お手軽ツールで今更学ぶアナログ(36) 今度は2頁でも分かった気になる「計装アンプ」ツール

Joseph Halfmoon

前回はたった2頁じゃ使い方分からないなどと文句言ってしまいました。今回はたった2頁でも使い方分かった(気になる)と申し上げます。今回の対象は「計装アンプ」(Instrumentation amplifier)、名前からして厳めしいものです。しかし、Webツール自体は分かり易いじゃないかと思います。設定するパラメータが少ない、というのがキモかと。

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このところ、週一ペースで、アナデバ社(ADI社)のWeb記事、StudentZoneを端から全部読み、巻末宿題もやってみております。今週は2017年9月号。先週につづきテーマはデバイス選定用のWebツールであります。先週のWebツールは使い方そのものは分かるのですが、どう設定し、どう判断して良いのか素人にはサッパリでした。まあね、高精度、高機能なA/Dコンバータをそんなに簡単に使えるわけもないのであります。いろいろ噛み締めた後にようやく先週のツールのありがたみが分かる、そんな気がいたしました。しかし、今週のツールは違います。設定簡単、結果も一目瞭然、私でも使えそう。なんといっても設定するパラメータの数が少ないし、素人にも分かる項目ばかり。

まずはStudentZoneの記事へのリンクを貼り付けさせていただきましょう。先週に続きADI社のドイツ法人の人の記事であります。

計装アンプを理解するーーダイヤモンド・プロット・ツールの”秘密” Christoph Kämmerer著

この「ダイヤモンド・プロット」ツールというのは、設定条件を入力すると動作OKな範囲をグラフ上「ダイヤモンド型」の範囲で示してくれ、その動作範囲の中に入力信号から想定される出力信号が収まってくれるのか否かを教えてくれるツールであります。ターゲットは計装アンプ。ホイートストンブリッジとか登場した暁にはきっと必要になるデバイスです。でもね私は、それほどの精度が必要でないシーンばかりだったので、計装アンプのような良いものは使わず、マイコンのお安い回路でナンチャッテしていた気がします。もしかして手元に計装アンプなど無いかも、と思って在庫をあさったらそれでも2種ありました。トップのアイキャッチ画像をご覧ください。どちらもBB用にブレークアウトボード化されていますが、AD8226とLT1167です。それらのデータシートへのリンクも貼り付けておきます。

AD8226 データシートおよび製品情報

LT1167 データシートおよび製品情報

Webツールは、どちらのデバイスもちゃんとサポートしていました。後で実験してみよう、という気になります。

お約束の巻末問題ですが、ターゲットはAD8422です。「設定条件だと、なぜ動作しないのか」を問う問題です。AD8422のデータシートへのリンクも貼り付けておきます。

AAD8422 データシートおよび製品情報

まあね、問題自体はデータシートも読まず、設定条件だけ読んでも「ダメじゃん」と素人の私が分かる程度のものだったです。実際に以下のリンクからWebツールを起動してみました。

計装アンプ・ダイヤモンド・プロット・ツール

起動すると下のような画面が現れます。

Diamond Plot Toolあれれ、デフォルトの選択がAD8422なのね。そのデフォルト設定って、StudentZoneの記事の問題の条件とほとんど同じじゃん。入力信号のところを「ちょこっと」いじってやれば問題の条件となります。

思ったとおりダメじゃん

前回ツールと比べると設定する条件の数が少ない上に、「分かる」ものばかりなので結果も分かった気になります。問題の解答へのリンクも貼り付けておきます。

September StudentZone Quiz Solution

問題文にも解答にも単純にツールを使うだけでなく、データシートも読んでね、見たいなことも書いてあります。確かに。以下ネタバレ含みます。Webツールは理想的な「レールツーレール」で線を引っ張っており、また、出力の負荷を入力する欄は見当たりません。データシートみると、負荷によっては微妙にレールツーレールを下回る(当然といえば当然でありますが)ので、そういうところは確認しておかないといけないと思いました。記事から引用させていただきます。

プロットの限界に近い部分の条件で動作させることは推奨されません。

「近い」って表現が素人には微妙です。赤枠がどのくらい近くなったらダメなのか。まあね、推奨というアイコンおすと条件にあったデバイスが列挙されます。お値段と「余裕」を天秤にかけて選べってことかね。まあ、このくらい使い方が簡単なら私でも使えるかも。

ただね、Webツール使って「やれる」と思うのは私のような素人には危険だな。折角のツールなので、Webツールで計算した結果を、実デバイスで少し実験してみるとようやく分かる?またそのうちですかね。

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