、センシングの基本中の基本、温度センサのおさらいをしておきたいと思います。なにせ物理現象は温度によって影響を受けるものだらけです。当然、センシングによっては温度補正が必要なものも存在します。温度に影響をうける物理現象が多いだけに、その測定方法も多様。また、同じ原理でも、お安いものから、超高級品までいろいろあるのが温度センシングの世界のようです。
IoT何をいまさら(4) 焦電センサ
鳥なき里のマイコン屋(10) On Semiconductor
今日調べるのは On Semiconductor です。この名前になってからも20年くらい経過していますが、ある意味ここはとても歴史があるのです。母体となったのはモトローラ社の半導体部門の「一部」です。モトローラ社の半導体部門の分社化といえばフリースケール・セミコンダクタ社(今では第2回でとりあげたNXP社の一部ですが)が有名で、こちらの会社が旧モトローラのMCUを含む集積規模の大きな半導体製品は皆もっていったわけです。On社の方に残っていたのはディスクリート(集積回路でない)半導体と、パワー系、アナログ系といった渋い半導体ばかり。だからそのままではMCUの話には出てこない筈。でもこちらの方が実は儲かるのですかね。SoCプロセッサなど、開発にお金がかかるので、一発外れるとダメージが大きい。その点、渋い「玄人」向けのデバイスを受け継いだOn社は、着実というより、かなり急速に成長しています。原動力は「買収」です。
鳥なき里のマイコン屋(9) Z8とZ8051
そろそろ「Armのお供にレガシー8051」説も打ち止めにして、次の話題に進みたいものだ、と考えている今日この頃なのですが、まだまだ成り立ってしまう事例が現れてくるのです。今日取り上げさせていただくのは、IXYS CORP.という米国の会社です。パワエレの会社で、正直、あまり馴染みがありません。しかし、この会社に「Z80の」Zilog社が買収されていたのです。さらにIXYS社はLittelfuse社というもともとヒューズの会社だったらしい会社(あちこちの会社を買収しまくっている)に買収されたので、Zilogはいまやヒューズの会社の孫部門ということになるようです。最近、合併とか買収でMCU製品が「呉越同舟の梁山泊」状態、になっている会社が多いですが、ここもまた例外ではありませんでした。
IoT何をいまさら(3) 電池駆動の監視カメラ
介護の投稿の方で取り上げさせてもらっていますが、カメラを使って「見守る」というシステムがいくつも存在します。「見守り」にカメラというのは、極めて自然な発想だと思うのですが、大人の事情で、単なるWebカメラは介護保険の適用になる貸与品にはなりません。そこでモーションセンサなどとカメラを組み合わせて徘徊検知、というシステムがいくつか存在します。ただ、動画を撮影し、それを離れたところまで伝送するという処理の特性上、通常は皆AC電源を必要とするものが多いです。今回は、介護の枠を外し、「一般のネットワーク機器」のカテゴリで電池駆動の監視用途のカメラを調べてみました。典型的なIoTとも言い難いかもしれませんが、カテゴリはIoTにしました。カメラ画像をただ眺めていればIoTとは言い難いですが、なにかの処理をすればIoTでしょうかね。
介護の隙間から(16) GPSは辛いよ
部品屋根性(4) May ポケベル and POCSAG R.I.P.
ポケベルのサービスが廃止になる、というニュースが流れました。何十万人ものユーザがいるネット上のサービスが廃止になってもネットニュースの片隅で終わりますが、高々1500人ほどと聞く「アクティブユーザ」数のポケベルの場合、マスコミ各社も取り上げて結構な話題になっていましたね。やはり、昔ポケベル使っていて記憶に刻みこまれている人が多かったせいなのでしょう。営業ツールのポケベルに「こき使われた」オヤジ層(ポケベルが本来ターゲットにしていた人々)も居れば、当初予想されていなかった「ヘビーユーザー」層であった女子高生(だった)人々も皆一様に「廃止になる」ニュースに接し、昔を思い出し、懐かしんでいるような気がします。私個人も「ヘビー」ではないですが一応ユーザではあったのですが、直ぐに携帯に乗り換えたのでポケベル持っていた期間は短くてポケベルそのものへの思い入れは小さいです、すみません。しかし、ポケベルと言って思い出しますのは”POCSAG”です。POCSAGって何と思われたら、今日はちょっと個人的な思い出にも浸りながら消えゆく部品を偲びたいと思います。