リクエストがまいりました。介護の話で無線に触れた投稿に反応していただいて、「IoT向けの無線、サブGHzのところ、もっとちゃんと調べろ」と。それに、「通信費がどれもかかるようにも読める、通信費がかからない方式もあるだろー」と。早速、サブGHz帯の無線を取り上げることにいたしました。今月(2018年11月)なら、話題的には IEEE802.11ah、愛称(?)Wi-Fi HaLowをとりあげるべきでしょう。日本国内の立派な会社や組織が50以上あつまって普及のための団体を設立したのですから。が、ひねくれたデバイスビジネス開拓団としてはそちらには行きません。また、「後発」のWi-Fi HaLowが追撃する相手、先行するLPWA(Low Power, Wide Area)規格、SIGFOXとか、LoRaにも行きません。それどころか、無線規格をそうじゃないものと比べてしまう暴挙?にでます。
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まず今回対象とする無線規格は、サブGHz帯(日本では920MHz)の数ある免許のいらない通信規格のうち、Z-Waveという規格です。ご安心ください。毎月通信料がかかるなどということはありません。Z-Wave Allianceという団体が推進している通信規格です。10年以上も前から「スマートホーム」を狙って活動してきており、加盟している会社の数も多く、また、既に搭載製品も相当数でているようです。この規格はサブGHz帯と言っても先ほど名前がでたLPWA系の通信規格(km単位で通信できる)とは違って、単体での通信距離はそれほど長くありません。数十mくらい。しかしマルチホップとか、メッシュネットワークといわれる系統の技術で通信範囲を広げているのが特徴です。似たような特徴を持つ ZigBeeと呼ばれる規格もあるので、無線としては、この2つを比べるのが定番じゃないでしょうか。ところが、比べる相手は無線規格じゃありません、
- Amazon Echo
- Google Home
- Apple HomeKit
の3つです。なぜならば、上の3つも、Z-Waveも狙っているところは同じ
スマートホーム
だからです。お分かりでしょう、iPhoneユーザならSiriに「電気をつけて」といったら部屋の明かりがつく、というあれです(私の家にはありませんが)。照明だけでなく、各種の家電にスイッチを入れたり、家の鍵を閉じたり、寒いからもっと温めたりとカッコいいことこの上ありません。
このような分野にZ-Waveは、長年取り組んできました。その中には防犯用途や介護系の転倒検知なども含まれている筈です。そして、Z-Waveはオープンで相互接続を重んじる規格として、「てんこでんこ」感の強いZigBeeとは一線を画してきたのではないかと想像します。長年の取り組みも実り、ようやく本格的に「スマートホーム」だ、という時代になりました。が、しかしです、AMAZONスマートホームストア(敢えてリンクは張りません)というところに行ってみましょう。Amazon Echoの音声認識、アレクサに「鍵をかけて」とか「電気を消して」とか言っているじゃありませんか。こいつら、Z-Wave使っているのでしょうか?当然そうではありません。製品仕様をクリックすれば分かります。(ついでにワンクリックで注文するなら自己責任でお願いします。)電源とれるものは家のWiFiにつなぐか、電池で動作する装置はBluetooth LEを使ってWiFiに接続しているコントローラに接続するのですね。スマートな照明、スマートな鍵、スマートなコンセント、スマートなカメラ、フィリップス社など各社が製品を供給しています。お掃除ロボット ルンバともつながるみたい。
当然Amazonだけがスマートホームやっているわけではありません。GoogleにはGoogleの、AppleにはAppleのスマートホームがあります。(末端で制御されている装置を供給しているのは似たようなメンバに見えますが)ソフトウエア的な制御は3社異なるようですが、ハードウエア的には同じようなもので対応できるに違いありません。WiFiかBluetoothでつなぐというのは同じ。ある意味、Amazon, Google, Appleの3社が束になってこの市場になだれ込んできている、といっても過言ではありますまい。それぞれ強烈なブランド力、販売力があります。そして3社がこの市場をとりあうわけです。
Z-Wave大丈夫か、と心配になりました。(私が心配してもどうなるものでもないですが。)3社の激突のとばっちりを受けて「スマートホーム」からはじきだされちまうんじゃないか?サブGHz帯とかいって無線ばかりを見ている場合じゃないな、これは。
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